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【バン快適化DIY】簡単に設営できる程良いサイズの「オーニング」を作成!

キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容および記事タイトルはDRIMOからの引用・参照です


バンの大きく開くサイドドアは周知の通り大変便利だ。しかし、致命的な弱点もある。

雨が降っていると雨が車内に入ってしまいやすい。

少しでも風など吹いていようものなら容赦なく雨が吹き込んでしまうが、小雨でも案外車内に雨が入ってしまうから厄介だ。

これをなんとする「ちょっとした庇(ひさし)」があれば良いなあと常々思っていたのだが、市販品を探しても「これだ!」といった決定打に巡り合うことができず、かと言って自作するにしても簡単に作製するための良い材料が見つからず、何年もの間解決できない課題だった。

ところが、とうとうこの「ちょっとした庇」を簡単に作るための素晴らしい材料に巡り合い、自作することができたので、これを紹介したいと思う。

理想のオーニングはどんなものか?

ご存知のようにカーサイドタープとかサイドオーニングと呼ばれているものがあり、これを装備しているキャンピングカーや車中泊仕様のバンは多い。

タープと言うとポールを使って立てるキャンプ用の日除け・雨よけや、車用であってもそれに近いものをイメージし、オーニングと言うとキャンピングカーや移動販売車などに設置されている巻き取り式の立派なタイプをイメージする人が多いのではないかと思う。

しかし、タープ(tarp)はターポリン(tarpaulin)の略で防水布の意味、オーニング(awning)は日除け・雨よけ・雪除け、庇のような意味だ。

車用のオーニングは通常タープ(防水布)を使うのだから、タイプや形状の違いではなく、どちらも意味するところは同じだ。

オーニングの設営方法やスタイルは色々ある。例えば、

・車の横にタープの一辺を取り付けて、反対の一辺にポールを2本立てて張り綱を貼って設営する比較的簡易的なタイプ
・キャンピングカーや移動販売車などに設置されている巻き取り式で張り出し部分にフレームの入った立派なタイプ
・半分に切ったドーム型テントのようなものをサイドドアの横にくっつけるようなタイプ
など。

こうしたオーニング類は車の横に広めの軒下や土間のような場所を作ることができ、上に挙げたような問題もおおむね解決できる。大変便利なアイテムだ。

出典:オガワ「カーサイドリビングDX」

しかし、市販品は比較的小ぶりなものでも大抵1.5m以上は横に張り出してしまうため、どれも少々大袈裟と言えば大袈裟なものばかりだ。

車2台分か場合によってはそれ以上のスペースを占拠してしまうことになる。キャンプ場なら問題ないが、普通の駐車場でやたらにこれを広げたりすることははばかられることが多い。

無料の駐車場だとしても他人の迷惑になったり気分を害したりするようことは控えるのがまともな大人のとる行動だ。

また、張り綱とペグで固定しければならないタイプや、状況によってはその必要があるものが多く、それが少々面倒くさいばかりか、そもそもペグを打てない地面も多い。

私のイメージしている使い方から、理想の「ちょっとした庇」の条件などを整理してみると以下の通りだ。

● 雨や日差しを遮るために、サイドドアのすぐ外に設置
● 海岸の普通の駐車場でも他人の迷惑にならないよう、ごく小さな(1人か2人分程度の)もの
● 跳ね上げ式のリアゲートを開けるよう手軽さ、傘を差すような手軽さ

立派で快適そうな市販のオーニングも良いのだが、私にはあまり使うシチュエーションがなそうで、またこの立派さが私にとっては逆に仇となってしまうことになる。

既製品からのインスパイア

ところで、先日VWカリフォルニアを取材させてもらった。

この手の車に立派なオーニングが付いているのは普通だが、このオーニングがちょこっと出して使うだけなら、脚は出さずに張り出し部分の骨組みだけで使えるようになっていた。

これこそ私の追い求めていたものの具現化ではないか。

前からよく知っていた車だけど、普通に大きく張り出した状態しか見たことがなく、こんなことになっているとは知らなかった。やはり色々な物をじっくり見ると勉強になる。

これに刺激され、半ば諦めに近い状態で永遠のテーマと化しつつあった「ちょっとした庇」を自分の車にも設置したいという気持ちに再び火が着いた。

しかし、同じようなものが市販されていたとしても目玉が飛び出るような価格であることは容易に想像がつく。

がぜん自作の意欲が沸々と湧き上がることになる。

ホームセンター探検のススメ

ところがそんな折、車よりも自分の体に修理改造を施さなければならなくなってしまい、とうとう1ヶ月近く自分の体を修理工場入りさせることになってしまった。

上の画像は修理に連れていかれるバモス君。イメージ画像だ。

そして、退院後に気晴らしと療養にもなるかと一週間ほど山梨の身内の家に滞在させてもらっていたのだが、山梨のホームセンターで素晴らしい物を見つけてしまった。

私の家の近くには車で10分圏内にカインズホームとコメリがあり、さらに少し先にはジョイフル本田とパワーコメリ(普通のコメリより名前の通り凄い店舗)もあり、ホームセンターには不便しない。

「ホームセンターなんてどこでも同じようなもの」と思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。今回の発見がまさにそれだ。色々な店を覗いてみる価値は大いにある。

山梨県には主に県内で強い勢力を誇る「くろがねや」というホームセンターがある。その「くろがねや」で、これまで見たことのなかった超画期的な材料と、少し大袈裟だが電撃的な出会ってをしてしまったのだ。

私の欲しい「小さな庇」を作るにはフレームを何で作るか、そしてそれをどうやって車側に固定するかが一番の課題だった。

簡単に設営と撤収ができて、軽くて頑丈でなければならない。それに敵うフレーム用の材料がこれまでなかなか見つからなかったわけだが、とうとうそれを発見した。

出典:G-Fun

それがこのSUS株式会社の「G-Fun」という名前のアルミフレームに専用のコネクタや各種アクセサリー類を組み合わせて、色々な物を作ることができるシステムだ。

フレームは用途に応じて太さ・長さ・タイプが色々あるようだが、コネクタやヒンジなどのパーツ類が大変充実している。

詳しいことはG-Funのウェブサイト(https://g-fun.jp)を見ていただきたい。

ついに骨組みの案が完成

同じような太さのアルミ合金のパイプは入手できたとしても、G-Funのようなコネクター類がない。そこがネックだった。

ジョイント部分を工夫して組み立て式のフレームを作ることももちろん色々考えてはみたのだが、仕組みを考えていると傘をさすような手軽さからはどんどん遠のいてしまう。

やはり組み立てるのではなく、引っ張り出すだけのフレームにしたかったため、そういった案は却下。

ところがG-Funにはコネクター類などのパーツが豊富にそろっていたのだ。

私が考えたG-Funを使った小さな庇のフレームの基本構造は、1900mmのパイプ2本と600mmのパイプ2本をフリーコネクター(関節のように動くタイプのコネクター)4個で繋ぐだけの至ってシンプルなものだ。

しかし、こういった物を作ろうにも簡単に作れる材料がこれまで見つからなかったのだ。

上の画像はフレームを開いたときの状態(オーニング使用中)で、下の画像がフレームを閉じた時の状態だ。

四隅のコネクタが関節のように動くから、長辺(1900mmのパイプ)の片側を車に取り付けておいて、反対側の長辺を引っ張り出すだけで、簡単に張り出し600mmの長方形のフレームができてしまうのだ。

ここまでの作業は至って簡単。コネクターの取り付けは4mmの六角レンチで締めるだけだ。

次の難関と言えば難関が、このフレームの車への取り付け方法だ。

基本的にフレームの取り付けにはルーフキャリアの脚を利用することを考えてはいたのだが、キャリアの脚にどうやって取り付けるかが問題となる。

色々と考えた末、上の画像のボルト・ナットとプレートを近所のカインズで買ってきた。

そしてプレートの穴のピッチに合わせてフレームに穴を開ける。

そして、上の画像のように2本のボルトでキャリアの脚を挟み込み、プレートを使って出来上がったフレームを締め付けた。

このアルミパイプは、コネクター類を取り付けるための溝があるため普通の円柱ではない。

この溝部分の形状を上手く利用することで向きが安定してしっかりとキャリアの脚に固定することができることに気付いたのだ。

そして前後2カ所で留めなければならないが、2カ所の穴(計4つの穴)の向きも溝のラインがあるおかげで簡単に正確に合わせることができる。

また、庇なのだからフレームは水平に張り出すのではなく、少し斜め下に張り出させたい。

キャリアの脚は垂直に立っているのではなく、角度があるため、それを利用して本当にちょうど良い具合の角度にフレームを斜め下に張り出すこともできた。万事巧く進み、気分は最高だ!

タープをかけずにフレームのみ引き出すと上の画像のようになる。

張り出す側の短い方のパイプの長さは600mmだが、車体から少し奥まったところから生えていて、向きも斜めだから、実際に車体の最大幅より出るのは50cm程度で済んでしまう。

フレームを閉じた状態が下の画像だ。勿論車体よりはみ出すことなどない。

タープ

タープは元々持っていた約2.15m x 1.45mのサイズのものを利用した。

そして、下の辺がそのままでは微風でもヒラヒラとしてしまうので、安定するように下の辺には棒を付けることにした。

全てがきっちりしたパーツばかりで構成されていると全く味気がなくなってしまうので、その棒は敢えて自然な雰囲気のものをと思っていたら、切らなくても長さがちょうど良く、太さも重さも手頃で全くお誂え向きのものを発見!

タープの角にはグロメットが付いているが、グロメットは重石の取り付けやペグダウンするときの張り綱の取り付け用に残しておきたかったため、ウェビングにハンダゴテで穴を開け(こうすると溶けて固まってほつれない)、ビスで棒を固定した。

この棒があることで裾がヒラヒラすることがなくなり安定する。少しの風なら特に重石やペグダウンの必要はない。

風がある場合は100均のペットボトルホルダーをタープのグロメットに取り付け、1Lのペットボトルを重石代わりに付ける。上の画像の通り高さもちょうど良い。

余程の風でもなければこの合計2kgの重石で十分だと思うが、そもそも強風の場合はサイドドアを開け放しておこうとも思わないので、これで全く問題なし。

設営方法

設営の方法も紹介しておこう。

フレームはたたんだまの状態で、まずはタープの上辺のバンジーコード(説明を省いてしまったが、タープのグロメットに輪にしたバンジーコードを付けてある)をフレームの後側に引っ掛ける。

そして前側も同様にフレームに引っ掛ける。

このバンジーコードを引っ掛ける部分は、本来2本のパイプを平行に繋ぐためのコネクターなのだが、何かのためにと買っておいた物で、それが役に立った。

タープの上辺2カ所にフレームに引っ掛けると上の画像のようになる。

そして、フレームを引き出せばこうなる。

こうして見ると狭そうに見えるが、実際には案外広い。

そしてこの「控えめな広さ」こそが私の求めていたものであり、立派なオーニングの代わりになるものを自作しようと考えたわけではないので、自分にとってはこれこそバッチリのサイズ感なのだ。

車内から見るとこんな感じ。中から見ると結構広く感じる。

フレームを途中まで引き出した状態でも使うことができる。

引き出したフレームは特に関節が動かないように固定などしていないが案外安定して止まっていて、強い風に煽られたりすれば動いてしまう(張り出しが縮んでしまう)可能性はあるが、そうでもなければ問題なさそうだ。

そして先程も書いた通り、強風の中でドアを開け放してこの庇を出しておくことはないので、そもそもその心配も無用だ。

ペットボトルの重石の代わりに張り綱を付け、斜めに張り出すようにしてペグダウンすれば庇の下を広くして使うこともできる。

またこのフレームを使ってタープの代わりにこうして簾(すだれ)などをかけるのも良い。

傘を差したり跳ね上げ式のリアゲートを開けたりするほどの手軽さではないが、至って簡単に設営できる仕組みが完成した。

撤収と走行時

撤収は設営と逆のことをするだけだが、撤収したタープは裾に付けた棒に巻き取って収納する。

長い棒状になってしまうが、個人的には180cmを超えるSUPのパドルが複数車内に積んであることが普通なので、それより短い棒が1本増えたところで何の問題もない。

走行時は、フレームは上の画像のようにベルトで括り付けるだけだ。3本のベルトで括り付けたら、しっかり固定され、全くガタつくこともなかった。

タープが濡れている場合などはタープをフレームから外さず、上の画像のように棒に巻き付けてフレームと一緒に括り付けても良いと思う。

似たようなことを考えている皆様へ

自作に失敗はつきもので、私もこれまで数々の失敗を重ねてきた。成功した時はうれしいが、失敗してそれを次に活かすことも自作の楽しさだ。

いずれ失敗談ばかり集めて記事にするのも面白いと思っている。

今回の「庇(ひさし)」はまだ長期間使用したわけではないため、使っているうちに弱点や不具合が出てくるかもしれない。また、今回のような物の場合は、使い方や取り付け方法によっては危険を伴う可能性もある。

特にこのように外部に取り付ける物の場合は、走行中に落下したり横に飛び出したりしないように取り付けや収納方法には細心の注意が必要だ。

点検を怠ってもいけない。勿論材料のメーカーもこうやって使ってくれと言っているわけではないので、全てが自己責任となる。

しかし、責任云々よりとにかく事故を起こさないことが一番大切なことだ。それは肝に銘じていただきたい。

でも「ないものは作る」が最高に楽しいことであるのも間違いない。

DIYでの加工や改造は安全面に影響が出る可能性があります。また、アフターサポートなどを受けることができなくなる可能性もありますので、法令、基準などを遵守した上で自己責任で行ってください。不明な場合は販売店などに確認してから行うようにしましょう。

ライター:笠原 サタン

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執筆者プロフィール
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