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知らなきゃ危険!車中泊でやってはいけない事とルール
キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容および記事タイトルはDRIMOからの引用・参照です
車中泊をする際には、やってはいけないことや注意点などが当然ながらある。また、やってはいけないことと言っても、物理的に危険な行為と、モラルやコンプライアンス的に問題のある行為、その両方に関わるものがある。
気を付けなればいけないことは色々あるが、これから車中泊を楽しもうとしている人は知らないことがあって当然で、恥ずかしがる必要もない。
また、慣れている人でも案外見落としていることもあるかもしれない。
そこで本稿では改めてそれらについて整理してみたいと思う。
駐車する場所・車中泊をする場所
やってはいけないことについて考える前に、どこに停めて車中泊をしたら良いのか、そして場所選びではどんなことに注意したら良いのかについて考えてみよう。
オートキャンプ場やRVパーク
最も安全で法的にも全くクリアなのはキャンプ場(オートキャンプ場)やRVパークなどの利用だ。
初心者、特に家族など守らなければならない人と一緒の場合や、まだ慣れていない女性は先ずはこういった施設を利用するのが一番だ。
日本は治安が良いところが多いし、車は鉄の鎧を着ているようなもの、と言うより鉄の鎧より心強い。そして、いざとなったら逃げる手段にもなるので比較的安全ではある。それでも様々な危険は潜んでいる。
私や同世代の多くの人は、時代的に「人力移動やヒッチハイクか、良くてオートバイでの移動のキャンプや野宿から始まって車中泊に進化した派」が多く、寝る場所選びや安全面においても、その多くを野宿から学んだ。
要するに十分な下地ができてから車中泊をするようになったのだが、現在は逆パターンの人も多い。いや、むしろその方が多いかもしれない。
オートキャンプ場やRVパークなど以外の場所で車中泊をしてはいけないとは言わないが、まずはこういった場所から初めて、経験を積んでから「オートキャンプ場やRVパークではないところ」で車中泊してはいかがだろうか。一応お断りしておくが、私はそういった方面からの回し者ではない。
また、独りよがりの武勇伝のようなものを語りたいがために敢えて危険なことをするなどは以ての外。それが周りにどれだけ迷惑をかけることになるか考えるべきだ。
道の駅・高速のSAやPA・公共の無料の駐車場
初心者がオートキャンプ場やRVパークなどで経験を積んだ後に、旅の途中の仮眠場所として選ぶのに最も良い場所が道の駅の駐車場や高速のSA・PAなどだ。
しかし、あくまで仮眠場所であることを認識すること。
道の駅の駐車場での車中泊についてはよく取り上げられている話題なので詳しいことは省くが、簡単に言ってしまえばグレーゾーンではある(※ 一部RVパークのような車中泊用としてのエリアを正式に設けている道の駅もある)。
なぜグレーかと言えば、仮眠とキャンプがごっちゃになっているからだ。
道の駅の駐車場も高速のSAやPAも、仮眠場所として利用することは基本的に良いのだが、キャンプのようなことや連泊をして良い場所ではない。こうした場所を利用させてもらう上では、これをしっかりわきまえておくことが何より大切だ。
道の駅の駐車場・高速のSA・PAでやってはいけないことの実例は後述することとして、道の駅やSA・PAで車中泊する意味について考えてみよう。
先に書いた通り、これらは仮眠する場所でしかない。何が仮眠で何がキャンプかといった明確な定義はなく、仮眠の時間的な定義もない。しかし、例えば2泊が仮眠と主張されても、病気で身動きができなくなったのでもなければそれは屁理屈でしかない。
具体的に言えば、旅の途中で昼寝するのはもちろん仮眠、夜になって眠くなってこのまま運転したら危険だと感じて朝までグッスリ寝ても仮眠と言って良いと思う。そこに泊まることが目的ではなく、移動の過程で睡眠をとることが仮眠と考えたら良いのではないだろうか。
また、利用させてもらうと書いたが、公共の空間であれば必要以上にへりくだる必要はない。しかし、権利を振りかざすような態度もいかがなものかと思う。
公共のもの=皆のものなのだから、やはりここは「利用させてもらう」といった謙虚な姿勢でいる方が正しいと思う。
駐車場に潜む危険
実際に危ないのは幽霊や妖怪より生身の人間だ。
高速のSA・PAなら、煽り運転をするような頭のおかしな人物にでも遭遇しなければ、人に襲われる危険度はかなり低いと思う。
しかし、道の駅は夜になると人気も全くなくなり鎮まりかえってしまう場所もある。夜になると地元の輩が集合する場所になっていることもある。変質者も現れるかもしれない。
少しでも不安や予感を感じたらその場所は選ばないこと、そして事前に情報取集をしておくことも大切だ。
次に道の駅などではないが、無料の公共の駐車場や駐車できる公共のスペースというのがある。こうした場所で車中泊する場合も、基本的には道の駅の駐車場や高速のSA・PAと同様、キャンプするのではなく仮眠と考え、節度のある行動をとることが基本だ。
そして、道の駅以上に人的な危険度は高くなる。少しでも嫌な予感がしたなたらやめた方が良いが、具体的に言えば落書きが多い場所とか、生垣や塀などで囲われていて外から見えにくい場所は危険性が高い。外から見えにくいと快適そうにも思えるが、犯罪者にとってもそれは好都合な場所となる。
私は車を置いてカヤックやSUPでキャンプツーリングに出ることもあるが、車上荒らしをされないためにも、こうした場所や直感的に怪しさを感じた場所には絶対に車を置いて出かけないことにしている。
これ以上場所の話になると、今更私の拙文など読んでいただく必要のない人の世界の話となるし、そうなると人から教わったり、他人の情報に頼るような世界ではなくなるので、場所選びの話についてはここまで。
次にやってはいけないことの具体例を挙げていこう。
車中泊でやってはいけないこと
エンジンのかけっぱなし
これはモラルやコンプライアンス的な意味でも、物理的な安全面に於いても、やってはいけないことの代表格の一つだ。
無駄な二酸化炭素の排出は環境に良くないのはもちろん、音や匂いで周囲の人にも迷惑をかける。
それだけではない。
寒いからとヒーターを入れておくためにエンジンをかけたままにして雪中で寝てしまうのは非常に危険な行為だ。雪がなくてもエンジンをかけたままにしておくと一酸化炭素中毒の危険性はあるが、雪が積もっていると排気管が塞がれて車内に一酸化炭素が流入してしまう危険性が更に高まる。実際にこれで命を落とす事故例は案外少なくもないようだ。
暑いから(エアコン)寒いから(ヒーター)とエンジンをかけっぱなしにするのはとにかく絶対にダメ。
騒音
エンジン音以外にも騒音はあり、種類も色々ある。一方では心地よいと思っても他方では不快になってしまったら騒音だ。逆に言えば、例えば多くの人が騒音と感じる爆音エンジンの空吹かしも、やっている本人達には心地良い音だったりするのだ。
確かオーストラリアでの話だったと思うのだが、面白い逸話がある。ショッピングセンターかどこかの駐車場にたむろって、大音量で音楽をかける騒ぎ放題の輩達がいた。大人達は手を焼いていたのだが、正攻法で何をやっても効果がなかったところ、ある画期的なアイディアで平和的に大成功を収めたのだ。
その方法というのが、輩達が集まる時間になると、そこで大音量でバリー・マニローをかけてしまうという攻撃方法だ。知らない人のために説明を加えるとバリー・マニローは70年代に活躍したポップシンガーで、ソフトで全然うるさい類の音楽ではない。
日本で例えるなら布施明か五木ひろし辺りといったところだろうか。オッサンオバサン達の多くには心地良く聞こえるか気にもならない音楽なのだが、言っちゃ何だが若者にとってはダサさの極みのような音で、ヤンチャ坊主達はたむろうどころかそこに居ることさえ耐え切れなくなり、見事ヤンチャ坊主達はバリー・マニローに撃退されてしまったのだ。
このように、音というのは聴く側次第。自分では最大公約数的に良い音だと思っていても、100%皆に好まれる音楽などないと思った方が良い。独りよがりにならず、キャンプ場でも駐車場でも音楽には十分に注意した方が良い。
また、雑踏や居酒屋で大きな声で話す声があっても気になる人が少ないのは普通だが、美術館や図書館ではほんの僅かな物音も気になってしまうし、電車やバスの中で普通に会話をしている人より携帯電話で話している声の方が気になってしまったり、大きく聞こえてしまう(実際に声が大きくなってしまう人もいるが)ことがある。
要するに場違いでなければ耐えられるものも、場違いであると気持ちが判断してしまうと耐えられなくなるのだ。空気を読むという言葉は個人的には好きではないが、その場の雰囲気というものを判断して、話し声のボリュームやトーンにも注意を払った方が良いと思う。
車内での火の使用
換気の悪い車内で火を使うと酸素が足りなくなり、一酸化炭素中毒を引き起こす危険性がある。もちろん火事を起こす危険性もある。
また、窓を閉め切った車内で一泊するだけでも、朝起きたら窓が結露で真っ白なんてことも普通にあることだから、換気扇もない車内で窓を閉め切った状態で煮炊きなどすると結露で凄いことになる。酷い場合は朝起きたら寝袋の表面がずぶ濡れ状態なんてことにもなりかねない。
そういった点にも注意を払って作られているビルダー製のキャンピングカーなら比較的安心ではある。
また、カセットガスを使うヒーターなどの類は、現在自動消火装置がないと屋内用として販売することはできない規則があったと思う。だからと言ってこういった機能だけに頼りきってしまうのも良くない。自分自身で注意を怠らないことが何より大切だ。
例えば、窓を閉め切った状態で車内で火を使う場合は十分な換気が必要だが、使い切りのエアゾールのような消火器もあるので、最低限そういった物は用意しておくべきだ。
また、調理は比較的短時間で済む場合が多いが、暖房は調理より通常長時間に及ぶ。例え安全装置がついていようと換気に注意を払おうと、直接室内の酸素を使ってしまうヒーターの類はなるべくなら使わない方が良いと思う。
どうしても車内の空気を温めたいのなら、やはりべバストのようなFFヒーターを導入すると良い。FFヒーターは高価だけど、電気毛布や電気のヒーターにはポータブル電源などが必要で、それを導入するといづれにしても結構なコストになる。
FFヒーターのある知人の車の中で酒を酌み交わしていたら、あまりに暖かくて寝落ちしてしまった経験が私にはある。確かにFFヒーターは暖かい。本当に寒がりの人はこういうところにこそコストをかける価値はあると思う。
しかし、中には「FFヒーターか最低でも電気毛布がなければ冬の車中泊はできない。」なんて言い切ってしまう人もいるが、雪山に張ったテントのことを思えば車の中なんて雲泥の差であって、歩いて雪山に登っている時と違って、車ならいくらでも荷物を運ぶことができる。
封筒形の寝袋の中にマミー形の寝袋を入れて、二重に重ねた寝袋の上にさらに毛布でもかければどんなに寒がりでも寝られないことはないでしょと思ってしまうのが、私の本音でもある。
ゴミの放置
これについては説明すること自体が不愉快で、次元が低すぎて情けない。
道の駅・高速のSAやPAなどでやってはいけないこと
ここまでに挙げたのは、どこで車中泊をしようとやってはいけないことだ。
しかし、車中泊利用車の多い道の駅や高速のSAなどで特にやってはいけないことがある。
キャンプ
先程仮眠は良いがキャンプはダメで、仮眠とキャンプを区別する明確な定義もないようなことを書いた。また、駐車場に椅子とテーブルを広げて食事をしても、テントを張っていなければキャンプじゃないなどと屁理屈のような主張を展開する人もいるかもしれない。
しかし、キャンプ自体が目的なのと、旅の目的のための仮眠とでは全く意味が違う。そこに認識の大きなズレがある。
仮眠は字の如く「仮に寝る」ことであって、「車内休憩」として許されるのもせいぜい車内で軽く食事をとる程度だと思う。どんな屁理屈をこねようと、車の中で寝て、外で椅子やテーブルを広げて食事でもしようものなら、それはキャンプだ。
中には、最初からキャンプを楽しむために道の駅などへ向かう人もいるようだが、キャンプ自体を楽しみたいなら、それ用の場所へ行くべきだ。
トイレなどでの炊事や食器洗い、ゴミの放置
これもキャンプとしての活動の範疇に入るが、考えればわかること。
トイレに行って手を洗おうとして、洗面器に米粒や食べかすが落ちていたら他の人は不快でしかない。掃除に手間もコストもかかる。
駐車スペース以外の駐車
高速のSAやPAの駐車スペース以外に車を停めるトラックドライバーは案外多いが、一般の車中泊者では少ないと思う。しかし、一応言っておくが違法であることはもちろん、危険なので絶対にやめた方が良い。
一般車で問題なのは身障者用エリアに健常者が停めることだ。
また、普通車以下のサイズの車を大型車のエリアに停める人もいるが、夜は特に混雑して場所の減ってしまう大型車エリアに停めると、本当にトラックドライバーが迷惑するので、これもやめていただきたい。
逆に大型車エリアが空いているのにわざわざ小型車エリアにエンジンをかけたまま駐車するようなマナー違反のトラックドライバーもいる(新東名など新しいところはこれができなくなっているところも増えているが)。
寝ていて隣に来られたりすると腹が立つこともあるが、これはもう知恵で解決するしかない。隣に大型車が停めにくいような場所を選ぶのだ。
しかし、いづれにしても高速のSA・PAは夜中でも車の出入りが激しくてうるさい。そういう場所なのだから文句を言っても始まらない。
私はSA・PAで寝るときのために、100均で買った耳栓を常備している。これはお値段以上に安眠効果絶大なので必需品だ。
最もやってはいけないこと
最後に、最もやってはいけないことを挙げるとするなら、起こしたくて起こす人はいないと思うが、事故だ。
免許という意味は本来やってはいけないことを許可されたという意味であって、「車の免許は本来公道で動かしてはいけない自動車という物を動かしても良いという特別な許可をもらっていることだ」といったような話を運転免許の更新か何かの機会に聞いたことがある。
まだキャンピングカーでペダルの踏み間違え事故の話は聞いた覚えがないが、車の運転の怪しくなった都内に住む裕福な老人が車の運転をしなければならない理由などあるだろうか。レストランの予約に遅れそうならタクシーを使えば良いだけだ。話が逸れたようだがそうでもない。実は最も重要なことだ。
車中泊でやってはいけないことを書き連ねているうちに、車を運転すること自体が本来やってはいけないことを特別な許可を得てやっていることなのだということを思い出してしまったのだ。車中泊以前の問題として、車を運転するからには悲惨な事故のことなどもたまに思い出して、気を引き締める必要があると思った次第だ。
それから、とかく人はグループ分けしたがるものだ。一部の者のせいで「キャンピングカーに乗っている奴や車中泊をしている奴らは……」のようなイメージを抱かれてしまうのも大迷惑だ。そうしたことも考えて行動する必要があるとも思う。
ライター:笠原 サタン
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- 執筆者プロフィール
- 車旅情報Webマガジン「DRIMO」
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