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エンジン停止していても動くカーエアコン?!開発の展開が気になる「Parkooler」
キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容および記事タイトルはDRIMOからの引用・参照です
今年2月のジャパンキャンピングカーショー2022に来場した人は、展示されていた「きゅうでんしゃ」を覚えておられるだろうか。
北海道・帯広のバンコンビルダー「ドリーム・エーティー」のブース内に、参考出品としてひっそりと展示されていたのだ。
謙虚なプレゼンテーションとは裏腹に、技術的にはかなりエポックメーキングな内容だった。
その「きゅうでんしゃ」の進化形が、先日の東京キャンピングカーショーに登場した「Parkooler」だ。
「きゅうでんしゃ」の進化形「Parkooler」とは
デモ車両は「きゅうでんしゃ」同様、一見何の変哲もないトヨタ・ハイエース。
ところが、エンジンが止まっているにもかかわらず、前後のカーエアコンから勢い良く冷風が噴き出している。
通常カーエアコンの冷房運転は、エンジンの力でコンプレッサーを駆動している。
だからエンジンを止めれば止まってしまうのだ。
しかしこの「Parkooler」はハイブリッド車の技術を応用し、エンジンを停止した状態でもカーエアコンを作動させることを可能にした、という代物なのだ。
「Parkooler」の仕組み
もう少し具体的に、概要を説明しよう。
ハイブリッド車は走行中、状況に応じてエンジンを動かしたり停止したりする。
そのため、従来のような「エンジンでコンプレッサーを駆動する」方式が使えない。
そこでハイブリッド車はモーターで駆動する電動コンプレッサーを搭載し、エンジンの運転状況に関わらずカーエアコンを作動させているのだ。
そしてこの「Parkooler」も電動コンプレッサーを利用している、というわけである。
「Parkooler」には従来の「エンジンで駆動するコンプレッサー」に加え、電動コンプレッサーを(つまりコンプレッサーが二系統)搭載している。
コンプレッサーこそ2つ搭載することになるが、エアコンそのものは車についているカーエアコンが使えるのだから、追加の室内・外機を必要としない。
エンジン運転中(走行中やアイドリング中)はエンジン駆動のコンプレッサーで、エンジン停止中(キャンピングカーとして停泊中)は電動コンプレッサーでエアコンを稼働させるという構造なのだ。
これにより、様々なメリットが生まれる。
十分な能力
通常の車は断熱処理されていない。
だから真夏の車内はエンジンを切るとすぐに室温が上昇し、とんでもない高温になる。
だが、そんな断熱性能の低い車を冷やすだけの能力があるのがカーエアコンである。
断熱処理を施したキャンピングカーなら、十分な能力が見込めることはおわかりいただけるだろう。
耐久性
カーエアコンは振動や耐食性など、そもそも車で使うことが大前提に設計・テストされている。
世界各国で100万台以上に使われているわけだから、耐久性は折り紙つきといえる。
省スペース
元々車両に組み込まれているカーエアコンを利用するから、室内スペースは犠牲にならない。
苦労して追加の車載エアコンや家庭用エアコンを取り付ける必要もない。
既存の車にも装着できる?!
さて、気になるのは電源である。
「きゅうでんしゃ」ではリチウムイオンバッテリーを搭載して、サブバッテリー機能&カーエアコンのエネルギー元としていた。
今回展示された「Parkooler」ではリチウムイオンバッテリーは搭載せず、外部電源(AC100V)でのみ作動、となっていた。
そこだけ切り取って考えると、一見「退化」の様にも思える。
だが、リチウムイオンバッテリーはまだまだ高価である。
システムをシンプル化することで価格を抑え、外部電源さえ得られれば使えるというメリットは大きい。
RVパークやキャンプ場などAC電源を備えた場所はもちろん、最近流行中のポータブル電源でも対応可能。
大容量サブバッテリー×インバーターの組み合わせでももちろんOK。
つまり、十分に活躍の場はあると言える。
さらに、システムがシンプル化した最大の利点は「既存の車にも装着できる」ということだ。
前述の通り、元々のカーエアコンを使うので室内・外機を取り付けるスペースを捻出する必要がない。
軽自動車やワンボックスカーなどのコンパクトな車両にも、後付けで装備可能だという。
新車のときにしか装着できないシステムが多い中、これは期待大といえるのではないか。
コンパクトキャブコンやバンコン、軽キャンピングカーオーナーなら気になるParkooler。
残念ながら、今のところ市販時期などは発表されていない。
しかしその完成度は高く、次の展開が待たれるシステムだ。
ライター:渡部 竜生
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