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MYSミスティックのキャンピングカーの魅力とは!?【渡部竜生のビルダー列伝 Vol.2】
キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容および記事タイトルはDRIMOからの引用・参照です
ユニークな外観と可愛らしいインテリアで人気のレジストロやアンセイエで知られる、MYSミスティック社。
実はそのルーツはトラックキャンパー=トラキャンにある。
近頃はトレーラーにもラインナップを広げた同社について、ご紹介しよう。
アメリカントラック好きから始まった
同社の社長、佐藤 正さんは大のアメリカントラック好き。
荷台にぽん、と載せればキャンピングカーに変身する「トラキャン」の魅力にハマったのがミスティックのスタートだ。
販売を手掛けるようになったのが30年ほど前のことである。
最初はアメリカ製のランスなどのトラックキャンパーを輸入販売していたが、それらは当然、アメリカ製トラックに合わせたサイズ。そのままでは国産車には搭載できない。
そこで佐藤社長は1999年に純国産トラックキャンパー『J-cabin』を開発した。
開発にあたっては、単にサイズを国産車に合わせただけにとどまらなかった。
アメリカ製トラキャンの多くが木製フレーム×アルミ外装という構造だが、湿度の高い日本で使うには、それでは腐食などの問題があった。
そこでアルミフレーム×アルミ外装という組み合わせをチョイス。同社が『ボディパス工法』と呼ぶ方式を編み出したのだ。
これは強度・耐久性に優れた独自の工法で、今もあらゆる商品の製造に採用されている。
J-cabin以来、ミスティック社では国内で販売されるトラックに合わせたキャブオーバートラックから軽トラック用のものまで、様々なモデルを製作してきた。
だが、日本国内でのトラキャン・マーケットは非常に限定的だ。なぜなら、アメリカに比べて、圧倒的に「トラックマーケット」の規模が違うのである。
アメリカでは、車両価格や税制の面でピックアップトラックは実に有利。2019年の新車販売台数を見ても、乗用車が約481万台なのに対し、ピックアップは約1千234万台と、3倍近い販売台数を誇る。
対して日本では、むしろ税制面で不利。ピックアップトラックの販売は限られているので、おのずからトラキャンのマーケットも非常に限定的になるというわけだ。
とはいえ、今もトヨタ・ハイラックス用など、J-cabinシリーズは継続中。同社のルーツは地道に守られている。
商品を拡大しても健在なのは「こだわり」
トラキャンの製造は続けつつも、バンコンや軽キャンパー、そしてキャブコンへと様々なジャンルの製品を生み出すようになったミスティック社。
今や幅広いラインアップを誇る総合キャンピングカービルダーに成長している。
もちろん、その背景にはトラキャン製造で培ったノウハウと技術がある。
まず、同社の製品すべてに貫かれているのが、愚直なまでの「技術的な」こだわりだ。
同社のWebページには「当社の車輛は、軽量化の極地を目指すことを第一の使命とし…」とある。実際、どの製品を見ても各所にそのこだわりぶりが見て取れる。
代表的なのはやはり、独自のボディパス工法だろう。
トラキャンから始まり、レジストロやアンセイエにまで受け継がれているこの工法は実に手がかかる。
具体的に説明しよう。まず、フレームである。簡単に切れて接着剤や木ネジで組み立てられる木材と違い、溶接せねばならないアルミフレーム。
その時点で手間もコストも木材よりもはるかに上だ。しかし、重量・強度・耐久性の面から、これは譲れないという。
さらにレジストロのデザインをみるとわかるが、ボディ部分にはカーブがある。
愛らしい外観にこだわった結果、アルミフレームにも曲線を付け、外装のアルミもそれに合わせて設置してゆく。内部に仕込む断熱材もしかり、である。これをこだわりと言わずして、何と言おう。
新しい車両やオプションは、もちろん佐藤社長自らテストを重ねなければGOサインは出ない。彼の納得がいくまで、製品化できないのだ。
なにしろ、自宅にいても、寝るのはトラキャンで…というくらいの熱烈なキャンピングカーファンなのだから、その徹底したユーザー目線が厳しいのは想像に難くない。
あえて「誰もやらないこと」を
「うちは後発だしニッチなところを狙わないと」と謙遜する佐藤社長だが、実際、同社の魅力はそこにあると思う。同社の姿勢は、あえて難しいところにチャレンジしようとしているようにさえ見えるのだ。
例えば最近の同社を代表する、『アンセイエ』と『レジストロ』のユニークな外観。
直線基調で、バンク正面は逆スラントという『アンセイエ』。
曲面が多用される昨今ではむしろ際立つデザインで、しかもバンクベッドの天井高が高いというメリットもある。
曲面が難しいといいながら、何とかできないかと試行錯誤を重ねて、可愛らしい丸屋根風のデザインを実現したのが、さきほどご説明した『レジストロ』と『レジストロ・アウル』だ。
そこに加えて、同社最新のチャレンジは「トレーラー」である。
小型キャンピングトレーラーの『レジストロ・クコ』は「低価格で気軽にキャンピングカーライフに飛び込める『トレーラー』をもっと普及させたい」という発想から。
そのためには「日本の道路事情に合わせた小型トレーラーが必要だ」という佐藤社長の考えで、軽自動車でも牽ける(※)小型軽量なトレーラーを開発、話題を呼んでいる。
※重量面からオプションなどに制約があります
「他とはちょっと違って見える」デザイン面だけでなく、徹底したユーザー思いの商品作りを続けるミスティック社。
「次のキャンピングカーもミスティックで」というリピーターが多いのも、その姿勢あってのことと言えそうだ。
ライター: 渡部 竜生
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- 執筆者プロフィール
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