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日産のSR20DET型エンジンの特徴とは?リビルトとオーバーホールする際の注意点は?
目次
SR20DETエンジンを復活させる方法
1991年に登場してから2002年までの約10年を駆け抜けた日産を代表するエンジンですが、それでも、販売終了から古いもので25年、新しくても15年近くの時間が経っています。
いま愛車に搭載されている、またはこれから手に入れる車に搭載されているSR20DETエンジンを新品同様に復活させることは可能なのでしょうか。
時間が経つとエンジンはどうなる?
どんな機械でもそうですが、長く使っていたり製造から時間が経つとどうしても性能は落ちます。
まして、エンジンは爆発、回転といった仕組みの中で、様々な部品が酷使されます。
そのため、長い時間使用されているエンジンは、部品同士の摩耗、古くなったエンジンオイルの固着など、正常な動作の妨げが発生します。
これは自然になくなるものではないので、エンジンの性能は時間が経つにつれどんどんと下がっていきます。
エンジンの能力低下を最低限に抑えたい
SR20DETに限らず、全てのエンジンに言えることですが、定期的なメンテナンスをすればエンジンの性能を保ち続けることができます。
代表的なのはオイル交換です。
エンジンオイルは部品の保護、潤滑を目的に使用されますが、時間が経つと変色や劣化をします。
劣化をしたエンジンオイルは求めるパフォーマンスを発揮しないだけでなく、交換しないでいると故障の原因にもなります。
定期的に交換することで、エンジンパフォーマンスを一定にすることが可能です。
特に、サーキットで長時間高回転でエンジンを使用した場合などは、通常よりも速く劣化するので、こまめな交換を行いましょう。
エンジンの性能をよみがえらせたい
エンジンオイルや定期的なメンテナンスでも、緩やかに下がっていくエンジンのパフォーマンス低下は避けられません。
エンジンの性能を新品同様に蘇らせたいと思ったら、オーバーホール、リビルトエンジン、コンプリートエンジンへの乗せ換えといった、大掛かりではありますが、効果の高い選択肢があります。
これらを導入することで、新品の様なエンジンに生まれ変わります。
SR20DETをオーバーホールする
エンジンをオーバーホールすると、エンジンは新しく息を吹き返します。
一体どのようなことをするのでしょうか。
エンジンのオーバーホールとは
エンジンは頑丈な外側のカバーの中で、多くの部品が緻密に稼働しています。
そのため、外から見ただけではどこにエンジン不調の原因があるのかがわかりません。
そこでエンジンを車から降ろし、そのエンジンを分解し点検をします。
この時、分解した部品は洗浄して組み直し、交換が必要な部品は交換をします。
エンジン全部を分解してそのまま組み上げることもできますが、中にはこれを機会にピストンの大きさを変えて排気量を大きくするなどの改造を施す人もいます。
オーバーホールのメリット
オーバーホールは分解・洗浄・組立を行うほか、その過程で交換すべき部品や耐久年数が近くなって近々性能が落ちることがわかっている部品を交換するため、いわばリフレッシュする状態になります。
SR20DETはまだ部品もそれなりに存在するので、初期に製造されたエンジンをオーバーホールすることで、新品に近い形に戻すことができます。
オーバーホールのデメリット
オーバーホールそのもののデメリットはあまりありませんが、エンジンを下ろして解体するという作業上、どうしても時間がかかります。
また、一度内部を洗浄してしまう関係から、エンジンが組み上がってすぐにはエンジンを高回転で使用することはできません。
エンジン内では金属同士が激しく動き、摩擦が発生します。そのため、いわゆる「ならし運転」をしないとバランスが崩れ、本来の性能を引き出せなくなります。
オーバーホールの費用
オーバーホールはエンジン全体から一部の部品まで、色々な範囲で行うことができ、また作業工賃なども業者によって様々なので、お店と相談しながら進めるのがよいでしょう。
SR20 DETの場合、エンジンの解体、寿命の近い部品や消耗品の交換、部品洗浄や擦り合わせといった、かなり細かいところまで実施する場合は50万円前後から行っているところが多いようです。
SR20DETのリビルトエンジン
オーバーホールよりも細かく分解し、新品同様によみがえらせる手段があります。
それがリビルトエンジンというものですが、これはどんなものなのでしょうか。
リビルトエンジンとは
リビルトとは、再構築を意味する「re-built」のことで、文字通り、エンジンを部品1点1点にまで分解し、消耗した部品はすべて取り替えるなどして新品にできる限り近づけていくものとなります。
大抵のリビルトエンジンは、寿命となったエンジンを完全再生したものとなっています。
オーバーホールではエンジンを一部または全部を分解し点検しますが、リビルトエンジンは、部品一点一点まですべて分解します。その上で、洗浄や研磨はもちろんのこと、消耗品や燃焼に関係する細かい部品をすべて新品に取り替えます。
土台となるのは既存のエンジンですから、中古のエンジンと言えないこともないですが、中身は新品同様のものになっています。
リビルトエンジンにする方法
リビルトエンジンの対応は業者によって異なりますが、今あるエンジンを下取りに出し、すでに組み上がっているリビルトエンジンに乗せ換えることが多いです。
下取りに出したエンジンは分解され、新しいリビルトエンジンとしてよみがえり、またどこかの車に搭載されるサイクルになっています。
リビルトエンジンのメリット
オーバーホールと違って、新しいエンジンと交換をするようなものなので、愛車の劇的な変化にすぐに気づきます。
消耗品は新品になることから状態も新品に近い状態になりますから、快調な走りが楽しめるようになります。
また、オーバーホールと違い個別対応が必要ないこと、作業として取り付けるだけといったことから、オーバーホールよりも安く仕上がることがあります。
リビルトエンジンのデメリット
どの部品をどこまで交換するか、というのは業者の判断ですから、どうしても同じSR20DETのリビルトエンジンだとしても性能にバラつきは出ます。
また、一部は中古部品を使用している事実は変わりませんので、外見は中古品、中身は新品相当という認識を持たれるとよいでしょう。
取扱業者としっかりと情報交換をして、自分の求めるリビルトエンジンを手に入れましょう。
また、業者によっては、下取りに出すエンジンも正常に動くことを前提としているところもあり、エンジンブローしたエンジンでは受け付けてくれないこともあります。
SR20DETリビルトエンジンの費用
SR20DETはリビルトする場合でも土台となるエンジンの個数が多いため、多くの業者で扱っています。
場合によっては、ネットオークションなどでも取引が可能です。
一般的なケースとしては、
エンジン単体:30万円~
エンジン+取り付け工賃:45万円~50万円前後
となっており、大掛かりなオーバーホールよりも安く、効果の高いエンジンを手に入れることができます。
SR20DETエンジンのオーバーホールやリビルトエンジンの注意点
エンジンをオーバーホールしたりリビルトエンジンにすることは、愛車のパフォーマンスを復活させる魅力的なサービスですが、注意点もあります。
信頼できる業者を選ぶ
エンジンは車の動力を生む、まさに心臓部分です。
それを一回分解する訳なので、当然ながら高い技術力が必要です。
分解、洗浄も当然ですが、しっかりと組み上げる力を持った業者を選ばなければなりません。
オーバーホールもリビルトエンジンも料金は様々ですが、せっかく費用をかけてすぐに不具合が出ては元も子もありません。
インターネットの検索やくわしい友人、親しいショップなどに相談をして、業者を選びましょう。
新品以上にはならない
オーバーホールは分解、点検を行うもので、リビルトエンジンは新品同様に組み上げるエンジンです。
つまり、分解の際、排気量をアップさせたりといった改造を同時に行わない限りは、新品以上のパフォーマンスを持つことはありません。
あくまで、不良個所がなくなる、または新品同等になるものだと意識しましょう。
エンジンだけではない注意点
オーバーホールはオーバーヒートなどといったエンジンへの高負荷による故障でも施されます。
また、リビルトエンジンは慢性的な不具合を一気に改善させることができます。
これらが必要になるということは、通常よりも多くの距離を走っていたり、エンジン周辺の部品が酷使されていることが多くあります。
エンジンをオーバーホールしてパフォーマンスを復活させても、それを伝える駆動系が劣化していたり、走るための足回りに異常が出ていては全く意味がありません。
オーバーホールやリビルトエンジンの選択が生まれる際は、車体を総合的に点検、修理、部品交換する必要性があると考えましょう。
SR20DETのコンプリートエンジン
手っ取り早く改造されたエンジンが欲しい、有名ショップと同じエンジンで走りたい、そんな願いをかなえてくれるのが、このコンプリートエンジンです。
コンプリートエンジンとは
SR20DETは、エンジンの素材にアルミを使用しているため、大きく馬力を向上させないライトチューンには向いていますが、500馬力位になるとそのパワーにエンジンがついていけません。
しかし、有名なお店のデモカーやD1グランプリなどには、500馬力、600馬力といったSR20DETが存在します。
これは当然それ専用のチューニングを施しているからですが、お店によってはそのエンジンそのものやそのエンジンと同じ備品やメニューを提供している場合もあり、大掛かりな改造や長い時間をかけることなく、ショップと同じエンジンを手に入れることができます。
パワーや操作性、耐久性の向上が目的なので、エンジンの寿命を延ばすオーバーホールとは目的が異なります。
コンプリートエンジンのメリット
エンジンがリフレッシュするだけでなく、パワーアップまで果たせる夢の様なメニューが最大のメリットです。
業者によってエンジンの組み立て方に特性があり、ピークパワーよりも使いやすさ、トルクを大きく向上させるなど、自分の好みに合わせたエンジンを選べるのが大きな特徴です。
SR20DETの弱点でもあるアルミ素材の耐久性を、部品交換などにより強化することで、排気量アップを実現したりするなど。チューニングの幅も広がります。
強化ポイントも選べるため、専門業者から発売しているコンプリートエンジンへの着手の際、ボアアップと言ってピストンの径を大きくし、排気量を2Lから2.2Lすることで、パワー、トルクの両面の向上を果たすチューニングなどがメジャーです。
また、提供するお店によっては、エンジンヘッドカバーの色を変えたり、会社のロゴを入れたりすることで、ボンネットを開けた時の注目度は大きく変わるでしょう。
コンプリートエンジンのデメリット
そもそも改造されたエンジンに交換したり、エンジンを強化するために部品を交換するので、どうしても費用が掛かります。
併せて、排気量が変化した場合などはそれに合わせたコンピューターのセッティングが必要になります
また、エンジンの解体や調整が必要な場合には、時間がかかります。
排気量が変化すると、車検証もそれに合わせて変更になりますので、事務的な煩雑さも生まれます。
しかし、その手間をかけたとしても充分見返りのある効果が期待できます。
戻ってきた愛車は、間違いなく別物に変化してより魅力的になっていることでしょう。
エンジン本体をコンプリートエンジンに乗せ換える場合の費用
参考価格:約170万円(コンプリートエンジン代のみ、工賃別)
排気量:1,998ccから2,138ccへボアアップ
圧縮比:8.5から8.3へ変更
ピストン、コンロッド等をアルミから鍛造へ素材変更他、変更多数
現在のエンジン部品をコンプリートする場合の費用
参考価格:約40万円(部品代のみ、工賃別)
部品例:ピストン、コンロッド、クランクシャフトおよび周辺部品
排気量:1,998ccから2,164ccへボアアップ
エンジンを解体するため、エンジンのオーバーホール費用も掛かります。
コンプリートエンジンを検討するときの注意点
コンプリートエンジンはエンジンそのものの交換か、部品の交換をするのかで価格は異なります。
また、作業には専門技術が必要なので、オーバーホール同様に専門業者による工賃が発生します。
業者とよく打ち合わせを行い、しっかりと見積もりなどを取ったうえで行いましょう。
SR20DETは多くの可能性を秘めている
SR20DETの解説はいかがでしたか?
誕生から25年近く経過しているエンジンではありますが、D1グランプリ等のプロドライバーの支えになっているほか、ドリフトを楽しむ走り屋の間でも、まだまだ現役のエンジンです。
多くのアフターパーツやエンジンチューニングの実績が示すように、SR20DETはこれからも多くの可能性を秘めた、楽しみ外のあるエンジンであると言えます。
定期的なメンテナンスを怠ることなく、SR20DETを楽しみましょう。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...