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【救急車に試乗してみた】日産 パラメディック 新型“高規格救急車”の価格は?
目次
2018年に20年ぶりのフルモデルチェンジを果たした高規格救急車
2018年のフルモデルチェンジでタイトルに「新型」を悩んだ末につけたのだったが、救急車のモデルチェンジサイクルはとても長いので、今回は発売後(この表記が正しいかどうかは後述)1年ちょっとなので「新型“高規格救急車”」としてみた。
前回の東京モーターショー2017では、新型トヨタ・センチュリーの陰に隠れながらも常に撮影の行列ができていたのが、この日産の高規格救急車、車名は「パラメディック」だった。
今回は、日産自動車が初夏にメディア向けに開催した「はたらくクルマ」試乗取材会にて、特別に高規格救急車に「試乗」。そのレポートお届けします。
*高規格救急車とは…救急救命士が救急車内で迅速に救命処置ができ、医療器具などを装備した救急車。その仕様は1991年に制定された。
左右でセッティングを変えたサスペンションとか4気筒エンジンとか…
ご覧の通り、救急車は左側にスライドドアがあり、右側に機材が重たい詰まっている。このため、サスペンションは左右で異なるセッティングをしているとのこと。
エンジンスペックは、
2.5L直列4気筒ガソリンエンジン(NA/自然吸気)2.5L
最高出力:108kW(147PS)/5,600rpm
最大トルク:213N・m(21.7kgf・m)/4,400rpm
と非力な印象。車両重量は2,770kg、車両総重量では3,210kgと余裕の3トン超え。
ちなみに先代はV6 3.5L。日産自動車の担当者の説明によると、故障率を圧倒的に下げなければいけない耐久性、燃費を考慮すると、直列4気筒エンジンが最適だった。非力なエンジンは、トランスミッションのギア比でカバー。救急車ですから、必要十分な走りがあればよい。ただ、考慮したのは初速の加速。アクセルを踏み込んだとき、スッと前に出るようにセッティングした、とのこと。
地域によっては一日中走り回り、エンジンを切ることなくアイドリングを続ける救急車は、一日に数度の給油を行っていたのが旧型。燃費は新型になって改善され、給油によるダウンタイムが大幅に軽減されたとのこと。
最小回転半径は6.0m。国民車、トヨタ プリウスの最小回転半径は5.1~5.4m。差はあれどボディの大きさを考えたら、かなり優秀。ただ、救急車なので狭い小路で曲がる必要は多々発生して然るべき。ちなみにボディサイズは次の通り。
全長:5,330mm
全幅:1,880mm
全高:2,490mm
いざ試乗!
試乗は、実際にハンドルを握っての試乗、ストレッチャーで寝た状態で試乗の2回。救急車を運転するのはなかなかない機会。また、健康な状態でストレッチャーで救急車に載せられることもなかなかない。(試乗コースは、日産自動車の敷地内にて)
日産自動車の担当者が、初速の加速を重視したと言っていたことは本当だった。アクセルを軽く踏み込んだだけで、3トンの重量を100馬力ちょっとのエンジンで加速させたとは思えない軽さ。助手席に乗った担当者は「0km/hから20km/hの加速を重視してセッティングした」との補足。
試乗コースを走りだすと、後ろに満載された無数の機材からはガタピシ音が。担当者は「上からは、こののガタピシ音を消せって言われています」とのこと。これでもかなり改善されたとか。
周回コースに入ると、救急車でありながら、思った以上に運転しやすいことに気づく。担当者は「救急車の運転手もずっと緊張しながらハンドルを握るわけですから、運転のしやすさも大切にしています」とのこと。なるほど。
次はストレッチャーに乗せられて試乗。健康な状態で救急車に乗せられるのは取材といえども少し変な気分に。乗り心地は良いとは言えず、そこそこ揺れるしガタピシ音が耳につく。車重が3トンあって、耐久性を重視した上で必要最低限の乗り心地は確保されたといった感じ。
狭く揺れる車内で人命救助に臨む救急救命士に敬意を表したい。
救急車の中身を丸見せ!
せっかくの機会なので、救急車の車内を撮り倒した。細かい説明は日産パラメディック公式サイトのPDFがわかりやすいので、気になる方は下記のリンクからご参照を。
価格はいくら?一般の人は買えるのか?
ズバリ、日産パラメディックの車両価格は1,450万円。
担当者に一般の人でも買えるのかと伺ったところ「買えますが、そのままではナンバーがつけられません。赤色灯は法律で制定された緊急車両にしか付けられないなど、一般人が買ってもそのままではナンバーが交付されないようです」とのことでした。
どうしても欲しいというのなら、ガレージが庭に置くか、ナンバーが取れるように改造する…否、ベース車両の日産 NV350を買って合法的に改造して似せる、という選択肢か。
貴重な体験ができた試乗取材会、他の「はたらくクルマ」の取材記事は下記からご覧ください。
- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...