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「レトロカーブームが生んだ賛否両論の話題作?」でもカワイイからイイじゃん!ダイハツ ミラジーノ【推し車】
レトロカーブームが生んだ賛否両論の話題作
1980年代後半に、Be-1(1987年)をはじめとする「日産パイクカー軍団」が火付け役となったレトロカーブームは既存車にちょっと手を加え、個性的なテイストを手軽に与える手段として盛んとなり、販売面で元気がない車種のテコ入れにも使われました。
1990年代の代表作としてはスバルのサンバーディアスクラシックやヴィヴィオビストロでしたが、より本格的で激しく賛否両論を巻き起こした話題作といえば、ダイハツが2代にわたって作った「ミラジーノ」だったかもしれません。
MOBU編集部がAIに聞いた、「30〜50代のクルマ好きが興味をもつ名車」にもノミネートされており、特に初代はデザインの賛否はともかく、走り系のカスタムでも人気のあるクルマでした。
まだ売っていた「アレ」に似すぎ?!初代(1999年)
1998年10月から軽自動車の新規格化で、ダイハツの代表的な軽ベーシックモデル「ミラ」も5代目へとモデルチェンジ、先代に設定されていたレトロバージョン「ミラクラシック」の後継も当然設定…と思いきや、1999年3月に発売された後継車を見てみんなビックリ!
「これって、イギリスの名車”ミニ”に似ている…いや、似すぎじゃないか?!」
ダイハツとしては、1960年代の自社オリジナル小型車のコンパーノをモチーフとした…とは言うものの、2BOXスタイルでやられると2000年まで販売されていた、つまりまだバリバリ現役モデルだった旧ミニにしか見えません。
もちろん5代目L700系ミラをベースに外装を整えた(単純にポンづけで外装を取り替えたわけではないと言われますが)クルマですから、ミニとは異なる部分も多いとはいえ、あくまで1950年代の設計で維持にはアレコレ面倒な名車より手軽と、けっこう人気でした。
特にターボ車は通常版ミラのターボグレードより人気でしたし、チューニングパーツやドレスアップパーツも数多く販売されたため、デザインの賛否両論をヨソに愛好家は多く、中古車でもまだ高値がつきます。
新規格のダイハツ軽は小型車や軽オープンのコペンとの部品互換性も高いため、その気になればかなり走りに振ったホットハッチへの改造も容易ですから、この和製ミニはまだまだ需要がありそうです。
なお、輸出向けミラと同じ1,000ccエンジンを積んだ小型車登録の「ミラジーノ1000」も2002年に発売されましたが、エンジン以外は大した代わり映えがなく、4速AT専用車だったこともあってかあまり売れず、今ではちょっとマニアックなレア車となっています。
さすがにニュー◯◯とはいかなかった?2代目(2004年)
ベースの5代目ミラが2002年に6代目L250系へモデルチェンジして以降も継続生産されたミラジーノですが、2004年にはついにモデルチェンジ、さて旧ミニそっくりだったデザインは引き継がれたか…と思えば、またまたビックリ!
この曲線的な佇まいはなんというか…BMWがブランドを受け継ぎ、2001年に発売した「NEWミニ」を意識したデザイン…なのかなと?
さすがに「もうミニと呼べない大きさ」と言われたNEWミニを、日本の軽自動車規格そのままで再現するのは不可能でしたが、では他の何に似ているかと言われても困りますし、やはり意識はしたけど無理はせず、よくまとめたデザインと言えるかもしれません。
ターボエンジンなしの4速AT専用車でしたから、先代までの走り系ユーザーは多くが離れて販売の勢いもソコソコ程度ではありましたが、余計な先入観を持たずにジックリ見れば、日本の古い町並みにも似合う落ち着いた大人の雰囲気があります。
ムーヴやタントの台頭で、ダイハツの主力車種から滑り落ちたミラが実用車に徹していたのに対し、派生車種とはいえ別ボディで果敢にクラシックとモダンの融合に挑戦した2代目ミラジーノは、レトロ系デザインに対するダイハツの新境地だったのかもしれません。
ただ、「これにMT+ターボ車があれば買いだったかもしれないのに」と思っていたユーザーもいたであろうと思えば、ちょっと惜しいところでしたが。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...