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速すぎた原付【ランペットCA2】 “50ccスポーツ”の伝説を辿る

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原付スポーツの始まりを語るうえで、トーハツ ランペットの存在は欠かせない。1960年に登場した初代から、翌61年に投入されたランペットスポーツCA2へ――短いながらも濃密な歴史を振り返る。

モーサイ掲載日:2025年12月11日

原付スポーツ黎明期を象徴した‘60年型ランペットの登場

’60年に登場したランペットは、原付スポーツ黎明期を代表する1台と言っていいだろう。当初のランペットCAは明確にスポーツをうたったものではなく、アップ気味のハンドルバーや深めの前後フェンダーなど、どちらかと言うとツーリング車的装備が与えられていた。

しかしながら、パイプ構成の軽量なバックボーンフレーム、本格的なテレスコピックフォーク、そしてクラスを超えたポテンシャルを秘める2ストエンジンなどなど、スポーツモデルとしての片鱗をすでに見せていた。

‘61年に投入されたCA2がもたらした性能向上と新時代の到来

そして翌’61年。前年秋の東京モーターショーで話題となった、ランペットスポーツCA2が実際に投入されることになる。

4.5psを発揮したCAのエンジン(それでもスーパーカブと同等)は、膨張室を備える2段マフラーなどで6psにまでチューンされ、各種装備類もスポーツ車にふさわしいものとされた。最高速度は実測で90㎞/h以上をマークするなど、公道用50㏄モデルとしては破格の高性能を示した。同車の登場は、モーターサイクルでスポーツをする……という新たな時代の訪れを多くの人に感じさせた。

幅の狭い一文字ハンドルが、CA2の外観を特徴付けるアイテムのひとつ。メーターはなんと120㎞/hスケールで、小ぶりなバイザーの装備も新鮮かつスポーティだった。
キャブレターはTK(TK気化器:現テイケイ気化器)製のPA17。これがキットパーツになるとミクニ製のVM19になる。これは同社製125㏄モデルに匹敵するサイズだった。
エンジンは圧縮比10.5と2ストエンジンとしては高い設定。ミッションは3速だがキットパーツでは4速が用意され、さらに二次側クラッチに変更するパーツもあった。
ゼッケンプレートを形取ったビニールレザー製サイドバッグは、CA2のチャームポイント。容量は少ないが収納スペースとなる。初期は「ランペット」とカタカナ書きだった。
小径のリーディングトレーリング方式のブレーキ。軽量な車体では十分な性能。タイヤは初期がビードエッジ型で、リムを交換しなければ現行のタイヤを履くことができない。
フラットな座面のシート。着座面積は狭く、長時間の乗車には向かないだろう。キットパーツならびに市販レーサーCR2では、ストッパー付きのレーシーなものが採用された。

このCA2においては、新車に付属する取り扱い説明書にレースに出るための手引きのような記載までなされ、オプションで用意された様々なキットパーツは、さらなる性能向上を実現させることができた。

それらキットパーツをあらかじめ組み込んだ市販レーサー、CR2もすぐに発売され、50㏄スポーツのジャンルはトーハツの独壇場になるかのように見えた。

高性能ながら市場が追いつかず苦戦したランペット

だが、レース結果とは裏腹にマニアックすぎる作りのランペットの売れ行きは、トーハツの期待したほどには伸びなかった。まだまだ原付スポーツ市場が成熟していない時代において、多くのユーザーたちはどんな使い方にも対応できる、ホンダのスポーツカブをより強く支持する結果となったのである。

CA2の発売からわずか数年後、トーハツは倒産し2輪車製造から撤退することになる。それゆえ同社がスポーツモデルを製造したのは、ほんの短い期間だけとなった。

ランペットCA2が残した評価

ランペットという名前は、現在のバイクシーンでは決してメジャーではない。しかし、‘60年代の原付スポーツ黎明期において、その存在はきわめて鮮烈だった。初期型CAがすでに秘めていたポテンシャルは、翌年に登場したCA2で一気に開花し、公道用50㏄としては破格の性能と、新しい“スポーツするモーターサイクル”の時代を感じさせたのである。

しかし、その先鋭的すぎる魅力は、当時のユーザー層にはやや早すぎた。多くの人がより汎用性の高いスポーツカブを選び、ランペットは市場の成熟より先に走りすぎた存在となってしまった。

それでも、ランペットが果たした役割は決して小さくない。短い期間に残したCA2という最高傑作、そしてそれを生み出した技術陣がその後に携わった名車たち――。それらに目を向けると、ランペットは“消えていったモデル”ではなく、“歴史を前へ押し進めたバイク”として記憶されるべき一台だと言えるだろう。

当時の空気や技術者の情熱まで想像しながら眺めると、ランペットというバイクはまた違う表情を見せてくれる。原付スポーツの始まりを語るうえで、この小さな一台は今もなお魅力的な存在なのだ。

文●上屋 博  写真●MCクラシック編集部

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