MOBY(モビー)自動車はおもしろい!

MOBY[モビー] > ニュース > ご当地メーカーオプション!かつては「鹿児島仕様車」があったってホント?
ニュース

更新

ご当地メーカーオプション!かつては「鹿児島仕様車」があったってホント?

災害や気候変動をはじめ、自然環境はさまざまな形で私たちの生活に影響を及ぼします。環境的な要因によってダメージを受けるのは自動車も同様であり、雪や潮風、花粉や黄砂などがカーライフにおける「悩みの種」となることもあるでしょう。

なかでも車体に深刻な影響を及ぼしうるのが、火山の噴火によってまき散らされる「火山灰」です。とくに噴火の頻度が高い鹿児島県の桜島周辺では、カーライフにおいてボディの汚れや各種フィルターの目詰まり、さらに道路状況の悪化など、火山灰の影響が著しいことで知られています。

多くの人にとって「火山の噴火」は縁のない問題のように思えますが、日本には111の活火山が存在し、これらが噴火した場合に影響を受けない地域というのは限られています。万が一、噴火による降灰が生じた場合、車体にはどのような影響があるのでしょうか。

火山灰が車に及ぼす影響は?

©jubipulse/stock.adobe.com

火山灰を構成する物質のなかには「火山ガラス」や「鉱物結晶」といった硬質な粒子が含まれており、さまざまな面で車体に悪影響を及ぼします。

まず対処しなければならないのは、ボディへのダメージでしょう。硬く尖った粒子が傷の原因となったり、二酸化硫黄をはじめとする酸性の火山ガスがメッキパーツなどの腐食の原因となったりします。

また、ガラス面に付着した灰をワイパーで除去しようとすると、無数の小傷ができてしまう可能性もあります。車両の灰を落とす際にはまずブロワーなどを用いてできる限り吹き飛ばしてから、高圧洗浄機などで丁寧に洗い流さなくてはいけません。

機関面への影響が深刻なケースも

火山灰はエンジンルーム内部にも、深刻なダメージを及ぼします。とりわけエンジンオイルやエアコンの「フィルター」は火山灰によって目詰まりを起こしやすく、降灰地域ではオイル・フィルター類を頻繁に交換しなければならなくなる場合もあります。

ブレーキまわりの部品への影響も、懸念されるポイントの1つです。ブレーキの構造内部に火山灰が入り込んでしまうと、正常に制動できなくなるおそれがあるため、降灰量の多い状況で走行した後には整備工場などでの清掃が推奨されています。

「独立行政法人 防災科学技術研究所」が作成したパンフレット「降灰への備え」では、降灰量が多いときには「80km~160km」の走行距離でオイルやフィルターの交換、ブレーキまわりの清掃が推奨されており、一般的な使用環境と比べてかなり高い頻度でのメンテナンスが必要になることがわかります。

降灰時の運転にも注意

降灰時には道路状況も悪化するため、JAFのホームページなどでは降灰量の多いときにはなるべく運転を控え、急を要する場合には十分に注意を保つよう呼びかけられています。

想定される影響としては、まず降灰による「視界の悪化」が挙げられるでしょう。大規模な噴火の際には昼間でも視界が暗くなり、過去の例では前方数メートルしか見通せない状況も報告されています。降灰時には積極的にヘッドライトを活用し、できる限り視界の確保に努めることが大切です。

また、道路に積もった火山灰により、タイヤ接地面の摩擦が低下します。1mmに満たない降灰量でも路面は滑りやすくなり、スリップ事故などのトラブルの原因となります。

その他、降灰によって道路標示が見えづらくなる、また停電にともない信号が機能しなくなるといったリスクも考えられます。

かつて存在した「火山灰仕様車」「鹿児島仕様車」とは?

©Paylessimages/stock.adobe.com

国や地域によって道路状況はさまざまであるため、自動車メーカーはシビアな環境を想定した「特別仕様車」を用意することがあります。

日本においてよく知られているのは、降雪地帯での利用を想定した「寒冷地仕様」でしょう。一般に、バッテリー容量の大型化やワイパーブレードの強化をはじめ、寒冷時の始動性を確保したり、凍結によるパーツの固着を防いだりといった対策がなされています。

かつて国内メーカーの一部車種には、火山灰に対策した特別仕様車が設定されていました。トヨタでは「鹿児島仕様」、日産では「火山灰仕様」と呼ばれていましたが、今ではなかなかお目にかかれない車両となっています。

火山灰仕様車、普通の車と何が違う?

トヨタ系のディーラーに話を聞くと、「以前はクラウンやマークIIといった車種に鹿児島仕様の設定がありました。ウォッシャータンクが大型化されていたり、外装のメッキ・モール類に防錆処理が施されていたりといった変更が加えられていました」とのことでした。

しかしディーラースタッフによれば、「クラウンは2世代前の200系、マークIIは最終型の110系だったと思いますが、その頃を最後に鹿児島仕様の設定はなくなっていき、現在でも取り扱いはありません」といいます。

また、日産系のディーラーによれば、「90年代前後から、セドリック・グロリアや、ローレル、スカイラインといった車種に火山灰仕様が設定されていました」とのことです。

日産の火山灰仕様車も、ウォッシャータンクの大型化や外装の防錆処理が主な内容であり、ディーラースタッフは「防錆やコーティング技術の向上にともない、火山灰仕様車は2000年代あたりからラインナップから姿を消していきました」と話します。

また、複数のディーラーから、「火山灰対策のオプションとして、現在ではボディやメッキのコーティングが主流になっている」という話が聞かれました。

現在はコーティングやエンジンルーム点検が火山灰対策のメインに

さらに降灰地域でのカーライフにおいては、「火山灰が積もった後のメンテナンス」が大きな意味を持つため、ディーラーとしては洗車やエンジンルームの点検を充実させることでニーズに応えている面もあるようです。

なお、火山灰は人体に影響を及ぼす可能性もありますので、降灰時にはまず自分の身を守る行動が必要です。首相官邸のホームページでは、対策として防塵マスクの着用や、目や皮膚を守るための措置が推奨されています。

「災害への備え」というポイントで車を選ぶなら?

車中泊でも安眠・休憩できるように、アイテムを揃えておくと安心!

執筆者プロフィール
鹿間羊市
鹿間羊市
1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...

\ この記事が役に立ったらシェアしよう /

MOBYをフォローして最新記事を受け取ろう

すべての画像を見る

画像ギャラリー

コメント

利用規約

関連する記事

関連キーワード