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「車検制度」は必要?海外では「義務付けられていない」国が多い理由に納得
日本で車検制度を廃止するのは現実的でない
車検制度を義務付けて、車社会の安全性を高めてきた日本。税金や手数料に加えて、劣化したパーツの交換がかさめば高額な費用とはなるものの、車そのものの安全性・耐久性向上と同時に車検制度の存在が交通事故の減少に繋がっています。
ある大手メーカー系列のディーラーの整備士を務める知人は、次の見解を筆者に話してくれました。
「車検の有効期限を設けることで、車の不具合を見抜き、お客様が事故に遭う可能性を少しでも抑えるのに役立てていると自信を持っています。
車検制度が整っていない海外の国々もある中で、日本の事故件数が年々減っているのは車両の耐久性や安全性能を高めたり、道路の整備を進めたりしただけでなく、車の整備をしっかり行うことを欠かしていないからではないでしょうか。」
近年の日本では、少しでも車検費用を抑えたり短時間化させたりするユーザーやサービスも多くなっています。
ディーラーや民間の整備工場でトレンドとなっている「スピード車検」は最たる例でしょう。
”最短60分!”などと掲げて、ちょっとした待ち時間で車検を完了できるのが特徴で、国から指定工場の認可を受けているため最寄りの陸運支局に車を持ち込まなくて済むのも、手っ取り早く車検が終わるポイントとなっています。
しかし、昨今ではニュースでも取り上げたように、大手メーカーの系列ディーラーで「不正車検」が行われていたこともわかりました。
不正車検では、作業の「回転率」を上げて客単価を少しでも高めようと、本来は重要な作業を省略するなど、正しい方法で検査が行われていませんでした。
2021年には愛知県内のトヨタ系列ディーラー店舗、2022年には東京都内のホンダ系列ディーラーの店舗が国から「指定自動車整備事業」の認定を取り消されたことが記憶に新しいでしょう。
このような不正が発覚する現代で、仮に車検制度の肝となる”義務”や”期限”が廃止されたら、日本各地でいつ事故を起こしてもおかしくない状態の車が走り回る可能性があります。
ディーラー・整備工場側は人員不足など理由があると思いますが、一つひとつの作業を正確に取り組まなければなりませんし、車の所有者は車検の義務・期限を守って、適宜不具合がないかどうかチェックをするべきです。
不正車検を防ぐことに繋げて、整備者側・所有者側それぞれが、「win-win」となる車社会を目指したいものです。
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- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。