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開発動機は“憤り”… 園児バス置き去り防止システム開発者が語る「世界から遅れた日本の危機管理対策」
AIカメラで園児を守る「バス用置き去り防止システム」が登場
まだ記憶に新しい、静岡県の園児バス置き去り事故。職員の降車確認ミスによって、送迎バスの中に取り残された女児が死亡するという痛ましい事故でした。原因は様々考えられるものの、やはり“人の目”に頼ること自体が間違いなのかも知れません。
そんな中、株式会社TCIが2022年10月3日に「園児バス置き去り防止システム」の販売を開始しました。
今回、開発された防犯システムは、AI機能を搭載したカメラを使った警告システム。園児がバス車内に取り残された場合、子供の力では自力で助けを呼ぶことはほぼ不可能です。万が一、子供が置き去りにされてしまった場合、瞬時にそれを察知し警告を促すよう、設計されている防犯システム。開発の発案などについてお聞きしました。
「弊社では、フォークリフトの安全装置として、人間を自動で検知・認識し、警告音を発するAIカメラシステムの販売をしております。
今回の事故を受け、このAIカメラシステムを置き去り防止として使用できるのではないかと、発想を得ました。
まずは、エンジンがオフの状態から起動するシステム基盤を一から作成。応用開発ということもあり、1週間程度で開発に成功し、“園児バス置き去り防止システム”として製品化に至りました」
フォークリフトの安全装置を応用するアイデアは、とても興味深い。また、発想力もさることながら、行動力を持って一週間という短期間で迅速に製品化まで辿り着けたのは、同じ子を持つ親として、胸が締め付けられるような思いがあったのではないでしょうか。
エンジンOFFで起動してバス車内を監視
同システムは、車のエンジンが停止した60秒後からバッテリーが起動。そのため教員やドライバーが降車した後も、AIカメラがバス車内を監視してくれます。
最大4台設置可能なAIカメラは、死角がないよう車内を網羅。検知範囲に「人間の姿(幼児も含む)」が入ると、大音量で警告音を鳴らします。警告時は音だけでなく、車外に取り付けられたライトも赤く点滅。聴覚と視覚両方で危険を知らせてくれるのです。
また、当システムは安全性の高い「LiFePO4」バッテリーを採用しています。ハイブリット車の駆動用バッテリーとしての実績がある「LiFePO4」を採用することにより、カーバッテリーへの負担が大幅に軽減されました。
- 執筆者プロフィール
- 小高皐月
- 1979年生まれ。会社員を経て、知人の縁で編集プロダクションに就職。子育ての経験を活かして様々な記事を担当していたが、取材をきっかけにドルオタ化。クルマを走らせながら一人でカラオケするのが大好きで、歴...