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長距離なら喜ぶでしょ!は大間違い?タクシーには「365kmルール」があるって知ってた?
長距離移動を頼まれると簡単に断れない…という苦悩も
ところが、長距離の移動をお客様から頼まれる場面では、タクシー運転手は”板挟み”に遭うケースもあるようです。
筆者の知人であるタクシー運転手に、長距離移動を頼まれた際どうするのか尋ねると「目的地によっては会社に連絡して指示を仰がないといけない」とのこと。
多くのタクシー会社では一般企業と異なり「隔日勤務」と呼ばれるシフト体系を使って働いているのが特徴。朝から夜遅くまで丸一日勤務したのち、翌日は休養日となるハードな勤務シフトを取り入れているそうです。
それに伴い、業務に使っている車は2人以上の運転手が出勤ごとにシェアする方式が一般的です。
例えば、筆者の地元である神奈川某所から、大阪に急用があるから向かってもらいたいとタクシー運転手へ頼むとしましょう。もしこのまま大阪までの移動を請け負ってしまうと、タイミング次第では翌日出勤してくるドライバーが業務に使う車がない事態に陥ってしまうかもしれません。
また、上記のように一日で定められている最高乗務距離も、大阪まで行ってしまうと上限を超えてしまう恐れがあります。
国が定めている「道路運送法」では、天災などやむを得ない理由で支障が生じるケースで、乗車を拒否できるとの法令があります。これに基づけば、長距離の移動を依頼してきた乗客を断れることになります。
しかし、「旅客自動車運送事業運輸規則」の第13条には”運送の引受け及び継続の拒絶”と、乗車を拒否できる条件が書かれていますが、長距離の移動に関する項目はありません。
タクシー運転手の知人いわく「会社は道路運送法に沿って指示を出しているのだと思いますが、距離を理由に乗車を丁重に断るケースがあります。
前に”名古屋へ行ってくれ”という乗客がいましたが、その日の私は朝から夜遅くまで勤務し、既に業務終了時刻が迫っていたため会社へ連絡し相談したところ、乗車拒否の指示がありました」と語ります。
ちなみに、乗車拒否に正当な理由がなければ、タクシー会社は道路運送法第98条に沿って100万円以下の罰金が課せられます。
サービス業では「お客様は神様」という考え方もありますが、タクシー運転手にとって無理のない労働環境のため、厳しいルールが作られているのも理解しなければならないでしょう。
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- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。