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ブレーキマスターシリンダーの点検・オーバーホール方法|交換時期や費用は?

マスターシリンダーの構造と仕組

ブレーキマスターシリンダー
©Dmitry Vereshchagin/stock.adobe.com

多くの自動車のブレーキ、クラッチは油圧によって動作しています。ブレーキペダルやクラッチペダルを踏んで、入力した力を油圧に変換する装置がマスターシリンダーです。

エンジンルームと車内との隔壁からニョキっと生えた、オイルの入ったタンクとその下の金属部品が、“マスターシリンダー”という部品です。

マスターシリンダーは安定したブレーキ、クラッチ操作には欠かせません。ブレーキが動作する仕組みを、以下の動画で確認してみましょう。

注射器を想像していただければ理解しやすいでしょう。2つの注射器同士をつないで、片側を押すと、反対側の注射器も同じ量だけ動きます。

マスターシリンダー内にはフルードと呼ばれる動作油が充填されています。フルードに、ペダルからピストンを介して圧力をかけることで、細い配管の先にあるブレーキやクラッチが動作する仕組みです。

自動車ではオイルを使い、圧力を媒介することで高圧、高温に耐え、高い応答性を発揮します。ブレーキという重要箇所なだけに信頼のおけるシンプルな構造となっています。

異常・故障した際の症状は?

ブレーキフルードのリザーバータンク
ブレーキフルードのリザーバータンク

ブレーキの効きが悪い・ブレーキペダルが奥まで入る・フルードが黒ずむ・クラッチの入れが悪いなどの症状が出た場合は、マスターシリンダーのオーバーホールが必要かもしれません。

マスターシリンダーはブレーキ、クラッチを動作させる重要保安部品です。異常がある場合は重大な事故につながる恐れがありますので、速やかに対処する必要があります。

磨耗したゴムパッキンや、金属疲労を起こしたスプリングを交換して新品の状態に戻してあげましょう。マスターシリンダーを構成する部品のうち、ピストンとシリンダーの隙間を埋めるのはゴムパッキンですし、ピストンを戻すのは金属スプリングの働きです。

また、長い間動かしていない車や、ブレーキフルードを長い間交換していない車は、マスターシリンダー内が錆などで固着している場合がありますのでその場合もオーバーホールが必要です。

マスターシリンダーの点検方法

マスターシリンダーの点検では、ブレーキフルード(ブレーキオイル)やクラッチフルードが漏れていないかを確認します。

ブレーキマスターシリンダーの点検

ブレーキマスターシリンダー
黒い円形の部分がマスターバック。汚れを拭き取ってから、漏れがないか確認しよう。
©Dmitry Vereshchagin/stock.adobe.com

ブレーキタンクが破損してオイルが漏れていないかだけでなく、“マスターバック”からオイルが漏れていないかを確認しましょう。

マスターバックはブレーキタンク奥にある、円形の部分です。マスターバックが湿っていたり、塗装が剥がれている場合はブレーキマスターからのオイル漏れが原因の可能性が高いです。

一度マスターバックを拭き取ったあと、何回かブレーキペダルを踏んでみましょう。新たに湿ってくる場合はブレーキマスター(シリンダーやマスターバック)の交換や修理が必要です。

クラッチマスターシリンダーの点検

タンクが破損してオイルが漏れていないか、クラッチマスターとボディとの継ぎ目が濡れていないか、周辺のボディ塗装が剥げていないかを確認しましょう。

交換時期と交換費用

ブレーキマスターシリンダーの交換

ブレーキマスターシリンダーの交換時期は4年ごと、または漏れが見つかったらすぐに行います。

ブレーキマスターシリンダー内部のみを交換(オーバーホール)か、キットがなくできない場合はブレーキマスターごとすべて交換するアッセンブリー交換を行うことになり、費用は15,000円~50,000円ほど。オーバーホールのほうが費用や工賃が安く済みます。

クラッチマスターシリンダーの交換

クラッチマスターシリンダーはあまり壊れることはありませんが、漏れが見つかったらすぐに交換します。

クラッチマスターシリンダーはオーバーホールを行いますが、費用は9,000~12,000円ほどです。

オーバーホールのやり方

ブレーキマスターまたはクラッチマスターの整備は、マスターシリンダーのオーバーホールが基本です。マスターシリンダーのオーバーホールとは、内部のゴムパッキンやスプリングなどの消耗品をすべて交換することです。

ただし、マスターシリンダー内やピストンに傷や破損がある場合は、マスターシリンダーや周辺部品の交換が必要です。

マスターシリンダーはブレーキなどと同じく重要保安部品に指定されていますので、オーバーホールの際は認定工場などの信頼のおける場所で整備してもらいましょう。自分でオーバーホールする場合は、十分に注意して作業する必要があります。

また、整備士資格がなければ、自らが運転する車しか整備することができませんのでご注意ください。

準備するもの

  • 各車種用マスターシリンダーオーバーホールキット/インナーキット
  • 新品フルード
  • フレアナットレンチ
  • その他工具等

作業手順

具体的な方法は各車種で違いますので、整備書等で確認しながらおこなってください。 共通する、大まかな手順を説明します。

  1. フルードを抜いて、フレアナットレンチで各配管を外します。
  2. マスターシリンダーを取り外します。
  3. リザーバータンクを取り外します。
  4. ピストン固定ピンを外し、ピストンを取り出します。
  5. パーツクリーナー等で各部洗浄
  6. 各部品の傷等をチェックします。
  7. グリスを塗布しながら消耗部品を交換
  8. 元の状態に組み付けます。
  9. フルードを注入します。
  10. エア抜きを行います。
  11. 動作チェックを行い、正常に動くか、フルードの漏れがないか確認します。

適合するインナーキット/リペアキットを使おう

オーバーホールの際は、各マスターシリンダーに適合したオーバーホールキット(インナーキットやリペアキットなどとも呼ばれます)を使います。

キットの中身はゴムパッキンやスプリングなどの消耗品ですので、メーカー純正品でも5,000円~。各パーツのみのバラ売りの場合、600円~2,000円ほどで購入できます。

フルードが付着した場合はすぐに取り除こう

フルードは車の塗装を痛めますので、付着した場合は速やかに水・パーツクリーナーで洗い落としましょう。

ブレーキのエア抜きとは?

エア抜きは、細い配管内に空気が入ることによって、ペダルを操作しても空気が圧縮されるだけ、という動作不良を防ぐための重要な作業です。

ペダルを断続的に踏み込みながら配管から空気を抜かなければならないため、二人以上での作業を推奨します。(特殊工具を使うと1人でも可能です)

マスターシリンダーを強化する

ブレンボのブレーキディスク
ブレンボのブレーキディスク

大型のブレーキキャリパー強化クラッチを導入した際には、より径の大きなマスターシリンダーに交換(マスターシリンダーを強化)することがあります。

例えば、ブレンボなど、大型のブレーキキャリパーに交換した際は、マスターシリンダーも交換しなければ十分に性能を発揮できない場合があります。これはブレーキフルードの必要容量が増えたため、ブレーキペダルをより深く踏み込まなければブレーキピストンを押し切ることができなくなるためです。

また、極端な強化クラッチではクラッチの反力に負けて、マスターシリンダー内のシール圧力を保持できなくなるケースもあります。そういった際は、大径のマスターシリンダーへの交換を必要とします。

ただ、マスターシリンダーを大径化すると、ペダルを踏む際に強い力が必要となります。ブレーキの効かせやすさや必要な踏力を考えて導入を検討しましょう。

強化クラッチとは?踏み込みが重いデメリットが?どんなメリットが?

マスターシリンダーストッパーとは

マスターシリンダーストッパーというパーツがあります。これはブレーキペダルを踏み込む力のせいで、マスターシリンダーが固定されている隔壁ごとシリンダー自体が動いてしまうのを防止するものです。

マスターシリンダーが動いてしまうと、ブレーキペダルを踏む力が油圧に変換される際のロスになってしまいます。

マスターシリンダーストッパーにより、踏んだ量だけブレーキが効いてくれるようになり、感覚的なブレーキコントロールがしやすくなります。ボディ剛性の低い古い車や、ブレーキフィーリングの悪い車、サーキット走行等では特にその恩恵に預かれるでしょう。

しかし、マスターシリンダー自体を機械的に押さえつけるのですから、シリンダー自体に設計外の力が加わるため、マスターシリンダーの破損、フルード漏れを誘発するというデメリットもありますので、取り付けにはよく考える必要があります。

マスターシリンダーストッパーの効果がわかる動画

フルードの量確認・交換が重要

マスターシリンダー自体は、よほど過酷な使用環境でない限り、定期的なメンテナンスは必要としません。しかし、フルードが適正量が入っているかは、日頃からチェックしておく必要があります。

またフルードは水分を含みやすいので、錆の発生やフルード内の水分が蒸発膨張してブレーキがに油圧がかからなくなる、ペーパーロック現象を発生させないためにも、定期的な交換をおすすめします。最低でも車検ごとには交換するようにしましょう。

ブレーキフルード(ブレーキオイル)の交換時期は?自分でできる点検方法や交換費用・工賃

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この記事の執筆者
MOBY編集部