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消防車の種類と装備!ハイパーレスキューの特殊車両の世界
目次
ポンプ車
一般に、消防車としてイメージされるのはこの車両でしょう。消火栓などから水を吸い上げ、圧力かけて放水します。消火栓から給水されることが前提となります。
小型ポンプ付水槽車
タンクローリーに似た外観の消防車です。タンクに最大8,000Lの水を積載し、小型ポンプを使用して放水する性能を持った消防車です。消火栓がない場所(無水利地区)や、到着後すぐに放水できる特長を活かして、初期消火に活躍します。災害時には、給水活動への転用も想定されています。
屈折はしご車
一般的なはしご車は15~50mまで伸び、バスケット付きのものが主流です。屈折はしご車は、はしご部分が「くの字」やΣ(シグマ)型に曲がるのが特徴です。樹木や電線などの障害物を避け、目標地点に到達することができます。
ハイパーレスキューには、さらにすごい消防車が!
消防には、大規模災害や特殊災害に備えた部隊があります。特別高度救助隊や高度救助隊と言われ、「スーパーレスキュー」や、「ハイパーレスキュー」などの通称名を持っています。さまざまな局面を想定した、高機能、大規模、特殊な機能を備えた特殊車両が配備されているのが特徴です。
日本で1台だけ!全地形対応車(レッドサラマンダー)
キャタピラとフロント部の電動ウインチを備えた、全地形対応の車両です。荒れ地やがれきの上などの災害現場に人員・物資の搬送や、救助救援活動を行うことができます。気温マイナス30度でも活動できます。
全 長 8.2メートル
幅 2.2メートル
高 さ 2.6メートル
車両重量 約12トン
総排気量 7240cc
最高速度 50キロ/h
<走行可能範囲>
最大登坂能力 50パーセント
最大乗り越え段差 60センチ
最大溝乗り越え幅 2メートル
水深1.2メートル
岡崎市が日本のほぼ中央にあり、災害発生時に、東西のどちらにも移動しやすいこと、立地的に津波災害の恐れがまずない地域であることなどを理由に、配備先として選ばれ、総務省消防庁から貸与されています。
大迫力!!日本に1台の消防車!!レッドサラマンダー!!全地形対応車!!岡崎市消防本部
無人走行放水車(デュアルファイタードラゴン)
無線通信による操作で、毎分5,000リットルの放水します。最大100m離れた場所から操作可能です。泡ノズルを装着することにより、泡消火液も放射することができます。
遠距離大量送水装備
遠距離大量送水装備は、「大量送水装置」と「ホース延長車」がセットで活動します。遠方の海や河川から、火災現場に送水します。
大容量送水装置(スーパーポンパー)
通常型のポンプ車を大幅に超える揚水・送水力のポンプを装備した車両です。ホース延長車と連携して、送水作業を行います。
車体に装備されたクレーンで、水中ポンプを海や河川に下ろして揚水します。
スーパーポンパーの相棒!大型ホース延長車
ホースの回収装置及び収納庫を装備した「ホース延長車」は、大口径の送水用ホース(呼称:150mmホース)を搭載し、総延長2,000メートルに及ぶものもあります。ホース収納をコンテナ式にして、資材搬送車としても運用できる車両もあります。
特殊災害対応車
NBC災害(核兵器:Nuclear、生物兵器:Biological、化学兵器:Chemical)に対応する消防車です。毒劇物防護服や各種分析機器、除染機器を備え、危険物質の特定を行います。
車内を車外の大気圧よりも高くする陽圧機能を備えているため、危険物で汚染されたレッドゾーンに進入して偵察活動や救助活動を行うことができます。
車体内部は鉛板や水槽で覆われ、放射線の透過を防ぐことができる、日本で唯一の放射線災害に対応した車両です。福島第一原子力発電所事故の際にも、活躍しました。
排煙高発泡車
発泡装置と最大60mまで延長できる送泡送風管を積載した特殊車両です。大量の高膨脹泡を送りこみ、窒息効果で消火します。同時に排煙を行い、消火活動を支援します。地下街や倉庫などの密閉された場所での活動を、想定しています。
排煙高発泡車を支援する、泡原液搬送車
原液を水と混合させて放射する泡消火剤は、車両のタンクに搭載していますが、タンク内の消火剤は数分~20分程度で使い切ってしまいます。消火活動中の補給を支援するのが、泡原液搬送車です。
水難救助車
各管区の地形条件などに応じて、都市型の大規模水害やスイフトウォーターレスキュー(急流救助)など、さまざまな水難救助活動に対応する配備をしています。
水難救助車は港湾・河川等での水難救助に対応できる車両です。救助ボート等の水難救助用資機材が車載されています。シャワー等の設備も装備され、車両上部には夜間活動に対応したLED照明装置があります。
縁の下の力持ち!消防隊の活動を支援する車両
消火活動や救助活動に対応する車両を、支援するための特殊車両を紹介していきます。
災害支援車
大規模災害時などに多数の傷病者を搬送する場合や、隊員を搬送するための車両です。活動現場での隊員の仮眠場所や簡易休憩所として使用するため、キッチンやシャワー、トイレ、ベッド等を備えたスペースがあります。配備の方針にもよりますが、72時間は自立して活動できるよう設備されています。
照明電源車
夜間の災害で現場周辺の照明を確保し、消火や救助作業を支援する車両です。大型発電機と伸縮式照明塔を搭載しています。車載の発電機は停電時の電源供給も行えます。
空気充填車
救助活動が長時間にわたる場合に、予備の酸素ボンベを搬送するコンテナ式の専用車です。夜間活動用の投光機も積載した「空気充填照明車」という車両もあります。
これでも一部だけ?ハイパーレスキューの特殊車両は多種多様!
残念ながら、今回ご紹介できたのは一部だけですが、消防車にはいろいろな種類があります。それぞれの特殊車両が、どのような局面で、どういう役割で使用するかが、緻密に考えられていることがよくわかりました。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...