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「軽自動車でセルシオを超えろ!」ダイハツが挑んだ《軽高級車》とは
ダイハツ ソニカはスペシャル軽ツアラー
ダイハツ ソニカの凄さはシートだけではありません。もっとも大きな特徴は低いルーフです。車は全高が高くなるほどロールが大きく発生するため、サスペンションを固める必要に迫られます。とくに全幅が狭い軽自動車は、全高が高くなるほど乗り心地が悪くなる傾向にあります。
その点、トールワゴン全盛の時期にあっても同時期のダイハツ ムーブと比べて150mm以上も低い全高1,470mmに抑えられているソニカは、良好な乗り心地を保ったまま高速走行でも安定した振る舞いを崩しません。
すべては「爽快ツアラー」を実現するため
その他にも、ソニカは小型化された新開発CVTを採用することでパワートレインを前方に押しやり、大きめのシートを最大限に活かせるだけの室内長を確保。改良されたエンジンマウントや二重のドアシールに加え、外観にも風切り音防止の処理を施し、静粛性も同時期の軽自動車を大きく上回るものでした。
さらに、最上グレードのRSリミテッドには、当時の軽自動車としては珍しいレーダークルーズコントロールや、現在のスマートエントリーに相当する機構が2006年の時点で搭載されています。その乗り心地や快適性はコンパクトカー以上ともいわれ「爽快ツアラー」のコンセプトを、一切の妥協なく実現している点がダイハツ ソニカのもっとも称賛されるべきところです。
まさに軽自動車版セルシオ! ただし売れるとは限らない
ダイハツ ソニカに乗れば、誰もが口を揃えて「よい軽自動車」と言うでしょう。しかし、軽自動車にツアラーとしての性能を求める人は少ないのが現実です。そもそも快適性を求めるのであれば普通車に乗るのが当然でしょう。
ダイハツ ソニカの販売台数は、販売期間された2006〜2009年の間で合計約3万台であり、これはダイハツ タントならわずか数ヵ月で達する数です。
高級車のシートを軽自動車に載せたソニカは、偉業を成し遂げたダイハツの意欲作といえるでしょう。それは「軽自動車版セルシオ」と言っても過言ではありません。
しかし商業的に成功したとは言い難く、これだけこだわって製作されたにも関わらず現在不人気車のレッテルが貼られているのは、なんとも世知辛いものです。
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- 執筆者プロフィール
- 伊藤友春
- 1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...