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EVへの乗り換えは、経済面も含めて本当にエコ?ディーラーマンの回答が優秀すぎた
電気自動車に乗り換えることは、本当にエコ?
脱プラスチック、カーボンニュートラル、SDGsなど、現在世界中で環境問題の対策が論じられています。ストローが紙に変わったりビニール袋が有料化したりと、身近でもさまざまな変化を感じている人が多いことでしょう。
もちろん自動車業界も同様で、ガソリンを使わないEVへの移行が各国で進行中。なかには「環境負荷を考えて、早くEVへ乗り換えなよ」「いつまでもガソリン車に乗っているの?」といった声を挙げる人も出ています。
たしかに、ガソリン車に比べて走行時のCO2排出量の少ないEVに乗り換えれば、環境への負荷を減らしてくれるはず。
しかし一方で、「環境への影響を考えたら、新しく車を作ったりするよりも今の車を乗り続ける方がエコじゃないの?」「環境負荷を考えて今乗ってる車をゴミにするなんて本末転倒でしょ。新車の製造工程でも環境に負担はかかるわけだし、愛車を大事にしたほうが良いんじゃないかな」などの意見も少なくありません。
環境への負荷を考えて乗り換えるのに、現在持っている車を急いで手放すことが環境汚染に繋がるのだとしたら本末転倒。いわゆる“もったいない精神”も手伝って、すぐに行動を起こすことをためらう人が多いようです。
EVの製造にかかるCO2の量はガソリン車と比べてどう?
EVへの乗り換えを勧める声に対しては、「新車を販売したい人のポジショントークでは?」と疑念の目を向けている人もいました。たしかに、各メーカーがEVを販売するのはあくまで経営戦略の一部であり、ガソリン車からいますぐにでも乗り換えてほしいと思っているわけではないはずです。
世界的にもガソリン車を規制する流れが続いていますが、それはあくまで「新車販売を禁止する」というもの。「次の車を選ぶ時はEVに」という話であって、「今の車からEVに乗り換えよう」という方針ではありません。愛車がまだまだ問題なく走るという人など、次の車を選ぶ時期ではないケースであれば急ぐ必要はないのかもしれません。
さらに、そもそもEV=エコという風潮に疑問を持つ声も聞こえてきます。
ネット上でも「EVに使う電池やらを作るのにもCO2って使うんでしょ?結局ガソリンでCO2を出すのか、工場でCO2出すのかの違いじゃないのか」「エコに関心あるのは結構だけど、EVだって作る時にいろいろ環境に負荷かけること忘れてるやつ多いよね」など、走行時の環境性と製造時の環境負荷を比較する声が多く見られます。
EVの製造にかかるCO2の話で有名なのは、2021年に発表されたボルボの調査レポートです。同調査の中では、EVは内燃機関(ガソリン車)に比べて約70%ほど製造時のCO2排出量が多いと発表。しかも製造時に発生したCO2を燃費の差で埋めるためには、約11万キロの走行が必要だと言います。
ユーザーとしては利用時の環境性能に目が行きがちで、製造時のCO2排出量までは目がいかなかったという話もしばしば。11万キロ走ってようやく対等という話を聞くと、そもそもEV=エコという前提が揺らいでしまいますよね。
ただ、こういったユーザーは“世間的な風潮”にだけ怒りを感じているわけではない様子。そもそも国の制度として、エコを強制されているのだといいます。
- 執筆者プロフィール
- 小高皐月
- 1979年生まれ。会社員を経て、知人の縁で編集プロダクションに就職。子育ての経験を活かして様々な記事を担当していたが、取材をきっかけにドルオタ化。クルマを走らせながら一人でカラオケするのが大好きで、歴...