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0円タクシーって本当に0円?稼ぎ方のカラクリと仁義なきタクシー配車競争とは

タクシーを特定の場所まで呼びたい場合、従来は「タクシー会社に電話する」という方法が一般的でした。しかし現在では、アプリ1つで配車から決済までを完結できる「タクシー配車アプリ」の普及が進んでいます。

位置情報にもとづいて最適な車両をマッチングするシステムにより、効率的な配車を可能とするタクシー配車アプリ。現在は外資系企業を含め複数の事業者が市場に参入しており、シェア獲得を目指した競争を繰り広げています。

こうした競争のなか、サービスの認知拡大に向けたキャンペーンを各社が展開していますが、とりわけ「驚きの施策」として話題を呼んだのが「0円タクシー」です。「乗客がお金を払わずにタクシーを利用できる」という夢のようなサービスですが、そこには一体どのような収益構造があるのでしょうか。

どうしてタダでいい?0円タクシーのカラクリ

©Monet/stock.adobe.com

「0円で乗れるタクシー」と聞いて、まず気になるのは「タクシー会社はどこから収益を得ているのだろう」という点でしょう。0円タクシーのカラクリは、「広告料」にあります。

タクシー会社は乗客から乗車料金を受け取る代わりに、スポンサーやタクシー配車アプリの配信事業者から広告料を受け取ります。

たとえば2018年12月に運行された「どん兵衛タクシー」は、その名の通り車両の内外装に「どん兵衛」のラッピングが施されており、通行人や乗客の目に商品を訴求するデザインとなっていました。

どん兵衛タクシーを利用した@shin5mtさんの投稿

車内にも商品のCMを流すモニターが設置されるなど、乗車中にも効果的に宣伝を行う工夫が凝らされています。

奥様が「どん兵衛が食べたくなった」という@yoneappさん

どん兵衛タクシーは誰でも乗車できるわけではなく、タクシー配車アプリ「MOV(モブ)」(※現在はJapan Taxiのアプリと統合され「GO」に改称)を通じた配車予約を行う必要がありました。タイミングよく当該タクシーを予約できれば、乗車料金がかからなくなるという仕組みです。

キャンペーン期間の12月5日から12月31日まで、東京23区内を50台のみが運行していたことから、利用できたユーザーは相当に「運がよかった」と言えるでしょう。

運よくどん兵衛タクシーに乗れたという@mgmgi88さん

このキャンペーンにおいては、「SNS上での拡散」が1つの主眼となっていました。乗客はもちろん、街中でどん兵衛タクシーを見かけたユーザーがその写真を投稿した際、抽選でアプリのクーポンをプレゼントするなど、オンライン上でキャンペーン情報を周知する取り組みがなされています。

こうした施策を通じて、スポンサーにとっては「自社の商品をタクシー上で訴求することによる宣伝効果」が見込めます。一方、アプリの配信事業者にとっては、配車アプリの認知を広げ、実際のダウンロードにつなげる効果が期待できるでしょう。

実際に、SNS上での拡散効果は大きかったようで、アプリのダウンロード数や「どん兵衛」「mov タクシー」といった関連ワードの検索件数など、期間中に大きな増加が見られました。

0円タクシーは地域や期間を限定したサービス

上述のように、0円タクシーの収益は広告料によって賄われ、スポンサーとアプリ配信事業者とが「広告費に対する宣伝効果」を十分に見込めることが施策の条件となります。

キャンペーンとしての認知拡大効果は大きいと考えられる一方で、施策を通じて直接的な収益が生じるわけではないため、0円タクシーが「恒常的なサービス」として定着することは考えにくいかもしれません。

これまでの運行された0円タクシーの例としては、先の「どん兵衛タクシー」のほか、DiDiモビリティジャパンとケンタッキーフライドチキンによる「チキンタクシー」が挙げられますが、いずれも地域と期間を限定した施策です。

広告を掲載するスポンサーにとっては、やはり「広告を目にする人が多い地域」ほど宣伝効果を見込めるため、0円タクシーが地域限定のキャンペーンとなるのは必然的だと考えられます。

一方の配信事業者も、0円タクシーの施策を実施する意図は「認知拡大」にあります。「タクシー配車はアプリで」という認識を持ってもらうこと、アプリをダウンロードしてもらうことが目的になりますので、タクシー利用量が多い地域であるほど施策効果は高まるでしょう。 

SNSにおける拡散効果の面から見ても、やはり話題になる期間は限定的だと考えられます。総じて、現状のところ0円タクシーは「地域と期間を限定したキャンペーン」として展開されることになると言えるでしょう。

今後さまざまなビジネスモデルが展開される可能性も

©Kaspars Grinvalds/stock.adobe.com

タクシー配車アプリの競争が激化するなか、スポンサーとのコラボキャンペーンをはじめ、認知拡大の施策も多様化していくと考えられます。

たとえば先述の「チキンタクシー」は、アプリ配信事業者であるDiDiと、スポンサーであるケンタッキーフライドチキンとの間で、シームレスな施策が展開されていました。

このキャンペーンはもともと、DiDiのフードデリバリー事業とケンタッキーフライドチキンが協同した「#チキンでキチンと感謝 キャンペーン」に起因する施策です。

2021年11月中に、ユーザーがDiDi Foodを通じてケンタッキーのチキンを注文し、その写真をSNSにアップするなど、「期間中にどれだけキャンペーン情報が拡散されたか」に応じて医療従事者にチキンがプレゼントされる、というキャンペーンでした。

0円で運行する「チキンタクシー」は、このキャンペーンの一環として導入された施策です。タクシーを見た人が「チキンを食べたくなる」効果のほか、タクシーの話題性とともにキャンペーン情報が拡散される効果、これを通じてDiDiのモビリティ事業とフード事業の認知が拡大する効果など、さまざまな角度からの波及効果が見込まれていると考えられます。

チキンタクシーのサービスについて喜びの声を投稿する@piyohiko2000さん

商品・サービスの認知拡大や、イメージの定着は、多くの企業にとってマーケティング上の課題であり、日々さまざまな広告施策が打ち出されています。こうしたなか、タクシー配車アプリのユーザーを拡大したい事業者と、独自の方法で宣伝を行いたいスポンサーとのニーズが合致することで、これまでにないタクシーのビジネスモデルが展開されているのだと言えるでしょう。

街中を走るタクシーの「広告塔」としての効果に加え、SNSでの波及効果や乗客への訴求効果といった面で、スポンサーにとってプラスアルファのメリットが生じうる場合には、今後も「どん兵衛タクシー」や「チキンタクシー」のような限定的なキャンペーンが実施される可能性があるかもしれません。

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執筆者プロフィール
鹿間羊市
鹿間羊市
1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...

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