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「いっそ全損になってほしかった…」知っておきたい“自動車保険の落とし穴”を損保スタッフが解説

保険料を滞納したまま事故を起こすと……

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保険の契約は、保険料が一定期間支払われない場合、自動的に解除されるようになっています(不払い解除)。多くの自動車保険では、不払い解除の猶予期間は3ヶ月。月払いで契約している方の場合はとくに、口座の残高が足りずに引き落とされず、契約が強制的に解除されるケースが少なくないのだとか。

「保険料を滞納している場合、もちろん保険会社からの通知や連絡はありますが、書類を確認していなかったり、危機感を持てずに後回しにしたりする方が珍しくないんです。

一度不払い解除になってしまうと、新たに契約を結び直したとしても以前の等級を適用することはできず、新たに6等級からのスタートとなります。

たとえば20等級の状態で不払い解除となり、新規の6等級に戻ってしまうと、保険料は3倍近くなります。そこではじめて事の大きさに気づいても、以前の契約に戻すことはできません」(同上)

無事故の年数を積み重ねる度に、自動車保険の等級は上がっていき、それにより保険料は低くなっていきます。長い年数を要した等級がリセットされることは、ドライバーにとって悪夢にほかなりません。

なお、保険料を滞納している猶予期間に事故を起こした場合、通常どおり保険交渉は行われますが、滞納分が納付されない限り保険金は支払われません。滞納分を支払わないままデッドラインを過ぎてしまえば、保険交渉もなかったことにされてしまうのです。

「ある契約者の方が不払い解除になるギリギリのタイミングで事故を起こしてしまい、数十万円の損害賠償責任を負ったケースがあります。そのときの未納分は3万円ほどでしたから、どう考えてもすぐに支払った方がいいのですが、『お金がない』といってなかなか振り込んでくれません。結局、担当者が契約者のところまで出向き、直接説得をして事なきを得ましたが……」(同上)

今保険料として3万円を支払うか、後から損害賠償として30万円を請求されるか……天秤にかけるまでもないように思えますが、「今ある現金」を支払うことに抵抗感を示す契約者は一定数いるのかもしれません。

「子供が帰省したときのために」と運転条件を設定していると……

©JD8/stock.adobe.com

その他、細かい条件の部分で損をしている人も多いのだとか。

「意外に多いのが、年齢条件を適切に設定しておらず、保険料を余計に支払っているパターンです。たとえば独立している24歳のお子さんがいる50歳のご夫婦が、帰省時にお子さんも運転できるよう、年齢条件を『21歳以上』としてしまう、といったケースがよく見られます。

しかし、年齢条件の範囲に含めることで保険が適用されるのは『同居の親族』までですから、同居していないご家族に合わせて低い年齢条件を設定しても、その方が事故を起こした際に補償はされません。ですので、低い年齢条件を設定した分、保険料を無駄に支払うことになるわけですね」(同上)

とくに代理店などとのコミュニケーションが発生しないネット型の場合などは、お子さんが独立する前の条件をそのままにしてしまっているケースも多いようです。そもそもお子さんが車を所有し、任意保険に入っていれば、多くの場合「他車運転特約」が付随しているため、親御さんの方の契約で対処する必要はありません。

その他、保険料を多く支払ってしまっているケースとしては、家族間で契約内容が重複している場合があるといいます。たとえば弁護士特約などは1つの契約で同居家族分もカバーされるため、2人目以降は加入する意味がないとのこと。

契約内容が複雑になりやすい自動車保険ですが、実際に事故に遭った際には小さな文面の違いによって大きく状況が変わることもあります。あらためて自身の契約内容を確認し、「何がどこまで補償されるのか」を入念にチェックしておきたいところです。

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執筆者プロフィール
鹿間羊市
鹿間羊市
1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...

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