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ガードレールの種類と設置目的は?ガードレールに車をぶつけるとどうなる?
ガードレールは防護柵の1つ
ガードレールは路上に設置される「防護柵」の1つです。防護柵は交通事故の防止や被害軽減を役目とするインフラ設備で、道路外への車両の逸脱を防ぐ「車両用防護柵」にガードレールは分類されています。
路上には車両用防護柵のほかに、歩行者や自転車などを保護する「歩行者自転車用柵」が設置されています。鋼製防護柵協会の分類によると、防護柵の種類は全6種類。これらのうち、鉄板付きのものがガードレールと呼ばれています。
ガードレールの種類
形状・カラーはさまざま
ガードレールは支柱と鉄板で構成されています。「ビーム(梁)」と呼ばれる鉄板部分は強度を確保するために折り曲げられており、形状には標準的な強度の「2山型」と高強度の「3山型」があります。
また、河川で見られる笠木付きタイプや、上下2段のビームを備えるもの、反射板付きのものなど、ガードレールの形は多様です。カラーも多種類あり、白のほかに、景観に配慮した色としてダークブラウンやダークグレーなどが使用されています。
強度による種類分け
ガードレールには強度別の種類があり、道路の設計速度や環境に応じて使い分けられています。種別名と主な設置場所は次のとおりです。
- C種(主に市町村道に設置される・最も低強度)
- B種(主に国道や県道に設置される)
- A種(主に幹線道路や高速道路に設置される)
- SC種(高速道路上の重大被害発生の恐れがある区間に設置される)
- SB種(同上)
- SA種(主に高速道路の跨線橋区間に設置される)
- SS種(同上・最も高強度)
メーカーにもよりますが、A種以上のガードレールには板厚4.0mmの分厚いガードが採用されています。また、SB種以上のガードは3山型となり、SA種とSS種は上段パイプ付きとなることが一般的です。
【余談】一部で人気の袖ビームとは?
ガードレール端の丸められた部分は「袖ビーム」と呼ばれています。袖ビームは愛好家の多いパーツで、その人気ぶりは京都大学に同好会「無い袖は振れぬ」が存在するほど。
もちろん袖ビームはただの飾りではありません。ガードレール端にぶつかった車が受けるダメージの軽減や、隙間なくガードレールを設置するための端部処理など、実用上の重要な役目を担っています。
ガードレール以外の防護柵とは?
鋼製防護柵協会では、防護柵の分類を車両用防護柵4種類と、歩行者自転車用柵2種類の計6種類としています。ガードレール以外の防護柵も重要なインフラであり、ドライバーが役割を知っておきたい路上設備といえます。
ガードレール以外の車両用防護柵
ガードパイプ
「ガードパイプ」は支柱とパイプで構成される防護柵です。視線誘導性が高いガードレールに対し、ガードパイプは景観との親和性に優れています。
ボックスビーム
「ボックスビーム」は支柱と角型パイプで構成される防護柵です。裏表がなく省スペース性に優れることから、幅が狭めの中央分離帯に設置されています。
ガードケーブル
「ガードケーブル」は支柱とケーブルで構成される防護柵です。表面に雪がたまりにくく、かつ視界不良時に衝突しても車のダメージが少ないことから、降雪量の多い地域で特に多く使用されています。
歩行者自転車用柵
乱横断防止柵
「乱横断防止柵」は歩道の車道側端に設置される防護柵です。横断歩道以外での歩行者の横断を防ぐ設備であり、強度はガードレールほど高くありません(ガードパイプ兼用型を除く)。
転落防止柵
「転落防止柵」は路外への歩行者の転落を防ぐ防護柵です。主な設置場所は河川や水路をまたぐ道路、周囲より高さのある歩道など。歩行者用の防護設備のため、強度はガードレールに劣ります。
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ガードレールに車をぶつけたらどうなる?
ガードレールに車をぶつけてしまったら、自損事故でも必ず警察に報告しなければなりません。報告を怠った後に当て逃げが発覚すると、免停レベルの違反点数(7点)が付くほか、場合によっては罰金または懲役刑を科せられます。
一方、ガードレールにぶつけたことを正直に報告した場合は、違反点数の加点や刑事罰の対象にはなりません。ただし、ガードレールの所有者(国土交通省、地方自治体など)が弁償を求めた場合は、賠償金の支払いが必要となります。
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ガードレールや防護柵が暮らしの安全を守る
筆者が学生のころ、自宅近所の道路で人身事故がありました。小学生が車にひかれる痛ましい事故で、現場は公園と小学校にはさまれた生活道路でした。
現在、事故現場となった道路には、事故当時にはなかった防護柵が公園を囲むように設置されています。もし筆者の学生時代に同様の防護柵があれば、子供を巻き込む事故は防げたかもしれません。
ガードレールやガードパイプなどの防護柵は、交通と暮らしの安全を守る重要なインフラ設備です。その役割や種類による強度の違いを認識することは、安全運転が求められるドライバーの義務といえるでしょう。
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- 執筆者プロフィール
- 加藤 貴之
- 1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...