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シャコタンにするメリット・デメリットは?実際のやり方も解説
シャコタンとは?
「シャコタン」とは自動車のカスタム手法のひとつで、最低地上高を低くする改造を施したことを指します。
漢字では「車高短」と書き、「低い」「下げる」といった漢字ではなく「短い」が使われているのは、諸説あるものの「部品を短く加工することで最低地上高を下げる」ことから来ていると言われています。
「ローダウン」とは違う?
同じ意味を持つ言葉に「ローダウン」がありますが、「シャコタン」と「ローダウン」では車高がどれくらい下がっているのかで呼び方が区別されることが多いです。
「ローダウン」は節度がある車高の低さなのに対して、「シャコタン」は節度がないことがほとんど。しかし、ローダウンでは満足できず、シャコタンにしたい!という人は多くいます。
シャコタンはデメリットが多く存在するものの、そのデメリットを補ってあまりある魅力があると信じている人も多いようですね。
シャコタンのはじまりはいつ?
1970年代に暴走族の間でこのシャコタンによるカスタムが流行し、その後1980年代には暴走族ではない若者にも広まります。
車高を低くするにはサスペンションに使われるスプリングを交換するなどの方法がありますが、当時、スプリングは「重要保安部品」に指定されていたため、交換には陸運支局などの届け出と認可、いわゆる「公認」を得ることが必要でした。
公認を得ないまま公道を走行することは違法行為でしたが、公認を得るのはハードルが高いため、違法であることを知りながらスプリングを交換し公道を走行する人は多かったのです。
しかし、その後1995年に規制緩和が実施されます。これにより、自己責任においてスプリング等の交換が可能になりました。
とは言え、「シャコタン」にあたる車のほとんどは車検不適合となるような最低地上高となっていることが多いため、今日においても「シャコタン=違法」というイメージを抱く方は少なくありません。
車をシャコタンにするとどうなる?
前述のとおり、シャコタンは車の最低地上高を下げた改造です。
車高が低くなるという見た目の変化だけでなく、走行性能などにも大きな影響があります。
見た目以外では基本的にデメリットばかりなのですが、できるだけメリットとデメリットが公平になるよう紹介しましょう。
シャコタンのメリット
見た目がカッコよくなる?
車は低いほうがカッコいいと思っている方にとって、全高を低く構えたシャコタンの車は非常にカッコよく見えるものです。
車高が下がったことで、タイヤとフェンダーの隙間がなくなるだけでなく、ホイールが前から見たときにハの字に傾くなどの変化もあるため、純正とは違うスタイルを得ることができます。
ホイールやエアロパーツなども一緒に変更すれば、そのシャコタンぶりをより強調できるでしょう。
走行性能が向上する?
基本的には、車は車高を低くしたほうが走行性能が有利になります。
実際にレーシングカーなどは市販車よりも車高が低く抑えられていて、スポーツカーも車高が低くなっていることがほとんどです。
重心を低くし安定性を向上させることが可能なほか、空気抵抗を抑えられるといったメリットがあります。
ただし、車高を低くするのにあわせたチューニングを行わなければ、それらのメリットを活かすことはできません。
低い速度でも体感速度がアップ?
シャコタンの車は道路と目線が近くなるため、同じ速度でも車高が高い車に比べて体感速度を速く感じられます。
また、スプリングが硬くなる傾向にあることから、ちょっとした段差などでも車体がぴょんぴょんと跳ね、まるですごいスピードで走っているようなスリリングな体験が可能です。
シャコタンにするとスピードを抑えた運転ができるようになるという見方ができるかもしれません。
シャコタンのデメリット
走行性能が劣化する
前述のとおり、車は低くしたほうが走行性能は向上します。しかし、それは適正な範囲内での話。
度を過ぎたシャコタンは、車高を下げすぎたことによりサスペンションが正しく動作しません。
タイヤのグリップ力が失われスリップしやすくなったり、地面の凹凸を吸収できず車体が上下に暴れてしまったり、さまざま部品が本来の性能を発揮できなくなってしまいます。
部品ひとつひとつがしっかりと機能するようにチューニングをおこない、適正な車高に設定しなければ走行性能向上は望めません。
ただ、シャコタンが好きな方は、走行性能よりも見た目を優先したいという方が多いようです。
乗り心地が悪くなる
スプリングが硬くなる傾向にあることから、乗り心地も固くなりやすいのがシャコタンです。
道路の凹凸を踏んだとき、通常の車であれば気づかないこともありますが、シャコタンの場合はゴトン!と大きな音と衝撃が来ることがあります。
また、道路のワダチなどにハンドルを取られやすくなり、まっすぐな道でもフラフラとしてしまうことも。
上下左右に忙しい、落ち着かない乗り心地となります。
ただ、シャコタン好きのなかには「それがいい!」と思う方もいるようです。世界は広いですね。
車体へのダメージが大きくなる
最低地上高が低くなることで、道路に車体下部をこすってしまうケースが増えます。
傷が入るだけですめばマシなほうで、部品に穴が空いてしまったり脱落してしまったりといったトラブルに見舞われるリスクが高いです。
また、サスペンションには車体への衝撃を抑える役割も担っています。シャコタンの場合はこの衝撃が蓄積しやすくなるため、車の寿命を短くしてしまうのです。
ただ、車を犠牲にしてでも、道路から火花を散らしながら走る姿に憧れを持つシャコタン好きの方はいるようです。危険なのでやめましょう。
駐車場などが使えなくなる
車高が下がったことで、段差を乗り越えることができずスタックしてしまう可能性も高くなります。
入り口の段差の高さによっては駐車場などへ入る際にスロープが必要になる場合がありますが、わざわざシャコタンの車のためにスロープを用意している駐車場などはほとんどありません。
段差に対して斜めに入るなどの工夫が必要ですが、混み合っている道で車を左右に振っていると周囲の迷惑になってしまうことも。
ただ、シャコタン好きの間では、車体を左右に振って段差を乗り越えることが一種のステータスとなっているようです。
「入店お断り」をされる
新車にもオプションパーツで車高を下げる部品が用意されていることもありますが、それは合法の範囲内で低くできるもの。
ディーラーでは違法な車を扱ってしまうと営業停止処分を受けてしまう場合があるため、明らかな違法改造車はもちろん「ちょっと怪しい」レベルでも入店を断られることがあります。
見るからに車高が法令違反となるようなシャコタンの車でディーラーに行った場合、門前払いを食らってしまっても仕方がありません。
ただ、シャコタン好きの方にはディーラーではなく自分でカスタムする方が多いため、特に問題にならないと考えられているようです。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...