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タイヤ交換は自分でしないほうがいい?やり方や必要な道具を紹介
目次
タイヤ交換は自分でしないほうがいい?
タイヤ交換作業には危険を伴います。必要工具が揃っており、正しく安全なタイヤ交換の方法を知っていれば自分で行ってもよいでしょう。そうすることでタイヤ交換にかかる工賃を節約できます。しかし、以下の条件に当てはまる場合は、自分で行わずにディーラーや整備工場などに依頼することをおすすめします。
知識が不十分な場合
タイヤは車にとってとくに重要な部品であり、作業に不備があれば重篤な事故につながりやすい箇所です。そのため、タイヤ交換を行うには手順を知っているだけでは不十分。より安全な作業を行うためには、作業手順の意味を深く理解しておく必要があります。
部分的な車の構造をはじめとして、ホイールナットを緩めるタイミングや締め具合、交換作業をしてはいけない場所などを知っておかなければ、ケガや事故に加え、車を破損させるリスクが高まります。
腕力が不十分な場合
タイヤ交換には一定以上の腕力が必要になります。近年はタイヤおよびホイールの大径化が著しく、とくに大きく重いタイヤを装着する大型車やSUVなどは自分で交換作業を行うことが困難になっています。
特別大きなタイヤを装着する車の所有者や、どうしても腕力に劣ってしまう女性、足腰に持病がある方などはケガを誘発する恐れがあるため、無理をせず整備工場などに依頼するのが賢明です。
工具が不十分な場合
タイヤ交換には工具が必要です。以前はタイヤ交換に必要な車載工具が付属していましたが、近年の新車販売される車は、それらをパンク修理キットで代替することで軽量化や装備の簡略化が図られており、車は所有していても工具を所持していないケースも珍しくありません。
そういった場合、自分でタイヤ交換をするには、改めて自前で工具を買い揃える必要に迫られます。
自分でタイヤ交換をするときに必要な道具
タイヤ交換に必要な道具を解説します。車載工具がない場合や不足している場合には以下の5点を揃えておきましょう。より高性能な道具を用意することで、タイヤ交換の負担を減らすこともできます。また道具以外にも、交換作業時は動きやすい衣服や手を保護できる手袋を用意して作業に臨みましょう。
ジャッキ
ジャッキとは車を持ち上げるための道具です。車載工具として車に搭載されるのは「自動車用ねじ式携行ジャッキ」と呼ばれるネジの回転を利用してパンタグラフの高さを可変させる簡易的なジャッキです。
この車載用ジャッキは軽量ではあるものの、動作には大きな力が要求されるうえ不安定で作業がしづらく、あくまで緊急用として用いるのが本来の使い方です。また、車体支持部の形状は車両ごとに異なるため、他車種への使い回しもできません。
油圧を利用して高さを可変させる油圧ジャッキがあると車体の上げ下げが楽になります。油圧ジャッキにもその形状や耐荷重の違いによって多くの種類が存在するため、車や使い方に応じて選び分ける必要があります。
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輪留め
輪留めとは、ジャッキアップ中にタイヤが動き出さないようにするためのストッパーです。車に備わるパーキングブレーキ(サイドブレーキ)を使用しただけでは、後輪にしかブレーキがかりません。その状態で後輪をジャッキアップすると前輪は回転し、車は容易に動いてしまうため、ジャッキが倒れてしまう危険性が高まります。
とくに後輪駆動車はサイドブレーキを引いても、ギアをパーキングポジションにしても前輪にブレーキがかけられないため、安全な作業のためには輪留めが必須になります。タイヤ交換作業には、軽量で十分な強度も備わるゴムやプラスチック製の輪留めがおすすめです。
ホイールレンチ
ホイールレンチは、ホイールと車両につなぎとめているボルトやナットを緩めたり、締め付けたりするための工具です。自動車メーカーや車両によってボルトナットのサイズが異なるため、適合するサイズのレンチを用意する必要があります。
車載工具に備わるレンチは扱いやすいとはいえないため、ネジが回る方向を一方向に限定できるラチェットハンドルセットや、回しやすいうえ4種のナットサイズに適合するクロスレンチがあると作業性が向上します。
トルクレンチ
トルクレンチとは、ボルトナットを締め付ける力の強さ(トルク)を一定に保つための工具です。ホイールを固定するための締め付けトルクは車種によって定められており、強すぎるとボルトナットの破損や破断の原因になり、弱すぎるとタイヤ脱落の危険性が高まります。
トルクレンチを使って適切な締め付け具合を保つことで、ボルトナットの締めすぎや緩み防止ができます。トルクレンチは、商品によって対応できるトルク範囲が異なることに加え、構造が単純で安価なプレート型や、任意のトルクに設定して使うプリセット型などの種類があることも覚えておきましょう。
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空気入れ
タイヤ交換には、自動車に適合する空気入れも必要です。長期間に渡って保管していたタイヤは空気圧が低下していることが多く、その状態での車重を支えるとタイヤに大きな負担がかかるため、作業前に空気を補充しておきましょう。
車載工具が搭載されていない車でも、パンク修理キットに電動空気入れが含まれている場合があります。ただし、同時注入式の場合はパンク修理剤も一緒に吹き入れてしまうため空気入れとして単体では使えません。電動空気入れを使用する際は事前に取扱説明書で使い方や注意点をよく確認しておきましょう。
自分でタイヤ交換をするときのやり方
1.作業場所の選定
タイヤ交換は作業場所が重要です。傾斜がある場所での作業はジャッキアップ中に車が動き出す恐れがあるため、できる限り平地で行いましょう。また、ジャッキの安定性を保つためにアスファルトやコンクリートなどの硬い地面で行い、車の周囲にタイヤの着脱や運搬が無理なく行えるだけのスペースを確保できる場所を選ぶ必要があります。
2.工具と交換するタイヤを準備
タイヤ交換時もっとも気をつけたいことは、車にタイヤが付いていない状態をなるべく短くし、事故のリスクを抑えることです。
ジャッキやレンチなど必要な工具は交換を行うタイヤの回りに準備しておき、交換するタイヤおよびホイールナットは、それぞれ交換するタイヤ付近にあらかじめ置いておくと安全かつ効率よくタイヤ交換を行えます。
ホイールカバーが付いている場合は、破損させないように気をつけて取り外しておきましょう。新たに付け変えるタイヤは、回転方向や空気圧、摩耗状態などを確認してから配置しておくことも大切です。
2.車体が動かないようにする
タイヤ交換作業は必ずエンジンが停止した状態で行いましょう。パーキングブレーキを確実に作動させ、AT車はパーキングポジションになっていることを確認してください。MT車は1速かバックギアに入れておくと駆動輪が容易に動かないようにできます。そのうえで、交換するタイヤの対角線上のタイヤに輪留めをかけて、車が動かないように対策を施しましょう。
3.ホイールナットを少しだけ緩める
ホイールを固定するナットは非常に大きな力で締め付けられています。ジャッキアップした状態で車体に大きな力を加えると、ジャッキが倒れる恐れがあるため、車体を持ち上げる前に交換するホイールのナットを半時計方向に回し、少しだけ緩めておくようにしましょう。
こうすることで、空転してしまうタイヤでも容易にナットを緩めることができます。ただし、完全にタイヤが接地した状態で緩めすぎるとボルトやナットへの負担が大きくなるため、あくまでも少しだけ緩めることが大切です。この作業は1輪ずつジャッキアップする直前に行ってください。
4.ジャッキアップ
ジャッキを指定された場所にかけて、タイヤがわずかに浮き上がる程度まで車体を持ち上げます。指定された箇所以外にジャッキをかけると、車体を破損させる恐れがあるため、ジャッキアップポイントが不明瞭な場合は、車両の取扱説明書を確認してください。高く持ち上げるほど車体が不安定になるため、ジャッキアップの高さは必要最低限に留めましょう。
5.タイヤを外す
ジャッキアップしてタイヤが浮いた状態で、緩ませていたホイールナットをすべて取り外してから、タイヤを外します。ナットを外していくと、上部を支点としてホイール下側が自然と持ち上がるため、下側のナットを最後に外すようにすると作業がしやすくなります。比較的小さなタイヤホイールでも10kg程度はあるため、外したタイヤは両手でしっかりと支えましょう。
6.タイヤを装着
装着時は車両側のボルトに対して、ホイールに備わる穴がすべて通るようにタイヤをはめ込み、ナットを時計回りに回転させて取り付けます。ナットはこの時点では強く締め込む必要はありません。手で回し挿れてガタつきがなくなる程度まで締め付ければ十分です。最初に一番下のナットを仮止めしておくと、他のナットが取り付けやすくなります。
始めからレンチを使うとネジ山の破損につながりやすいため、ホイールナットは指先を使って回し挿れるようにしましょう。すべてのナットを仮止めしたら、ホイールと車両側の接触面に隙間が無いことを確認してください。
7.レンチでホイールナットを仮締め
レンチを使ってホイールナットを仮締めします。1箇所ずつを締め付けるのではなく、各箇所のナットを均等かつ少しづつ回して締め付けるようします。
締め付ける順番は、1箇所を仮締めしたら、隣接するナットではなく、対角上にあるナットを締めつけましょう。それを繰り返してすべてのナットを仮締めします。締め付け作業時は、車体が動いてしまうほど大きな力を加えないように注意しましょう。
8.トルクレンチで本締め
ゆっくりとジャッキを下げ、タイヤが完全に接地したらトルクレンチを使って本締めを行います。本締めの順番も仮締めと同じく、対角上の各ナットを均等に締め込んでいき、最後に車両ごとの規定トルクに合わせたトルクレンチで締め付けるようにしましょう。
トルクレンチは、車種ごとの規定トルクになるように調整しながら締め付けます。事前にトルク値を調整する機械式プリセット型トルクレンチであれば「カチン」と一度鳴れば十分です。各トルクレンチの使い方はそれぞれの取扱説明書を確認してください。
トルクレンチがなくとも本締め作業はできるものの、極端な締め付けトルクの不足や過剰があるとネジ山の破損やタイヤホイールの脱落などのトラブルにつながります。手で本締め付けを行った場合は、作業後速やかにに専門店などで締め付けトルク値の確認をしてもらいましょう。
9.空気圧の確認・試走行
交換作業後は不備なく取り付けられているかの確認に加え、空気圧も再確認しておきましょう。試走行中は、速度を出しすぎず、急ブレーキや急ハンドルが必要になる運転は避け、異音や振動がなければタイヤ交換作業は完了です。
万全を期すなら、走行後にもう一度トルクレンチで締め付け状態の確認をしておくと安心です。
自分でタイヤ交換をするときの注意点
ジャッキの取り扱いに注意
ジャッキで持ち上げた状態の車は非常に不安定なうえ、大きな位置エネルギーを持っています。ジャッキの扱いを誤ると、ボディの歪みや足回りの破損に加え、場合によっては命の危険にさらされます。またタイヤが装着されていない状態でジャッキが倒れ、車体が地面に接地してしまうと復旧も困難です。
そのためジャッキを用いて作業を行う際は、タイヤが付いていない状態を極力短くするように意識しつつ、非常時の備えとしてタイヤが付いていない状態のときはホイール付きのタイヤを車体下に配置しておきましょう。
作業中は常にジャッキの位置を意識し、足やタイヤなどをジャッキにぶつけないように細心の注意を払ってください。面倒だからと、車載パンタグラフジャッキの回転ハンドルをつけっぱなしにしておく行為も危険をもたらします。
またジャッキ使用中は、決して車体下に潜らないようにしてください。車体下に潜る際はリジットラックを使いましょう。
ホイールナットの締め付けトルクに注意
車両とホイールをつなぎとめているボルトやナットは非常に強固ではあるものの、工具を使えば簡単に破損します。とくにホイールナットの締め付けトルク過多はボルトの伸びが過剰になり、タイヤ交換直後は問題がなくとも、走行中の衝撃により折損する危険が高まります。
そのため、不安だからとホイールナットを強く締めすぎないようにしましょう。足でレンチを踏みつけて締める行為もオーバートルクになりがちであるため厳禁です。ホイールのボルトナットの締めすぎは、緩める際にも大きな力が必要になるため、タイヤ交換の労力を増やすことにもつながります。
しっかりと締まっているか不安であれば、定期的に点検を行い適度な力で増し締めをしましょう。感覚によるトルク管理はほぼ不可能であるため、トルクレンチを使うのがもっとも安心です。
自分でタイヤ交換をする自身がないならプロに依頼しよう!
作業に慣れた人でも、大きなタイヤの交換は一苦労です。安全で確実な作業できる自信がなければディーラーや整備工場、タイヤ専門店などに交換作業を依頼しましょう。
依頼する場所によって異なるものの、タイヤ交換工賃は1本あたり2,000〜3,000円程度です。自分でタイヤ交換ができる人にとっては、その費用はやや高額に感じるかもしれません。しかしタイヤのプロは交換作業と同時に各部をチェックします。
特にタイヤ専門店などでは装着されているタイヤを見て、タイヤの残り寿命や足回りの異常を教えてくれます。これらの知見は、タイヤ交換作業ほど簡単に習得できるものではありません。安全と安心を得られる点も含めれば、プロにタイヤ交換を依頼するのは意義があるものといえるでしょう。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...