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知らないと危ない!車にある“発炎筒”の正しい使い方と有効期限
クルマのトラブルは、いつどこで起こるかわかりません。そんなときに自分や周囲の安全を守るために欠かせないのが「発炎筒」です。
しかし、トラブルに遭遇しなければ実際に使用する機会はほとんどなく、いざという時に「どうやって使うのかわからない」という人も少なくありません。
では、発炎筒は、どんな場面でどのように使うべきなのでしょうか。
発炎筒は周りにトラブルを知らせるもの

よく「発煙筒」とも呼ばれる「発炎筒」(発煙筒の一種)は、ほとんどの車で手の届きやすい助手席下などに保管されており、助手席に座るときに目にする人も多いです。
目にする機会の多さに比べて、発炎筒を使用する機会は事故などの時に限られるため、多くの人にとってその使い方はあまりわからないものかもしれません。
しかし、発炎筒はトラブル時に二次事故を防ぐうえで非常に高い効果を発揮する心強い装備です。その使い方を覚えておくことは、いざというときに必ず役立ちます。
発炎筒は、高速道路でのパンクや燃料切れによる緊急停車、踏切での脱輪、カーブなど見通しの悪い場所での故障後続車へ危険を知らせるために使うのが一般的な使い方です。
法的には、発炎筒は車への搭載が義務付けられている「非常用信号用具」の一種類ですが、その性能の高さなどから多くのメーカーが非常用信号用具として発炎筒を車載させるようになりました。
この非常用信号用具の装備義務は「道路運送車両法保安基準 第43条の2」に定められており、国産車・輸入車を問わず、ほとんどの車両に標準装備されています。
装着場所は多くの場合、助手席の足元付近に専用ブラケットで取り付けられており、緊急時にすぐ取り出せるようになっています。
では、そんな発炎筒はどのように作動させるのでしょうか。
実は、発炎筒は、マッチと同じ仕組みで点火します。
まず本体の外筒キャップを外し、キャップにある擦り板で発炎筒の先端を擦ると、赤い炎が上がります。
なお、発炎筒は有効期限が4年と定められています。これは日本工業規格によって定められた基準に基づくものです。
時間の経過とともに内部の薬剤が劣化し、点火しないケースもあるため、期限切れの発炎筒は必ず交換が必要です。
車検の際にもこの基準が適用され、性能が基準を満たさない発炎筒は交換対象となります。
発炎筒は、「普段は使わないけれど、いざというときに命を守る」重要な安全装備です。
車内のどこに設置されているかをあらかじめ確認し、有効期限も定期的にチェックしておくことが、安全のために必要です。
発炎筒が必要なトラブルはどのように対処するのか

発炎筒は、上述の通りトラブルの際に周囲に危険を知らせることができます。
しかし、実際に事故や故障といった緊急事態が起きたときには、発炎筒だけでなく、自分と同乗者の安全を確保する行動が何よりも重要になります。
では、発炎筒を使用するような場面で、どのように対応すればよいのでしょうか。
まず、高速道路でトラブルが発生した場合は、できるだけ路肩などの安全な場所にクルマを停め、ハザードランプを点灯させます。
そして、あわてて運転席から出ず、後方の安全を確認してから、後続車に接触しないように車が通らない側のドアから降車します。
次に、発炎筒を着火して車の後方に設置します。くわえて、三角表示板を置くことで後方にトラブルが発生していることを伝える必要があります。
そして、最後に同乗者全員がガードレールの外など安全な場所へ避難することが大切です。車内や路肩は決して安全ではなく、追突などの二次被害が発生する恐れがあります。
避難時には、夜間であれば反射材付きの安全ベストや目立つ上着を着用し、通行車から見えやすくしておくと効果的です。
また、避難後は、事故や故障の状況を「110番」や「道路緊急ダイヤル(#9910)」へ通報する必要があります。
高速道路の非常電話は1キロごと、高速道路のトンネル内では約200メートルごとに設置されているため、近くにある場合はそちらを使うのも安全です。
また、踏切でクルマが動かなくなった場合は、まず落ち着いて前進し、遮断機のポールを押し上げて脱出してください。
もしエンジンがかからず動けない場合は、発炎筒で列車に合図を送るとともに、近くの非常ボタンを押して列車に非常事態であることを伝えることで、列車と車の衝突を防ぐことができます。
このように、発炎筒はただ持っているだけでなく、「どのタイミングで、どう使うか」を理解しておくことが、自分と他人の命を守る行動につながります。
いざという時に慌てないよう、普段から車内の発炎筒の位置と使用方法を確認しておくことが大切です。
まとめ
発炎筒は、普段は使うことのない装備ですが、事故や故障といった緊急時には周囲に危険を知らせ、二次事故を防ぐために欠かせない存在です。
発炎筒などの非常用信号用具は車への搭載が法令で義務付けられており、備えていなければ違反となるおそれもあります。
有効期限を確認し、期限が切れていないかを定期的に点検しておくことが重要です。
そして、いざというときに慌てずに使えるよう、使い方を理解しておくことが、自分や周囲の安全を確保し、被害を最小限にとどめることにつながります。
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