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バックタービンとブローオフバルブとは?音ややり方の違いから車検の注意点まで
目次
バックタービン音とは?
バックタービン音とは、ターボチャージャーが装着された車両でアクセルオンでスロットルが開いて過給された状態から、アクセルオフでスロットルバルブを閉じた際に発生する音です。
このとき、サージングが発生しているので、バックタービン音=サージング現象と考えることもできます。
バックタービン音を出す方法
より高い過給圧がかかるようにする
逆流した過給圧がバックタービンの発生する要因になっているわけですから、より過給圧がかかる状態になればより大きいバックタービン音が発生することになります。
以上を踏まえると、より高い過給圧がかかるようにすればスロットルが閉じたときに逆流する過給圧も増加するので、さらなるサージングでバックタービン音が大きくなります。
過給圧を上げる方法は、アクチュエーターのバルブスプリングのレートを高くする(より高い過給圧がかかった時にウェストゲートバルブが開くようにする)スプリングバルブが強化された社外品のブローオフバルブを装着することなどが挙げられます。
ただし、バックタービンによる負荷が大きくなればタービンが短命化する懸念は増します。もし実行するのであれば、それを理解したうえで行いましょう。
ブローオフバルブを外す
ブローオフバルブを外すという手があります。バックタービン音をより聞こえるようにするという意味では、かなり効果の期待できます。
バックタービン仕様時に派生しうる問題・トラブル
さらなるサージングが発生する
バックタービンが発生していればサージングが発生していることになるので、タービンへの負荷が増大します。
負荷が増せばそのぶん寿命も縮まり、破損する可能性が高まります。
バックタービン現象の仕組み
バックタービンの仕組みを理解するには、ブローオフバルブの役割、コンプレッサーハウジングの構造、ターボチャージャーに関係する配管の仕組みなどの事前知識が不可欠です。
ターボ・チャージャーが機能する工程
ターボ・チャージャーは次のような工程で機能しています。
- タービンハウジングのタービンホイールが排気によって回転する。
- 回転軸(シャフト)がタービンホイールに連動して回転し、それによりコンプレッサーハウジングにあるコンプレッサーホイールが回転して吸気時に空気を圧縮する。
- 圧縮されて膨張した空気をインタークーラーで冷却し、燃焼室へ送る
- 過給圧が一定を超えるとアクチュエーターやソレノイドバルブ、バイパス経路などを作用して過給圧を逃がす(過給圧の制御)
バックタービンを考える場合、ブーストがかかった状態で、大気から取り込んだ空気の圧力がコンプレッサーハウジングのコンプレッサーホイールを通過する前後で差があることに注目です。
ウェストゲートバルブとアクチュエーター
上記工程のうち4番目の過給圧の制御で定番なのが、ウェストゲートバルブを開いてタービンへ流れる空気の流れを抑制することで、ブーストがそれ以上かからないようにする方法です。
ウェストゲートバルブは基本的に閉じているのですが、アクチュエーター内部にあるスプリングが過給圧で押されることで、シーソーのような構造でウェストゲートバルブが動きます。
吸気管アクチューエーターが繋がっていること、加えてコンプレッサーハウジング手前の配管も間接的にアクチュエーター配管と繋がっている点を押さえておきましょう。
ブローオフバルブ
ブローオフバルブは圧力を逃がす役割を担うパーツです。圧力とはコンプレッサーハウジングとスロットルバルブの間にアクセルオフ時に生じたもので、一般的にはコンプレッサーハウジング手前の吸気管へ逃がす構造になっています。
ブローオフバルブを取り外すとバックタービン音が大きくなることから、ターボ・チャージャーの消音効果の役割を果たしているとも言えるでしょう。
アクチュエーターの過給圧がコンプレッサーホイールへ逆流する
過給圧の逆流がブローオフバルブで対策されているとはいっても、コンプレッサーホイールへ逆流するのを完全に防ぐことは難しいです。逆流する空気がコンプレッサーホイール(ブレード)に当たることで負荷がかかるほか、抵抗となってコンプレッサーホイールの回転を阻害することにもなります。
バックタービン音が出ていても車検に通る?
バックタービン音が聞こえるから車検に通らないということはありませんが、大気開放式のブローオフバルブが装着されている自動車を車検に通すことはできません。
大気開放式ブローオフバルブは本来吸排気の工程で循環されるはずの空気を大気へ放出します。つまり本来であれば大気へ放ってはいけない空気を放っているということです。
道路運送車両法の第41条(自動車の装置)には運行の用に供することができる自動車の装置の条件が21項目記されており、大気開放式ブローオフバルブは12番目の項目(「ばい煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置」)を満たしません。
大気解放せず吸気へ循環させるブローオフバルブ(車検に通るブローオフバルブ)はリサーキュレーションバルブ(recirculation:英語で「再循環」)と呼ばれています。
バックタービン音が鳴らないようにするには?
ターボ車でも、ターボチャージャーに関連する部品が純正使用のままであれば、バックタービン音が聞こえる程度は小さいです。最近の車種ではほとんど聞こえないと考えて良いでしょう。
そのため、あからさまにバックタービン音が聞こえる車両は、大気開放式のブローオフバルブが装着されていたり、メクラキャップがブローオフバルブとインテークの間の配管にはめられている等、何かしらのチューニングやカスタムが施されている可能性があります。
大気開放式のブローオフバルブは車検非対応のため中古車として流通することは考えにくいですが、中にはそういうものもある可能性があるので、ちょっといじって遊ばれていたような中古車を購入する際には注意しましょう。
バックタービン音に憧れて中古のターボ車を購入する人や愛車をバックタービン仕様にする人もいますが、法律的に問題がある車両である可能性や、タービンへの負荷がマシマシな可能性もあるので、よく考えて扱いましょう。
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- 執筆者プロフィール
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...