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【お手軽DIY】カーラッピングの貼り方&費用から業者の費用比較まで!

愛車の見た目を手軽に変えられるカーラッピングは塗装に比べて安価ということもあり、近年人気を集めています。フルラッピングの場合は技術を持つ専門業者に施工を依頼することになりますが、車体の一部をカラー変更する程度であればカッティングシートを使ってDIYで費用を抑えて施工することも可能です。今回はフィルムの貼り方を含め、カーラッピングについて解説します。

愛車を手軽にイメチェン! カーラッピングとは

フルラッピングされた痛車仕様のプリウス

カーラッピング(痛車)

出典:Copyright©️ 2017 山崎龍 All Rights Reserved.

1980年代頃まではボディカラーを変更(いわゆる“色替え”)したり、車体にグラフィックを表現しようとしたりする場合には、塗料を使ってペイントを施すことが一般的でした。
しかし、車体全体を塗装するオールペイントは多額の費用が必要であり、1度ペイントすると元に戻すには再塗装をするほかなく、愛車を手放す時は下取り査定で大幅原点を覚悟しなければなりませんでした。

90年代に入ると、塗装に代わって専用のプリンターで着色したプラスチック製のフィルムを車体に貼るカーラッピングが普及します。

カーラッピングとはどんなものか?

カーラッピングは役目を終えたり、飽きたりしてもフィルムを剥がすことで簡単に現状復帰でき、施工費用も塗装に比べて安価なのがメリットです。

しかしながら、平面の広告看板にフィルムを貼るのとは異なり、自動車はボンネットやトランク、ドアなどの開口部があり、複雑な立体構造をしています。
そのため、ボディに貼りつける際にはフィルムを部分的に切り取るなどして、ドアなどの可動部を支障したり、エアインテークを塞いだりすることがないように処理する必要があります。

また、サイドウインドウやリアウインドウのガラス部には、メッシュ状のフィルムを使用することで、車内からの視界を損なうことなく装飾することが可能です。

カーラッピングはバスから普及

ラッピングバス

日本国内でカーラッピングが普及する契機となったのが東京都交通局の路線バス、いわゆる都バスです。

2000年4月、深刻な赤字経営を続けていた都バスの収支改善のため、石原慎太郎都知事(当時)が都条例を改正し、バスや路面電車の広告の上限サイズを拡大したことで、車体前面に広告フィルムを貼付けたラッピングバスを登場します。
都内を走り出したラッピングバスは道行く人からの注目が高く、広告の訴求力は抜群でした。
その結果、当初は年間5億円と見込まれた広告収入は実際には6億3,500万円を集めるという好結果を生み出すことになります。

ラッピング施工された電車(近鉄・アートライナー)

この時点では路面電車以外の鉄道車両のラッピング広告は屋外広告物規制により制限を受けていました。
しかし01年10月には規制緩和が行われ、第三者の広告を載せる場合には車体面積の1/10まで、非営利目的の広告については1/3までの利用が認められ、現在に至ります。

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カーラッピングの申し子「痛車」

痛車 アルファロメオ

出典:Copyright©️ 2017 山崎龍 All Rights Reserved.

カーラッピングの普及で登場したのが、アニメやマンガ、ゲームのキャラクターを車体全体に描いたいわゆる「痛車」です。

痛車の源流を探る

特撮ドラマ「ウルトラセブン」に登場したポインター号のレプリカ

「ウルトラセブン」ポインター号(レプリカ)

出典:Copyright©️ 2017 山崎龍 All Rights Reserved.

「オタク」という言葉が誕生した80年代初頭、痛車という言葉こそまだ存在していませんでした。

とは言っても、特撮ドラマ「ウルトラセブン」に登場した劇用車ポインター号のレプリカや、キャラクターをワンポイントとして車体にペイントしたバイクやクルマがSF大会やコミケなどで散見されました。

映画「ワイルドスピード」に登場したトヨタ スープラ

一方、チューニング&カスタム業界においては、90年代後半に米国からスポーツコンパクト(スポコン:コンパクトカーのカスタマイズの手法。日本車や韓国車をベースに高性能に仕上げたマシン)が伝わると、見せることを重視した派手なドレスアップ(極彩色のボディカラーや車体に描かれたグラフィックなど)や車体に取りつけられたネオン管、充実したオーディオなどにより、日本のチューニングファンに衝撃を与えます。

映画『ワイルドスピード』シリーズの影響もあって、スポコンはメディアへの露出画家速度的に増え、一気に人気が過熱しました。

2000年代に入り痛車がブームに

痛車RX−7

出典:Copyright©️ 2017 山崎龍 All Rights Reserved.

このふたつの流れが00年代初頭に融合し、今日の痛車のスタイルが確立します。
オタク文化の本質はパロディと二次創作にあり、痛車はスポコンのアメコミ調のグラフィックをアニメ絵の美少女キャラクターに入れ替えたスポコンのパロディとして誕生したのものと考えられます。
それを裏付けるように、初期に登場した痛車はスポコンのベース車となるスポーツカーがほとんどで、グラフィックやステッカーチューンもスポコンやレース車両を意識したものがほとんどでした。

その後、痛車はさらなる広がりを見せていき、最近ではスポコン風に限らず、自由な発想で愛車に好きな美少女キャラクターを表現した車両が増えています。
ベース車両もかつてのスポーツカー一辺倒だった時代は過去のものとなり、ミニバンやワンボックス、SUV、セダン、コンパクトカー、軽自動車などの痛車も増えています。

カーラッピングのフィルム(シート)

ラップフィルムシリーズ1080(カーボン柄)

先ほども述べた通り、カーラッピングで使用されるフィルムはプラスチック製です。
正確に言うとポリ塩化ビニール製となります。

カーラッピングでもっとも用いられるフィルムを代表する製品に、3M製の「ラップフィルムシリーズ1080」があります。
乗用車、デジタルガジェットへのラッピングを目的とした装飾用フィルムとして開発されたこの製品は、ボンネットやルーフなどに1枚貼りができる1,524mmのワイド幅になっていることが特徴です。
フィルムの厚さは粘着剤を含めて120〜170µm。
貼り付け時に位置合わせが簡単にできる3Mコントロールタック粘着剤とフィルムと下地の間に巻き込んだエアを抜けやすくする3Mコンプライ粘着剤を採用しているので、広い面積や複雑な面への施工がすばやく簡単に行えます。
また、再剥離性があるのできれいに剥がせます。
屋外での耐候性は約3年です。

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カーラッピングのフィルムの貼り方

カーラッピングを施工する場合、素人がよくやる失敗に「フィルムが足りない」「多過ぎて余った」などが挙げられます。

カーラッピングは施工に必要なサイズの正確な計測から始まります。
その際に余白の部分をキチンと頭に入れておく必要があります。
特にボンネットなどはフィルムの末端を内側に折り返して貼らなければ、走行風でフィルムが浮き上がって剥がれてしまうことがあります。
そのため測定サイズよりもやや大きめにフィルムを切り出すことを忘れてはなりません。

また、カーラッピングの施工作業に当たって最初に行うことは洗車です。
埃や汚れは論外ですが、ワックスや油分がボディに残っているとフィルムの接着剤が定着してくれません。

小さな面積・単色のフィルムを貼るのに適した「ドライ貼り」

カーラッピングに用いられる専用プリンター

カーラッピングプリンター

出典:Copyright©️ 2017 山崎龍 All Rights Reserved.

大型のラテックスインクジェットプリンターを使用する場合、無地(白)のフィルムを用意して好きな色やグラフィックを印刷します。
印刷が終わったらフィルムの印刷面に透明な塩ビシートを貼り、ラミネート加工を行います。
ラミネート加工を施すことでシートの強度を上げ、物理的な衝撃から印刷面や車体を保護し、インクとフィルムの耐久性を格段に上げることができます。

単色やシンプルな柄のフィルムを小さな面積に貼る場合には、施工したい場所にフィルムをそのまま貼り、「スキージ」と呼ばれる専用の施工ツールで中心から端に向けてシワを伸ばしつつ貼るだけでOKです。
この手法を「ドライ貼り」と言います。

大きな面積・グラフィックや文字のフィルムを貼るのに適したウェット貼り

痛車のようにグラフィックや文字が印刷されたフィルムを大きな面積に貼る場合は「ウェット貼り」という手法をとります。

中性洗剤を少し溶かした水を、貼る対象物と貼るラッピングシートの接着面に多めに吹きつけます。
接着面の中央、もしくは面積の多き場所からゆっくりと慎重にシートを載せ、中心からスキージで少しずつ内部の水を外に向けて抜きながら接着をしていきます。
その際、ある程度作業が進んだ段階で、接着力の低下を招かないために必ず水気を処理しましょう。

クルマやバイクのボディは曲面の部分が多く、どうしても貼りにくい部分が出て来てしまいます。
その場合は少し離れた場所からヒートガン(ドライヤーの強力なもの)を使って、ゆっくりと暖めながらフィルムを熱で伸縮させて貼っていきます。

カーラッピングを業者に依頼したときの費用

専門業者によって架装されたアルファロメオのラッピングカー

痛車・アルファロメオ

出典:Copyright©️ 2017 山崎龍 All Rights Reserved.

カーラッピングの施工作業を自分で行わない場合は、カーラッピングの施工を行う専門業者を見つける必要があります。
こうした業者はカーラッピングのほかに屋外広告などを手掛けていることが多いようです。

専門業者によって施工費用は異なりますが、だいたいパネル1枚で3〜5万円。
小型乗用車の車体全体をフルラップする場合は単色で10〜25万円、痛車のようにグラフィックや文字が入るケースだと30〜60万円くらいが相場のようです。
オールペイントの費用に比べると半分程度の費用で愛車のイメチェンが図れます。

大型車のフルラッピングは高価

ラッピングキッチンカー

出典:Copyright©️ 2017 山崎龍 All Rights Reserved.

写真は東日本大震災の復興支援のために「MOE」(南相馬応援エンターテイメント)が企画、アニメーターの横田守氏がイラスト&デザインを担当、愛知県の「看板マン」(スピードグラフィック)が制作したフルラッピングのキッチンカーです。

この車輛は東北地域の復興支援という主旨に賛同した施工業者によって安価に制作されましたが、通常このサイズのクルマにフルラッピングを施すと費用的には80〜100万円くらいは掛かります(デザイン料別)。

カーラッピングのDIYと価格

カッティングシート

読者のみなさんの中にはカーラッピングをDIYで楽しみたいと言う方もいらっしゃるかもしれません。
ボディ全体をグラフィックや文字が印刷されたフィルムでフルラップするには、前述の通り、大型のラテックスインクジェットプリンターが必要になります。

こうしたプリンターは安価なものでも15万円ほど、プロユースの高いものになると200万円を超えるものもあります。
もちろん、フルラッピングをキレイに施行するためには専門的な技術も必要となり、アマチュアが趣味で楽しむには少々ハードルが高いように思われます。

そこで、もっと手軽にカーラッピングを楽しみたいと言う方には、カー用品店などで販売されているカッティングシートを使用する方法があります。
ボディカラーを変更するような大掛かりなカーラッピングは難しいですが、ワンポイントとして給油口やエアスクープなどの車体パーツのカラーチェンジをしたり、アニメや漫画のキャラクターを切り抜いて痛車を製作したりするのに適しています。

カッティングシートの費用と貼り方

カッティングシート施工

出典:Copyright©️ 2017 山崎龍 All Rights Reserved.

店頭でよく見かけるカッティングシートは300mm×5mで2,000〜3,000円程度です。(色によって価格は異なります)
切り抜きには専用のカッティングマシンを使う方法もありますが、カッターや画材店で売られているデザインナイフ(アートナイフ)を使って必要な形状に切り出すのがDIYでは一般的なようです。

施工方法は基本的に専門業者と同じです。
ステッカーサイズならドライ貼り、大きめのサイズならウェット貼りをすると良いでしょう。
アマチュアの場合、プロのように気泡が入らないように一発で貼ることは難しいと思いますので、気泡が入った場合には待針などで軽く突き、フィルムの中に入った空気や水を抜く必要が出てくると思います。

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カーラッピングは塗装面の保護にも有効

カーラッピングが施工されたドイツのタクシー

カーラッピングは手軽かつ安価に愛車のイメチェンが図れることがいちばんのメリットですが、ほかにも塗装面の保護にも有効です。

一例を挙げると、ドイツのタクシーはライトアイボリー色が標準カラー(かつては法律でタクシー専用色とされていました)となっていますが、じつはこれはペイントではなく、カーラッピングなのだとか。
ドイツのタクシーは新車だけでなく中古車が用いられるケースもあり、どんなボディ色でも安価にタクシーカラーに変更できるのが何よりの利点なのだそうです。
そして、車両の代替の際にはフィルムを剥がせば、塗装面の痛みが少ない中古車として売却することで、下取り査定のアップが狙えるのだとか。
日本で言えば過走行車に当たる車両でも中古試乗で当たり前のように流通しているドイツらしいエピソードです。

日本でもリセールを気にして好きなボディカラーのクルマに乗れないという人には、ドイツのタクシーの例が参考になるかもしれません。
高額車になればカーラッピングの施工費用は人気色&塗装面の良好な状態による下取り費用のアップで充分カバーできると思いますしね。

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この記事の執筆者

山崎 龍この執筆者の詳細プロフィール

1973年1月東京生まれ。自動車専門誌の編集を経てフリーライターに。自動車専門誌を中心に、航空、ミリタリー、映像作品、オタクカルチャー、政治などの 様々なジャンルに寄稿する雑文ライター。 著書に『最強!連合艦隊オールスターズ』『萌えだらけのクルマ選び』(共にイカロス出版)、『「...

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