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「オフローディング」を楽しむために…知っておきたい4WDの基礎知識

きちんとしたノウハウや装備が必要不可欠

三菱 パジェロ

僕は今から40年ほど前に、三菱「パジェロ」に出会ったことでオフローディングを知りました。当時、勤務していたのが四輪駆動車専門誌の編集部だったこともあり、オフローディングに必要な様々な知識や技術を諸先輩から教えてもらいました。

クルマでオフロードを走ることを「オフローディング」、自然の中を自在に走破することを「クロスカントリードライブ」などと言います。日本でオフロードと言えば未舗装の林道か専用コースしかないため、一般のドライバーには縁遠いのは否めません。しかし海外では多くのファンがいる、立派なモータースポーツのひとつとなっています。

初めて、四輪駆動車が険しい地形を走り回るのを見た時は、「クルマってこんな所を走れるものなんだ」と衝撃を受けたものです。きちんとしたノウハウや装備があれば、無限軌道の車両に劣らぬ走破性を発揮することができるものなのです。

その走破性の基幹になるのは、「四輪駆動」です。字面の通り、4本のタイヤに駆動力が伝わること。「4WD(FOUR WHEEL DRIVE)」や「AWD(ALL WHEEL DRIVE)」などといった言い方もします。前輪で車体を引っ張り、後輪で車体を押すから走破性が高いというのが、単純な考え方です。加えて、各輪に効率よく駆動力を伝えるため、舗装路を安定して走れるというメリットもあります。

とにもかくにも「四輪駆動車は悪路に強い!」というイメージを皆さんも持っていると思いますが、一口に四輪駆動システムと言ってもいろいろあります。

また、オフローディングに適したクルマ、不向きなクルマというのもあります。“4WDって書いてあったからオフロードに行ったら、スタックして酷い目に遭った”なんてことにならないように、まず基本を知っておくことが大切です。

パートタイム式4WDとフルタイム式4WDの違い

ジープ ラングラー

四輪駆動システムには「パートタイム式4WD」と「フルタイム式4WD」があります。

パートタイム式は通常はFRで走行しており、サブトランスファー(副変速機)を任意で操作することで2WDと4WDを切り替えることができます。このパートタイム式を備えているクルマは軽トラックも含めて、悪路走行を意識した造りとなっており、安心してオフロードに行くことができます。

現在、国内で新車で購入できるクルマとしては、スズキ「ジムニー」、Jeep「ラングラー」です。

ちなみにパートタイム式4WDの場合、4WDモードに入れられるのは「未舗装路」「雪道」「雨で濡れた道」の時に限られます。乾燥した舗装路で4WDにしてしまうと、“タイトコーナーブレーキング現象(前後輪の回転差が吸収できないため発生する、プロペラシャフトがギクシャクする現象)”が発生し、メカニズムを破損させたり、転倒などの事故を引き起こすからです。

一方、フルタイム式4WDはその名の通り、常時四輪駆動という意味です。しかし実際は、通常はFF(一部でFRの場合も)で走っており、駆動輪が空転すると後輪に駆動力を伝えることがほとんどです。つまり、いつも四輪駆動で走っているというのは誤解です。

フルタイム式4WDの特徴は、センターデフ(もしくはその代替え機構)を備えていること。四輪が駆動していても、前後輪の回転差を吸収してくれるので、曲がり角などをスムーズに曲がることができます。

しかし、そのセンターデフがアダとなることもあります。例えば、1輪でも空転してしまった場合、センタデフが逆効果となって、他の3輪は停止してしまうという弱点がフルタイム式4WDにはあります。そんなフルタイム式4WDにも「パッシブトルクスプリット方式」と「アクティブトルクスプリット方式」があります。

フルタイム式の主流は電子制御4WD

メルセデスAMG G63

パッシブトルクスプリット方式は、駆動輪が滑ったら差動制限装置が働き、後輪に駆動力を伝えるシステム。空転してから四輪駆動になるまでタイムラグがあり、しかも空転が収まればまたFFに戻ってしまいます。

アクティブトルクスプリット方式は、各タイヤの状態や速度、エンジン回転数などの状態をセンサーで感知し、それによって四輪への駆動トルク配分をリアルタイム、かつバリアブルに変えていきます。いわゆる電子制御4WDです。元々は、スポーツカーの4WDに採用されているシステムでしたが、昨今はオフロード走行に特化したモードを備えることで、SUVにも採用されるのが一般的です。

例えば、スバルの「X-MODE」や日産の「オールモード4×4-iシステム」、トヨタの「ダイナミックトルクベクタリングAWD」などは、トラクションコントロールとの統合制御によって、オンロード用のタイヤでも優れた悪路走破性を見せてくれるのです。

また、一輪が空転すると3輪が停止するという弱点を、センターデフの差動を制限したり、空転したタイヤをブレーキで止めることによって解消しています。こうしたシステムは、SUV全般に採用されているわけではなく、中には雪道やちょっとしたダート路くらいしか想定していない四輪駆動システムを搭載している車種も少なくありません。

パートタイム4WDの機能を持ったフルタイム式も

ごく稀ですが、フルタイム式4WDでありながら、パートタイム式4WDとのハイブリッドなシステムを持っているクルマがあります。トヨタ「ランドクルーザー300系」や「ランドクルーザープラド」、そしてメルセデス・ベンツ「Gクラス」です。

これらはフルタイム式4WDですが、パートタイム式と同様の直結4WD状態(センターデフがない4WDの状態)になるセンターデフロックを備え、さらに様々なトラクションコントロール機能、前後デフロックなどを採用しています。また、より強力な駆動力を発揮する4WD Lowレンジも備えています。

悪路走破には最低地上高やサスペンションも重要

悪路走破性を判断する場合、まずどんな四輪駆動システムを持っているかも大切ですが、そのクルマが十分なロードクリアランス(最低地上高)を持っているかが走破力を左右します。

さらに言えば、ジムニーやランドクルーザ−、Jeepラングラーなどのように、ラダーフレーム構造(ハシゴ形のフレームの上にボディが載っている)で、リジッドアクスル式サスペンション(左右輪がホーシングでつながっている)の車種であれば、激しいクロスカントリードライブに対応できるでしょう。

昨今、オフロード性能を向上させたSUVが多くなってきており、こうした車種の多くは電子制御タイプ(アクティブトルクスプリット方式)のフルタイム式4WDを持っています。

オフロードに不慣れなビギナーでも簡単にドライブできるほど、その支援システムは優れもの。例えば、三菱「アウトランダーPHEV」の『S-AWC』は、多くの自動車関係者を唸らせたほどの高い悪路走破性を発揮します。ただし、愛車を壊したくなかったら、フラットダートをゆっくり走るくらいに抑えておいた方がいいのではないでしょうか。

オフロード走行をするにはやはり基礎知識は不可欠。何も知らないまま行くと、愛車を壊したり、事故を起こしたりすることに。行く前にきちんと予習し、装備も十分に持っていくことが肝心です。

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執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...

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