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【もう滅茶苦茶】当分の間税率…車を持つ日本国民に上乗せされ続けている税金とは
日本で車を所有するには、ヨーロッパやアメリカなどの世界各国・各地域と比較して税金が高いという声は以前から上がっています。
なかでも、”当分の間税率”とも呼ばれている「特例税率」は、本来課税される金額よりも多くなっているという、車を所有している日本国民に不利な税制度です。
自動車業界の関係者や車を愛する人々が悲鳴を上げる最中、今後、特例税率はどうなっていくのでしょうか?
特例税率とは?ガソリン以外にも課税されているってホント?

”当分の間税率”こと特例税率とは簡単に言えば「当分の間は本来の税率よりも高い税率を適応する」というもの。つまり、特例税率が適応されている項目は、本来定められているよりも高い税金を納めているのです。
現在日本では、3つの税制度に特例税率が課せられています。
- ガソリン税(「揮発油税」とも表記される)
- 軽油引取税
- 自動車重量税
特例税率は2010年頃から今まで継続されており、いつまで高い税金を納め続けなければならないのか、とドライバーの間でもしばしば問題になる事柄です。
給油すると約3分の1が税金ってホント?
例えば、ガソリンは1リットルあたり53.8円、軽油は1リットルあたり32.1円の税金がかかっています。
つまり、1リットルあたり150円のレギュラーガソリンを購入したとすると、およそ3分の1が「揮発油税」に該当します。ガソリン購入代金のおよそ3分の1が税金というわけです。
単純に考えると、この揮発油税がなくなれば、ガソリンの値段は50円下がります。価格高騰に喘ぐドライバーにとっては一刻もなくしてほしい税金のひとつといえるでしょう。
筆者の行きつけである某ガソリンスタンドのスタッフも「税金が少しでも軽くなれば、ガソリンをもっと安く提供できるようになるはずですが…」と溜め息の声が上がっていました。
13年以上乗っている車にはペナルティも

自動車重量税は本来、0.5トン(500kg)ごとに目安となる金額「本則税率」が決められています。これに関して、環境性能の高い車であれば「減税」や「免税」の優遇措置を受けられる項目です。
しかし、国が定める排ガス規制や燃費基準を満たしていない車(=エコカー減免対象外の車)には、”当分の間税率”つまり特例税率が適用されるケースがあります。
例えば、2022年5月1日から2023年4月30日までに新車新規登録等(初回検査)を行うディーゼル車は、令和2年度燃費基準を達成していないと、エコカー減税が適用されず、当分の間税率となります。
さらに、新車登録等から13年を経過している車や、18年を経過している車は、エコカー減免が適用されないだけでなく、年数超過車として税金が上乗せされる仕組みとなっています。
以下表は、継続検査時に支払う自動車重量税の金額(※1)の一例です。
車の種類 | 課税金額 |
---|---|
”エコカー減免” 適用車 | 0円(減税) ~7,500円(50%減税) |
”エコカー減免” 適用外の 「エコカー」 | 15,000円 |
新車登録から 13年未満の車両 | 24,600円 |
新車登録から 13年超の車両 | 32,400円(※2) ~34,200円(※3) |
新車登録から 18年超の車両 | 37,800円 |
※1 車検有効期間は2年間、自家用乗用車、車両重量1.5トン(1,500kg)以下で算出
※2 2016年3月31日までに新車新規登録した車両
※3 2016年4月1日以降に新車新規登録した車両

つまり、新車で登録されてから1度目の車検(継続検査)以降で自動車重量税を支払うとき、特例税率の対象かそうでないかの車では、支払う税額に数千円から数万円単位、実に1.5倍から2倍以上もの差が出てきます。
2年ごとにこれほどまでの金額差が生じると、ユーザーから不満の声が上がるのも止むを得ないでしょう。
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車に関連した税制度は、1954(昭和29)年に揮発油税(ガソリン税)が「道路特定財源」に指定されて以降、長らく続いています。当時は戦後の復興や高度経済成長に伴って、高速道路をはじめとした交通網の整備が急務であり、道路を作るために車の所有者から税金を確保するのが目的だったのです。
しかし、1974(昭和49)年には道路特定財源の不足を理由に、”暫定”の名目で課税額が2倍となる税率の仕組みに変更。さらに2009(平成21)年、道路特定財源は使用用途が固定されない「一般財源」へ切り替えられました。
つまり現在は、道路を作るために使うかどうかわからない税金を、自動車ユーザーから徴収している状態といえます。自動車ユーザーは実に50年近くもの間、”暫定”のまま2倍の税率でガソリンや自動車重量税を支払い続けているのです。

半世紀の間で、当初の目的であった交通網の整備が進み、一般財源となったことで課税根拠を失ったとして、”当分の間税率”こと特例税率に対しては、一般のユーザーだけでなくメーカーやJAF(日本自動車連盟)でも改善を訴える声が挙がっています。
直近では、2022(令和4)年5月に行われたJAMA(日本自動車工業会)の記者会見にて、会長を務めるトヨタ自動車社長・豊田章男氏が日本の自動車税について「世界一高いレベル」とコメント。車を所有するには日本は税負担が大きいことを提言しました。
特例税率だけでなく、車に関わる税金が高額となっている問題は、いまだに燻り続ける問題です。自動車に関わる税制が生まれ変わり、車を所有しやすくなる世の中が来るよう、訴えかけていきたいものです。
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- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。