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「軽量ホイールで性能アップ!」はもう古い?重そうなデザインのホイールが増加のワケ

隙間が少ないホイールを装着している車が増えている

日産 アリアのホイール

最近デビューした車では、スポーツカーのトヨタ GR86やマツダ CX-60がありますが、これらの車は従来どおりのデザインを採用したホイールが装着されています。

しかし、日産の『アリア』や『サクラ』、少しさかのぼってホンダの『Honda e』といったバッテリーEVでは隙間が少ないデザインを採用したホイールが装着されていて、アリアにいたってはアルミホイールにカバーをつけるという徹底ぶり。トヨタ プリウスもアリア同様、一部グレードでホイールキャップを被せたアルミホイールが装着されています。

前述のとおり、軽量なホイールは燃費にも影響するため、バッテリーEVにおいても軽量なホイールを装着すれば航続可能距離を伸ばすことができるものと考える人は少なくないでしょう。

隙間が少ないデザインを採用するホイールは、そうではないホイールと比べそれだけアルミ素材が多く使われるため、重くなります。これでは、航続可能距離をかえって短くしているように思えてしまうでしょう。

しかし、実はバッテリーEVにとっては、隙間が少ないデザインのホイールのほうが都合が良いのです。

軽さよりも空力が求められるように?

燃費を追求したデザインのホンダ インサイト(初代)

バッテリーEVをはじめとした多くのEVには、減速時に発生する負荷によって発電し、その発電で蓄えた電力を再利用する回生ブレーキという仕組みがあります。

重いホイールを装着した場合、それが回転するのを止めようとすると軽いホイールよりも大きな負荷がかかるため、その分回生ブレーキにより発生する電力も増加。重いホイールを装着したとしても、回生ブレーキによってその損失をカバーできると考えることができます。

そうまでして隙間が少ない、重いホイールを装着する理由は、空気の抵抗を抑えるためです。隙間が多く空いているホイールは、回転することによって車体側面を流れる空気の流れを阻害し、燃費、電費に影響を及ぼします。

タイヤ、ホイールの回転による空気の流れの乱れを抑えようとした市販車の例として挙がるのは、燃費を追求した市販車としてデビューしたホンダの初代『インサイト』です。

インサイトは、リアタイヤを覆うように装着された『スパッツ』によって、タイヤの回転による空気の乱れを防止。ステアリング操作によってスパッツを装着できないフロントタイヤに関しても、ホイールは隙間が少ない、平たいデザインのものを装着していました。

バッテリーEVにおいては、搭載するバッテリーの重量によってどうしても車重が重くなってしまうため、軽量化よりも空気の抵抗を減らすことが航続可能距離を伸ばすためには効果的です。

徐々に日本でも増えつつあるバッテリーEVがこうした隙間が少ない、重そうなデザインのホイールを装着するのは、重量増による影響は回生ブレーキでカバーでき、空気抵抗を抑えることで航続可能距離を伸ばすことができるからと言えます。

ホイール交換は車のカスタムの楽しみのひとつですが、バッテリーEVの場合、軽さだけでなく、空気抵抗を抑えることができるかについても検討をしたほうが良いでしょう。

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執筆者プロフィール
MOBY編集部 高山 志郎
MOBY編集部 高山 志郎
平成元年生まれ、東京都出身。学生時代にモータースポーツ活動を開始し、大小さまざまな耐久レースへ参戦。優勝の経験も持つ。エンジニアとして複数の業界を渡りながら趣味で車やバイクに触れ続け、縁あって自動...

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