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日本がEVを推進する本当の理由は「日本が国家として生き残るため」だった

これからのクルマを語る上で、間違いなく欠かせない存在であるのがEV(電気自動車)です。欧州諸国では内燃機関車(ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車)の規制を発表。2021年1月にはついに日本でも「2035年までにすべての新車販売を電動車とする」と発表され、「脱ガソリンエンジン車化」の姿勢が明確になりました。

しっかりと内容を読み解くと、電動車=EVではないことから、近い将来にすべてのクルマがEVになるというわけではないことがわかります。しかし、現在街を走るクルマの大多数を占めるガソリンエンジン車が規制されるというニュースは、自動車業界を超えて現在進行系で議論されています。

EV推進の理由は「エコだから?」

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なぜ日本をはじめとする多くの国々がEVを推進するのでしょうか?

多くの人にとって、最もイメージしやすい理由のひとつは、EVが「エコ」だからということかもしれません。

ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車などの内燃機関車は、ガソリンや軽油を燃焼させた力を原動力としてクルマを動かしますが、その際には温室効果ガスを含んだ排気ガスを排出します。

この排気ガスをクリーンにし、地球環境への負荷を減らすことが自動車メーカーの重要課題となっていました。

一方、EVであればそもそも排気ガスを出すことがありません。「世界中のクルマがEVに置き換わると地球環境に対して大きなメリットがあるため、ガソリンエンジン車を規制し、EVを推進すべきである」という趣旨の説明は、非常に理にかなっているように思えます。

今後の自動車産業はライフサイクルアセスメントが重要に

もちろん、こうした環境対策がEV推進の理由のひとつであることは間違いありません。しかし、EVが無公害なのはあくまで「走行時」の話であって、製造や廃棄といったクルマの一生をトータルで考えたときには、決してエコではないという指摘もあります。

例えば、EVのキモとも言えるリチウムイオンバッテリーには、多くの化学物質や希少金属が用いられています。それらを製造したり採掘したりする際、少なからず環境に影響を与える可能性や、リチウムイオンバッテリーの廃棄にも多くのコストを要する場合があるのです。

このようにEVの製造に関していえば、EVはガソリンエンジン車に比べてエコであるかどうかは疑問が残りますね。

こうしたトータルでの環境への影響を考えることは、「ライフサイクルアセスメント」と呼ばれ、今後の自動車産業では重要な考え方になると言われています。

EVを推進する日本独自の事情とは

©Yoshiyuki/stock.adobe.com

各国がEVを推進する背景には、政治上の様々な思惑があるなど、もはやEVが好きか嫌いかというだけの話とは言えなくなっています。

ただ、日本には欧米諸国とは異なる独自の事情があると、ある業界関係者は話します。

「日本では、GDPのおよそ1割を自動車関連産業が占めると言われています。そのため、急速なEV推進は雇用への影響も大きいのではと、慎重論を唱える業界関係者は少なくありません」

しかし、それでも日本政府がEVを推進する背景には、『エネルギー安全保障』があるのです。

いかにクリーンなエネルギーを合理的かつ継続的に確保するか、という課題

エネルギー安全保障とは、市民生活や経済活動に必要十分なエネルギーを、いかにクリーンな方法かつ、合理的な価格で継続的に確保するか、ということです。

自国で使用されるエネルギーをどのように調達するかということは各国政府の重要課題となっています。

とくに、資源に乏しい日本では、原油で天然ガスに頼らずに発電できる 原発(原子力発電) は、ある時期に大きく推進されることになりました。しかし、福島第一原発事故以来、原発を推進する動きは大きくトーンダウンすることになります。

現在も、日本における原発(原子力発電)を是とするか否かには世論の分かれるところです。

現在、日本の電力のほとんどは火力発電によってまかなわれています。そして、その燃料として石油が用いられていますが、その原油はおもに中東から輸入されています。直近では原油の90%近くが中東からの輸入に依存している状態です。

日本と中東は歴史的にも友好的な外交関係を築いていますが、なんらかの政情変化によって原油輸入に障害が起こった際に、日本のエネルギー事情は大きな変化を受けることになります。

実際、福島第一原発事故以降、原油輸入の中東依存率は高まりを見せており、2018年には輸入される原油のおよそ90%弱が中東のものとなっています。

EVの普及がエネルギー中東依存脱却の一翼を担えるか

エネルギー安全保障について、ある業界関係者はこう話します。

「エネルギー安全保障は国家の重要課題です。資源の少ない日本にとっては、中東からの原油輸入に依存せざるを得ないのが現状ですが、将来的に見たときにはかなりリスクがあります。それを減らすためのひとつの策として、EV推進が図られていると言えます」

もちろん、EVで使用される電力の大部分が、原油をもとにした火力発電でまかなわれるという点では、結局エネルギーの中東依存は変わらないとも言えます。しかし、電力は様々な形で発電できることから、中東依存を脱却できる可能性は現状よりも高くなるというわけです。

すべてがEVになるわけではない?

このように、日本がEVを推進する背景には、日本が抱える根本的な課題、つまり資源の不足に対する対応策という側面があるようです。

EVの推進により、今後急速にエンジン車の淘汰が進み、それらはEVへ転換されていくものと予想する声もあります。

しかし、トヨタ プリウスをきっかけに、ハイブリッドが急速に増えたでしょうか?現在ではさまざまな車がハイブリッド化されるようになり、選択肢が増えましたが、プリウスの発売からは20年が経過しました。

EVをはじめとする電動車が今後増加していくことは確実ではあるものの、「普及した」と言えるようになるまではハイブリッド車同様緩やかな時間経過が必要となりそうです。

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執筆者プロフィール
清水 圭太
清水 圭太
1995年生まれ。自動車やファッション、高級時計などのライターとして執筆活動中。現在の愛車はランドローバー、輸入車が好き。週末はSUVで旅行に行くのが楽しみになっている。
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