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室屋義秀が奇跡の優勝!なぜレッドブル・エアレースは終わるのか?
目次
今年で最後「レッドブル・エアレース」

今年で終了となる「Red Bull AIR RACE」シーズン最終戦が千葉市の幕張海浜公園で9月7日と8日に開催。その決勝日のダイジェストをレポート。

8日夜には関東地方への台風直撃が予想され、プログラムを大幅に変更、決勝ラウンド開始を午前10時に早め、全プログラム終了を午後3時30分となった。昼食時間帯に土砂降りの雨に見舞われたが、レースの中段、中止などはなく無事に最終戦を終えることができた。

主催者の発表によれば、入場者数は予選日の7日が4万人、決勝日の8日が6万人の計10万人。

【ROUND OF 14】室屋義秀 vs ベン・マーフィー


ROUND OF 14は、14選手で戦うトーナメント。室屋義秀の対戦相手は、イギリスのパイロット、ベン・マーフィー。これが熾烈な戦いとなり、わずか0.015秒差で室屋がまさかの敗退。会場からは大きなため息が漏れた。
室屋機のオンボードカメラには、負けを無線で告げられ「クソッ!」と叫ぶ姿が…
室屋義秀、敗者復活

しかし、ROUND OF 14で最速タイムを叩き出した選手は、敗者復活で次のROUND OF 8(準々決勝)へ進める制度。室屋がこの権利を獲得した。
【ROUND OF 8】室屋義秀 vs フランソワ・ルボット

準決勝となる「ROUND OF 8」で勝ち残った4選手が、最終ステージ「FINAL 4」で戦う権利が得られる。室屋義秀はフランスのフランソワ・ルボットと対戦。フランス空軍の元エースパイロットの強敵だったが室屋は怒涛の巻き返しで優勝を争うラウンドを飛べることに。会場は室屋選手優勝への期待を高めた。
【FINAL 4】室屋義秀、有終の美を飾る。
決勝となる「FINAL 4」はトーナメントではなくタイム争いに変わる。室屋義秀と戦うのは、ピート・マクロード(カナダ)、マット・ホール(オーストラリア)、そして今年59歳の最年長ベテランパイロット、カービー・チャンブリス(アメリカ)。

室屋義秀の前、1番目に飛ぶのはピート・マクロード。
決勝ラウンドではまさかの2番ゲートでパイロン・ヒット。台風の影響で風が強くなったためか?さらに8番ゲートでは姿勢不正(エアゲートで機を水平に通過しなかった、ないしは上昇・下降しながら通過した場合のペナルティ)でプラス5秒のペナルティが課せられ、タイムは64.028秒。他の選手がミスをしない限り、表彰台に登ることはなくなってしまった。

2番目に飛ぶ室屋義秀のタイムは、58.630秒。ノーミス。これまでのラウンドでは57秒台が出ていたため、このタイムでは優勝は厳しいかと思ったが、FINAL 4は風が強い。
残す2選手。「遅く飛べ!」と心の中で叫んだ観客は何人いただろうか?

室屋の後に飛んだのは、最年長ベテランのカービー・チャンブリス。
タイムは、59.601秒。0.917秒差。この時点で、室屋義秀の年間ランキングが2位に確定した。

最後に飛ぶのは、マット・ホール。
マットは最終ラウンド3位以内に入れば年間総合優勝が決まっていた。タイムは60.052秒。最終ラウンド3位、年間総合優勝を決めた。
室屋義秀、年間総合2位。1位との差は1ポイント。

マット・ホールの年間総合ポイントは81。室屋義秀は80。たった1ポイントの差で惜しくも2位。ちなみに3位はチェコのマルティン・ソニカの68ポイント。この日マルティンはROUND OF 14で敗退している。
マット・ホールは初となる年間総合優勝。室屋はレッドブル・エアレースの千葉開催では3回目の優勝。今年でラストとなったレッドブル・エアレースの最終戦を制して有終の美を飾った。
室屋義秀選手、おめでとう!ROUND OF 14で敗れたときは無念でならなかったが、奇跡を起こし日本だけでなく世界中を沸かせてくれた。年間総合優勝のマット、そして敗れたすべての選手に賛美と感謝を贈りたい。

レッドブル・エアレースはなぜ終了?再開の可能性は?

今年で最後となったレッドブル・エアレース。千葉市長の熊谷俊人氏は記者会見冒頭の挨拶で、誘致から今までの苦労と、地元住民、議会、警察、消防などの多数の理解を得られたこと、自衛隊、海上保安庁などにも協力が得られたことに深い謝辞を述べ、東京オリンピック2020へのブリッジとなることを期待していた。リスクもある大きなエアレース、都市部で開催するのは世界的に見ても珍しい。
レッドブル・エアレース社のゼネラルマネジャー、エリック・ウルフ氏は記者からの質疑応答にて、エアレースの終了の理由を訊かれ、「私が及ばないレッドブルのトップレベルで判断された。私は最終シーズンを安全に終わらせることに集中した」と回答。再開の可能性についての質問に「It is not my job」(それは私の権限ではない)と即答、会場は笑いに包まれた。
室屋義秀の今後は?

室屋義秀選手一人のみの記者会見が行われ、室屋選手は今後どうするのかに記者からの注目が集まった。室屋選手は「今日まで、レースを勝つことしか考えていなかった。今度どうするかはこれから考える。もちろん機会があったら飛びたい」と語った。
サイド・アクトもすばらしかった

レッドブル・エアレースでは、レースの合間にフリースタイルフットボール、フリースタイルモトクロスなど、スポーツ・マーケティングを展開するレッドブルならではのプログラムを展開。海上では、千葉市消防航空隊「おおとり」のヘリコプターの披露、海上自衛隊曲技飛行チーム「WHITE ARROWS」の編隊飛行、救難飛行艇「US-2」の飛行も披露され、多くの観客を楽しませていた。


撮影・文:MOBY編集部 宇野 智
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- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...