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MaaSとは?先進国フィンランドの事例や日本国内におけるトヨタの取り組み

Maasのサービス内容のしくみ
©Mikko Lemola/stock.adobe.com

あなたは、『MaaS』を耳にしたことはありますか?MaaSは現代の日本で見られる移動手段を1つにまとめたサービスの考え方です。MaaSはカーシェアリングや自転車のシェアリングに加え、電車、バス、飛行機などの公共交通機関を連携して組み合わせます。各交通機関を連携させて、効率の良い移動を可能とするのです。

今回は、MaaSを紹介します。MaaSをいち早く取り入れているフィンランドの事例や現在日本国内で取り組んでいる事例を取り上げて説明。読めばあなたも、いち早く次世代の「交通サービス」の仕組みを学べるでしょう。ぜひ、読んでみてください。

MaaSとは?

夜の街を走行するバス
©Christian Müller/stock.adobe.com

MaaS』は、「モビリティ・アズ・ア・サービス」を略した名称です。情報通信の技術を活用して、自家用車以外の移動に使う交通手段を1つのサービスにまとめて連携させるサービスの考え方を表しています。

MaaSのメリット

MaaSに取り組むメリットは以下が挙げられます。

  • スマートフォンで検索から予約、代金の支払いを一括でできるようになる
  • 都市部の交通渋滞や環境問題の解決に役立つ
  • 地方の移動手段に悩む人たちの問題解決に役立つ

(参照元1)政府広報オンライン『「移動」の概念が変わる?新たな移動サービス「MaaS(マース)」』

(参照元2)総務省『次世代の交通 MaaS』

(参照元3)国土交通省『MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス) について』

スマートフォンで検索から予約、代金の支払いを一括でできるようになる

MaaSは、スマートフォンが一台あれば交通の情報検索や予約、支払いが一括で行えるサービスを提供します。

今までの交通移動では、利用者が出発から目的地までのルートを検索して、表示されたサービスを選択していました。それぞれの交通機関に予約の必要や料金の支払いをしていたので、手間がかかる難点が存在していたのです。

しかし、MaaSはスマートフォンアプリを通じ、出発から目的地までのルート検索から交通機関の予約と料金の支払いが可能。加えて、目的地周辺の観光案内やレストラン・ホテルの予約と代金の支払いなど、移動の目的に合わせたサービスの追加が可能。利用者の利便性を高めるメリットがあるのです。

都市部の交通渋滞や環境問題の解決に役立つ

MaaSの考え方を取り入れると、都市部の交通渋滞や環境問題の解決に役立つメリットがあります。

警視庁の『東京都内の交通渋滞統計』によると、以下の交通渋滞のデータが存在します。

■一般道路の年次別交通渋滞発生状況

  • 『渋滞』の定義:自動車の走行速度が20km/h以下となった場合
  • 数値:1時間の平均渋滞距離
  • 表のカッコ内は単位を表す
年次渋滞距離(km)平均速度(km/h)
2015年12422.7
2016年12822.5
2017年12722.6
2018年12622.9

(引用元)警視庁『都内の交通渋滞統計』より抜粋

東京都内の一般道では、平日1時間あたりで約120kmもの渋滞距離が発生しているのです。平均速度も約23kmと、渋滞の目安である時速20km以下に近い数値を示しています。

ご覧のように、東京都内の自動車走行量では、「乗用車」が1日のうち12時間の換算で約2700万台キロ(台キロ=台数×キロメートルを掛け算した数値)を占めており、他の種類と比較して2倍から3倍も多いのです。

東京都環境局『交通機関の種類とCO2排出量』より抜粋

また、一人辺り1kmを移動する際にかかるCO2(二酸化炭素)の排出量も課題となっています。自家用乗用車を一人で利用した場合、1km辺り137gのCO2を排出。鉄道の19gやバスの56gを大きく上回る数値を示しているのです。

(引用元)東京都環境局『交通機関の種類とCO2排出量』公表数値

MaaSの導入により、乗用車の利用を減らすと同時に公共交通機関への利用切り替えを促します。伴って、交通渋滞の減少や環境への負荷を減らせるメリットがあるのです。

地方の移動手段に悩む人たちの問題解決に役立つ

都市部では「渋滞」「環境負荷」の問題を抱える反面、地方では以下の問題が存在しており、解決に向けてMaaSが貢献すると期待されています。

■地方の移動手段の課題

  • 高齢化に伴う75歳以上の「運転免許返納」が進んでいる
  • 乗合バス事業は赤字収支
  • 人口減少地域ほど公共交通空白地の割合が高い
  • バスやタクシーのドライバー不足

(参照元)国土交通省『地域公共交通・MaaSをめぐる取組について』

運転免許の返納により自家用車での移動手段を失い、都市部への流入や少子化による人口減少でバスや地域の鉄道、タクシーの利用客が減っているのです。伴って、バスやタクシーのドライバーの人手不足も発生し解決が容易ではありません。国土交通省は、上記の課題解決を目指しMaaSの活用を目指しています。

次の項目では、日本よりもいち早くMaaSに取り組んでいる国の事例を挙げてみましょう。

MaaS先進国であるフィンランドの事例

ヘルシンキのトラム
©Grigory Bruev/stock.adobe.com

MaaSを世界でいち早く取り入れた国が『フィンランド』。フィンランドは北ヨーロッパに位置する共和制国家です。

フィンランドの首都「ヘルシンキ」で始まったサービス「Whim(ウイム)」が、MaaSの先駆けとされています。

MaaSを始めた背景

フィンランドの特徴を挙げて、MaaSを始めた背景を紹介します。

  • 移動手段の約80%が自家用車
  • 交通渋滞や環境汚染の深刻化が進んでいた
  • 高齢化の交通移動手段の確保が急務であった
  • 人口が拡大する都市圏に対応するため、公共交通への体系移行が必須であった

(参照元)UR住宅機構『MaaS先進都市 ヘルシンキ』

フィンランドは、移動手段の80%が自家用車に依存している状況です。特に首都のヘルシンキでは、交通渋滞や環境汚染が深刻となっていました。加えて、高齢化による交通移動手段の確保が急務であり問題が山積みとなっていたのです。よって、公共交通機関や自動車・自転車のシェアリングを一括りとして活用できるサービスを作り上げる必要がありました。

「Whim」実用化への流れ

フィンランド・ヘルシンキにあるベンチャー企業「MaaS Global」により、2016年よりヘルシンキの交通局とMaaSの実証実験が行われ、のちに正式なサービスとして実用化されています。

MaaSへの取り組みを、フィンランド国内の産官学コンソーシアムである「ITSフィンランド」と「運輸通信省」が支援。民間団体や政府組織が協力してオープンデータ(※1)の共有とオープンAPI(※2)プラットフォームの開発整備を行っています。加えて、バスやタクシー、鉄道と種類別に分かれていた輸送サービスについての法律の一元化に乗り出し、輸送サービスの規制緩和を進めているのです。

(※1)『オープンデータ』とは

『オープンデータ』とは、誰でも二次利用を可能とするルールによって公開されたデータのこと。

(引用元)神奈川県川崎市『オープンデータ化に向けた取組』より抜粋

(※2)『オープンAPI』とは

『API』とは、「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」の略。とあるアプリの機能やデータを、他のアプリで呼び出し利用するための仕組みのこと。他の企業や団体などに公開しているAPIを『オープンAPI』と定義している。

(引用元)一般社団法人全国銀行協会『オープンAPIって何?』より抜粋

『Whim』の運用方法、特徴は?

『Whim』の運用方法と特徴は以下の通りです。

  • スマートフォンのアプリを提示するだけで指定した交通手段が使える
  • 民間タクシーやバイク、徒歩や自転車も含まれる
  • 定額制から1回ごとまで3つの料金プランを設定
  • 予約から利用手続き、料金支払いまで一括利用が可能

スマートフォンのアプリを提示するだけで電車やバス、民間タクシー、バイク、徒歩、自転車などの交通手段を利用できます。予約から利用手続き、料金の支払いまで一括で利用が可能です。

Whimの最大の特徴は「利用形態に応じた料金プラン」です。個人の利用状況に応じて最適なプランを選択し、ポイントと引き換えます。引き換えたポイントでWhimが提示する交通機関から適した手段を選び、予約から支払いまですべての手続きが可能です。

■Whimの料金プランは3つの形態で構成

  • 毎月49ユーロ(約6,300円)の定額制
  • 毎月499ユーロ(約64,000円)の定額制
  • 1回ごとの決済制

(引用元)総務省『次世代の交通 MaaS』より抜粋

日本国内における取り組みについて

ドローンタクシーと自動走行中の車
©chesky/stock.adobe.com

日本国内でMaaSに取り組んでいる事例を紹介します。フィンランドでの成功の影響を受け、日本でもMaaSに必要なオープンデータやオープンAPIの構築に向けて、民間の企業や団体が取り組みを始めているのです。

例1:トヨタ自動車『モビリティカンパニー』『CASE』

トヨタ自動車では、『モビリティカンパニー』『CASE』を掲げています。あらゆる移動手段や技術サービスを提供して利用者の期待に応えられる「モビリティ社会」の実現を目指し取り組みが続けられているのです。

■『CASE』の意味

『CASE』は以下の4つの単語の頭文字から取られており、『モビリティカンパニー』の軸となるキーワードです。

  • C=「Connected」(コネクティッド)
  • A=「Automated」(自動化)
  • S=「Shared」(シェアリング)
  • E=「Electric」(電動化)

(引用元)総務省『次世代の交通 MaaS』より抜粋

トヨタ自動車のMaaSへの取り組みは以下の4つが挙げられます。

  • Grab社との「トータルケアサービス」提携
  • Uber社との「ライドシェア向け自動運転車」開発
  • DiDi社との「ライドシェア車両レンタル事業会社」設立
  • MONET社との「オンデマンドバスサービス」などの実証事業

(引用元)トヨタ自動車『世界に広がるモビリティサービス』より抜粋

ドライバーに貸し出すライドシェア車両をコネクティッド化し、走行データと保険、メンテナンスを一貫して提供するトータルケアサービスの提供を東南アジアや中国で開始しています。

自動運転システムを使用したライドシェア車両の開発やサービスの提供、日本国内における渋滞や交通問題を解消すべく、オンデマンドで通勤車両を運用するサービスの提供を実証し取り組んでいるのです。

例2:JR東日本『モビリティ革命』

JR東日本では、2016年11月に「技術革新超長期ビジョン」を策定。『モビリティ革命』と銘打ち、MaaSを活用した「イノベーション・エコシステム」の構築を目指しています。

■JR東日本の取り組み例

  • 「モビリティ変革コンソーシアム」の設置
  • 「クラウドシステムプラットフォーム」によるデータ連携

「モビリティ変革コンソーシアム」の設置が行われています。次世代の公共交通について、国内外の企業や交通事業者、大学・研究機関と連携し、モビリティ革命を実現する場です。活動の一部として「Door to Door推進」が進められており、MaaSの検討・実証実験を行っています。

「クラウドシステムプラットフォーム」によるデータ連携を図り、情報をクラウド上で公開。IoT(モノのインターネット)で収集したデータをAI(人工知能)を活用して組み合わせ、利用者に情報提供できる仕組みを作っています。

MaaSの課題と今後について

MaaSの課題と今後の動向を考察してみました。

MaaSの課題

MaaSの課題を挙げてみます。多種多様な運賃形態を選択できる制度の作成や、電車・バスなど交通機関を組み合わせた際のお得な運賃料金の設定が必要となるでしょう。

  • 事業者間でのデータ連携
  • 柔軟な運賃料金の設定
  • 地域特性を生かした街づくり、インフラ整備との連携

(参照元)国土交通省『新たなモビリティサービスの推進について』

同じ交通事業者間や他の業種とのデータ共有の仕組みを構築し、利用者に適したサービスを提供できる環境作りが必要です。

また、街づくりやインフラの整備にもMaaSの要素を前提として加え、交通手段をスムーズに利用できる仕組みを作り、効率良く利用者が移動可能となるよう取り組む必要があります。

MaaSの今後の取り組み

国土交通省は『新モビリティサービス推進事業』として国家予算を建てており、MaaSの実現に向けた動きに取り組んでいます。

  • 新モビリティサービス実証実験の支援
  • オープンデータ化の推進に向けた実証実験

(引用元)国土交通省『新たなモビリティサービスの推進について』より抜粋

多くの地域で、鉄道やバス、シェアリングサービスなどが参加する実証実験を進めています。今後、より一層の実証実験の拡大が待たれるでしょう。

■実証実験を実施している団体の一例

大都市近郊型・地方都市型地方郊外・過疎地型観光地型
・神奈川県川崎市・箱根町・兵庫県神戸市・茨城県日立市・茨城県つくば市・群馬県前橋市・静岡県静岡市・三重県菰野町・京都府南山城村・京丹後地域(京都府北部)・島根県大田市・広島県庄原市・ひがし北海道エリア・福島県会津若松市・静岡県伊豆エリア・三重県志摩地域・大津・比叡山・山陰エリア(島根・鳥取)・瀬戸内エリア・沖縄県八重山地域

(引用元)国土交通省『地域公共交通・MaaSをめぐる取組について』より抜粋

同時に、「オープンデータ化の推進」を図る必要があります。交通事業者によるデータ提供により、利用者の状況を表したデータを活用してアプリを通じた、さまざまなサービス提供を進められるように取り組む必要があります。

MaaSのまとめ

ここまで、MaaSを紹介してきました。以下、簡単なおさらいです。

  • 公共交通を含めた「移動」を一括したサービス
  • スマートフォンを持っていれば予約から支払いまでスムーズになる
  • 交通環境の改善、問題解決につながる
  • 既にフィンランドで成功事例がある
  • 日本でもMaaSに取り組む企業や団体が現れている

MaaSの実現により、今まで段階や手間を踏んでいた移動への予約や支払い、利用が簡単になるのです。加えて都市部や地方で格差がある交通環境の改善が期待できます。

既に、フィンランドで成功事例があり、日本国内でもMaaSの実現に向け取り組みを始める企業や団体が活動を開始。今後の発展に期待が持てるのではないでしょうか。

この記事の執筆者
MOBY第3編集部

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