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車のエアコンが効かない原因とは?車のエアコンの仕組みや対処法も紹介

エアコンの冷房・暖房や、A/Cボタンについての正しい使い方を解説。燃費への影響、エアコンの修理費用、悪臭の原因・メンテナンス方法なども。燃費をよくしてガソリン代を節約するためには、なるべく冷房・暖房を使わないようにしたほうがいい?という疑問にお答えします。

車のエアコンの仕組み

©tarou230/stock.adobe.com

かつて、車のエアコンは装備設定がなかったり、オプションアイテムとなっていたりしていました。家庭向けのエアコンや冷蔵庫と同じく、空気を瞬時で冷やす仕組みを取り入れることで、車内空間を快適にできるのが特徴。車に欠かせない標準装備となっています。

しかし、単純な説明で空気を瞬時に冷やすというだけでは、どのようにエアコンが働いているのかわかりにくいかもしれません。この項目では、車のエアコンの仕組みを5つの段階にわけて解説します。

コンプレッサーでエアコンガスを圧縮し「半液体」に変える

まず、車のエアコンを使い始めると働き始めるのが「エアコンガス」と「コンプレッサー」です。

車内をチェックしてみると、インパネに備わっているスイッチ類に「A/C」と呼ばれるボタンがあります。このボタンでコンプレッサーを始動・停止させる仕組みです。

スイッチを入れるとコンプレッサーが働き、配管を循環するエアコンガスを圧縮します。圧縮されたエアコンガスは80℃程度の高温をもつ“半液体”へ変化。半液体は次の部位に移動して冷却や不純物が取り除かれます。

コンデンサーで冷却し完全な液体とする

エアコンガスはコンプレッサーの圧縮で高温の半液体へ変化したのち、「コンデンサー」で冷却されます。

コンデンサーは、細い管が曲がりくねってできている配管パーツとなっており、外部から空気を取り込むのが特徴。コンプレッサーで高温となった半液体を冷やして、60℃程度にまで温度を下げます。これで、コンプレッサーで圧縮される前は気体となっていたエアコンガスは液体へ完全に変化するのです。

レシーバーで液体を一旦蓄えて不純物を取り除く

コンデンサーで冷却された液体は「レシーバー」へ移動し、一旦蓄えられます。

レシーバーでは、液体となったエアコンガスを蓄えるほかにも、余った水分や不純物を取り除く役割を担っており、配管を循環させるに欠かせないパーツです。

エキスパンションバルブで液体を膨張させ霧状化→エバポレーターへ

液体状態のエアコンガスは、レシーバーから「エキスパンションバルブ」へ移動し、膨張して霧に変化します。液体から気体に切り替わったことで温度が10℃程度まで下がります。

これにより、外気で温まった車内を、エアコンの空気で冷やす条件が整いました。

エバポレーターでブロアファンの空気を冷却する

エキスパンションバルブで膨張され、霧=気体となったエアコンガスは「エバポレーター」へ移動します。

エバポレーターは、別名で「熱交換器」とも呼ばれています。「ブロアファン」と呼ばれるパーツによって車内・車外から送り込まれた空気を使い、含まれている熱を奪って冷却し、車内へ冷たい空気を送り込むのが主な役割です。湿度を取り除く役割を担うなど優秀なパーツで、ここまでの5つの段階を経て、車内に冷たい空気を送る終着点となります。

そして、エアコンガスは再びコンプレッサーへ戻り圧縮される工程からの循環を繰り返して、エアコンの仕組みを成り立たせているのです。

車のエアコンが効かない原因とは

車のエアコンは上記で解説したように、エアコンガスが周回するような配管レイアウトで、各部分に備わったパーツを通じて温度の上下がありながらも車内へ空気を送り込みます。

しかし、車のエアコンを使っていて、以下のようなトラブルに見舞われた経験はないでしょうか。

  • 冷房が効かない
  • 暖房が効かない
  • 風が出てこない
  • エアコンが作動しない

車のエアコンには冷房以外にも暖房、内気循環および外気吸入の機能が備わっています。細かい温度が指定できる“オートエアコン”を装備している車種も増えましたが、設定したとおりの冷風や温風が出なくなると故障を疑わなければなりません。

車のエアコンで考えられるトラブルは以下の7つとなります。

  1. エアコンガスに不具合がある
  2. コンプレッサーが壊れている
  3. エバポレーターが壊れている
  4. サーモスタットが壊れている
  5. 冷却水が漏れているor不足している
  6. ブロアファンが壊れている
  7. リレーorヒューズが壊れている

エアコンガスに不具合がある

初歩的なエアコンのトラブルとなるのが、エアコンガスの不具合です。

エアコンガスは圧縮や膨張を繰り返して、車内へ送り込む空気を冷やせますが、稀にガスが通る配管が割れてしまうケースがあります。

割れた配管からガスが漏れ出し、十分な量が確保できないとエアコンのON/OFF関係なく使えなくなるでしょう。

コンプレッサーが壊れている

エアコンの吹き出し口から出てくる空気が冷たくならないトラブルで考えられるのは、コンプレッサーの故障です。

エアコンガスは、車内へ送る空気を冷やす役割が終わると、高温の気体となって再び配管に戻ります。エアコンガスに再び空気を冷やす役割をさせるため、コンプレッサーで高温の気体から少し温度を下げた半液体の状態へ圧縮させます。

コンプレッサーが故障していると、圧縮機能が使えないため、エアコンガスを気体から液体へ変化させられずに空気を冷やす役割ができなくなります。

エバポレーターが壊れている

エバポレーターが故障しているのも、エアコンが効かなくなる要因となります。

エバポレーターの故障は、エアコンを長時間使う頻度が多いと発生しやすいようです。

エアコンガスをコンプレッサーで圧縮させ、エキスパンションバルブにより霧化させると高温から温度を下げられますが、水滴がエバポレーターに付着して凍り付く現象があるようです。別途装備されているセンサーが凍り付かないよう制御しているものの、故障するとエバポレーターが凍り、エアコンが作動しなくなるとのこと。

また、エバポレーターにホコリや細かいゴミが溜まり、目詰まりを起こすと正常にエアコンが働かない原因ともなるようです。

サーモスタットが壊れている

サーモスタットの故障も、エアコンが効かなくなるトラブルの1つに挙げられます。

サーモスタットの役割は、エンジンルーム内に備わった冷却水を調節すること。

エアコンは冷たい空気だけでなく暖かい空気も出せることで暖房の役割も担えますが、機能させるにはエンジンの熱で温めた冷却水を利用します。サーモスタットで冷却水の循環を調節し、素早く暖かい空気を作り出す仕組みです。

サーモスタットが故障すると冷却水の循環が調節できなくなるため、暖房が温まらなくなります。

冷却水が漏れているor不足している

サーモスタットの故障以前に、冷却水に異常があるとエアコンが効かなくなる原因となるようです。

冷却水はエアコンの暖房を快適に使えるようにする以外にも、エンジンの発熱を抑えてトラブルなく車を走らせるのに貢献します。しかし、冷却水がタンクから漏れていたり、規定量より少なかったりすれば、暖かい空気がエアコンの吹き出し口から出なくなり暖房が使えません。

付随して、冷却水のトラブルはエンジン自体にも影響を及ぼすため、一刻も早く対応しなければなりません。

ブロアファンが壊れている

ブロアファンの故障も、エアコンのトラブルで考えられる要因です。

ブロアファンには冷やした空気をエアコンの吹き出し口から排出し、風を送り込む役割が求められています。ブロアファンを働かせるモーターが壊れてしまうと異音が生じたり、空気が出なくなったりするケースがあるようです。

リレーorヒューズが壊れている

細かい箇所ですが、「リレー」「ヒューズ」と呼ばれるパーツの故障もエアコンが効かなくなる要因となります。

リレーは「継電器」とも呼ばれており、エアコンをはじめ、車に搭載されている電気系統パーツの制御を担っています。リレーが故障すると制御が効かなくなり、エアコンのコンプレッサーが作動しなくなる原因にもつながるため注意しなければなりません。

ヒューズもリレー同様、車に欠かせないパーツです。コード配線を保護し、電気系機器を正常に動かす役割を担っています。ヒューズが壊れてしまうとコード配線に電流が流れなくなり、エアコンをはじめ車の電気系機器が機能しなくなるトラブルが生じるようです。

車のエアコンが効かないときの対処法

もし、車のエアコンが効かず「トラブルでは?」と感じたら、以下で提示したポイントに従って故障かどうかをチェックしてみてください。もし、故障の疑いがあれば、修理に対応している最寄りの整備工場や自動車販売店(ディーラー)へ持ち込むとよいでしょう。

  • エアコンの設定温度を低くする
  • 車内温度の変動を防ぐ

真っ先に試したいのはエアコンの設定温度を低くする方法です。温度を限界まで低くし、社内の空気循環を「内気」に切り替えます。もし、この状態で冷えた空気が出ないようであれば、エアコンの機能が故障していると疑ってよいでしょう。

もし、エアコンが故障しているとの疑いがあれば、車内温度の変動を防ぎつつ、最寄りの整備工場や自動車販売店へ持ち込まなければなりません。夏場や冬場などの季節や晴・雨などの天候に沿って、「窓を開けて風を通す」「日陰に退避する」などの行動を取りつつ、車を安全に移動させましょう。夏場は気温が高く熱中症になりやすいため、エアコンが使えない状態での運転は危険を伴うからです。

車のエアコンは修理できるの?

©MICHAEL ZECH/stock.adobe.com

車のエアコンは、エアコンフィルターの交換以外は専門知識が求められるため、車の所有者自身で修理を行うのは難しいでしょう。お乗りの車が車検・点検整備でお世話になっている自動車販売店や整備工場などで、整備士による修理を依頼することとなります。

この項目では、車のエアコンが修理できる場所と、修理にかかる費用の目安をピックアップしてみました。

車のエアコンが修理できる場所

車のエアコンを修理して貰う際、以下の場所が挙げられます。

  • 自動車販売店
  • 整備工場
  • カー用品店
  • ガソリンスタンド

普段、車検や点検で立ち寄る機会が多い自動車販売店以外では、整備士資格を持ったスタッフがいる民間の整備工場やカー用品店、ガソリンスタンドにて依頼するのが安心です。場所によって「作業工賃」や交換に使うパーツ代が異なるケースがあるため、依頼の前に見積もりを取るとよいでしょう。

車のエアコンを修理する際にかかる費用

車のエアコンを修理する際にかかる費用は、故障箇所や交換パーツによって差があります。

簡単にではありますが、エアコンの修理にかかる費用を項目ごとにピックアップしてみました。

  • エアコンガスの補充:3,000円~5,000円
  • エアコンガス配管の修理:20,000円~50,000円
  • コンプレッサーの交換:50,000円~100,000円
  • ブロアファン用モーター交換:20,000円~30,000円
  • サーモスタット交換:10,000円程度
  • エンジン用冷却水交換:5,000円程度

エアコンガスの補充やエンジン用冷却水の交換であれば1万円以内の予算で済みますが、他の故障修理や交換は万単位となるケースが多いようです。

例えば、エンジンガスが循環するための配管を修理するのに2万円から5万円程度、ブロアファン用のモーター交換で2万円から3万円程度となります。

また、車のエアコン修理で“重症”にあたるのがコンプレッサーの交換です。5万円から10万円程度と範囲が大きく、車自体の買い替えも検討に入るほどの費用がかかるケースもあります。

これらの修理交換の費用は、自動車販売店や整備工場などの場所でも異なるケースがあるため、各所で見積もりを取り比較するのが重要です。

車のエアコンのメンテナンス方法

車のエアコンは、修理や交換以前に所有者が適切なタイミングでメンテナンスをすれば、故障に見舞われる心配が少なくなって長く使えるようになります。

所有者自身で取り組める、車のエアコンのメンテナンス方法は「エアコンフィルターの交換」です。

エアコンフィルターの交換自体は、自動車販売店などで車検・点検を受ける際に併せて交換してもらったり、個別に交換を依頼したりできます。しかし、所有者自身で交換するのも難しくないので、工賃分の費用を節約したいなら取り組むべきかもしれません。

エアコンフィルターの交換手順は以下の3段階となります。

  • 助手席側のグローブボックスを開けて取り外し、エアコンフィルターが見える状態とする
  • エアコンフィルターを固定している留め具を外し、本体を引き出す
  • 交換用のエアコンフィルターをはめ込む

グローブボックスを開けてエアコンフィルターが見える状態にする

エアコンフィルターは、車種により配置されている箇所が異なるケースがあるものの、大半は助手席側のグローブボックスを開けると目視できる場所に設置されているようです。先にグローブボックスを開けて、交換できる位置にあるかチェックしてみましょう。

目視できる位置にエアコンフィルターがあれば、開けたグローブボックスを取り外してみましょう。グローブボックスはピンが引っかかることで開け閉めが可能であり、側面をヘコませるようにすることでピンが外れて、紐でぶら下がった状態となります。この状態で、エアコンフィルターが取り出しやすくなるでしょう。

エアコンフィルターを固定している留め具を外し、本体を引き出す

グローブボックスが外れたら、エアコンフィルターを取り出します。フィルターを取り出す際に注意したいのは、ツメで固定されていたりフタがされていたりする点です。フィルターはプラスチックのパーツで四方あるいは一部を覆っているため、壊してしまうと別途交換パーツを手配することとなります。作業は慎重に進めるのがよいでしょう。

交換用のエアコンフィルターをはめ込む

古いエアコンフィルターを取り外したら、交換のために用意した新品へ差し替えて元の位置に差し込みます。もし、ツメで固定されていた、フタをしていたなら誤りなく元の状態へ戻しましょう。グローブボックスを元の位置に戻したら作業完了です。

交換の目安は、使用期間が1年程度経過した、もしくは走行距離が1万kmを超えたあたりとなります。交換にかかる時間も手慣れた人であれば10分程度で終わるため、休日に車を走らせる前か、洗車の際に交換するのがおすすめです。

エアコンフィルターの交換は車の所有者自身が手軽にできるメンテナンス方法となるため、インターネットショップやカー用品店などで交換用の新品を入手してチャレンジしてみましょう。

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執筆者プロフィール
長谷川 優人
長谷川 優人
1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。

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