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【車の乗り心地を左右する重要パーツ】ダンパーとは?複筒式と単筒式の違いや選び方も解説

「復筒式」と「単筒式」、それぞれのメリット

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ダンパーの内部構造には、2つの種類があります。一般的なのは「複筒式」と呼ばれるもの。複筒式は、注射器の中が二重構造になっている状態を想像してください。内側の筒の中にオイルが入っており、そこをピストンロッドが上下して動きます。ですが、出口を閉じた注射器のピストンを押せないのと同様で、ダンパーもオイルが満たされていると動きません。

端的に言えば、内側の筒の下にオリフィスと呼ばれる小さな穴が開いており、ここからオイルが筒の外側へと逃げるようにできています。「だったら、2重にしなくても下にガスを入れておき、オイルが逃げる空間を作っておけばいいじゃないか」と思うのですが、これだけと伸びる時にピストンがガスの中を通過することになるため、減衰力が発生しない部分ができてしまいます。それを解決するため、この構造が考案されました。

複筒式のメリットは、ガス室を外側に設けたことでストロークが大きく取れることです。またガス圧を低く設定することができます。このため、路面がうねったワインディングロードや未舗装路などでも緩やかに動き、ハーシュネスを吸収してくれるのでソフトな乗り心地にも繋がります。コストが安いという理由からも、多くの自動車メーカーが純正で複筒式を使っています

一方、単筒式は1本の筒の中に上下するフリーピストンという皿のようなパーツが入っており、オイルとその下の高圧ガスを隔てている構造になっています。内径が大きくできることに伴い、ピストン先端のピストンバルブの径が大きくできることから、わずかな上下動でも減衰力が発生させられます。複筒式よりもスピーディに動くのも、特徴のひとつです。

また、二重になっていないことから放熱性が高く、低速から高速まで安定した減衰力が発生します。また、ガス室と分離した構造になっていることから、倒立させて装着できるというメリットもあります(複筒式ダンパーは一定以上寝かせてしまうと、オイルとガスが混じり合ってしまうこともあります)

高性能という点から、単筒式は高級車やスポーツカーに採用されていることが多いのですが、車種によってはジオメトリー(サスペンションの構造・位置関係)に都合で単筒式を採用している場合があります。ちなみに、単筒式のデメリットは複筒式よりも長くなる傾向にあり、また高価だという点です。

ちなみに、長さを短くしつつ、ストローク量も確保するためにガス室を筒の外に出してしまった「別タンク式」というダンパーもあります。

【まとめ】
復筒式ダンパー:ソフトな乗り心地、価格が安い、多くのクルマで採用されている
単筒式ダンパー:スピーディに動く、広い速度域で安定、高価なため高級車やスポーツカーに採用されることが多い

ローダウンやリフトアップでも重要な役割を果たす

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ドレスアップやチューニングを目的に、ローダウンやリフトアップをする人も多いと思いますが、この時にコイルスプリングと共にダンパーのチョイスも考えなければなりません。

まず昨今ブームのジムニーは、リフトアップが一般的。この場合、1インチ程度のリフトアップコイルを入れるのであれば、ノーマルダンパーのままでも問題ないと言えます。しかし、2インチ以上上げる場合は、ノーマルダンパーでは伸び側のストロークが足りなくなってしまうため、スプリングの自由長に合ったダンパーを選ばなければなりません。

一方、サスペンション交換でローダウンするには、一般的に2つの方法が考えられます。まずはローダウンサスペンションの装着。基本は自由長の短いコイルスプリングをノーマルダンパーのままで装着し、場合によってはダンパーを交換するという手法です。この方法はコイルの長さで車高が決まってしまいます。

車高を自分好みに設定したい場合は、車高調整式ダンパーを装着します。車高調整式ダンパーには「ネジ調整式」と「全長調整式」があります。前者はコイルスプリングを下で支えるロワシートをネジで上下させることでスプリングを伸び縮みさせ、車高を変える構造です。スプリングの自由長が変化してしまうことから、車高を下げるほどにスプリングの働きが悪くなります。

一方の全長調整式は、ダンパーを車体に取り付けるブラケットの位置を変えることで車高を下げます。コイルの自由長(バネレートも)が変化しないことから、乗り心地が悪化することがありません。

減衰力調整機能つきダンパーは高価だがセッテイングの自由度が高い

さて、アフターマーケットのダンパーには、減衰力調整という機能が付いているものがあります。調整ダイヤル、もしくは内部のアジャスティングボルトを回すことで、減衰力を変えることができるというものです。大まかに言えば、ダンパー内部のオイルの流れを、バルブの孔(オリフィス)の径を変えることで減衰力を変化させます。

減衰力調整式のメリットは、乗り心地を重視したセッティング、運動性能を重視したセッティングのどちらにも振れること。また自分がベストだと思えるハンドリングを模索することも可能です。減衰力固定式よりも高価ですが、コイルとのマッチングを考えたセッティングをすることができます。

ダンパーはスプリングと共に、クルマの動きをコントロールする重要なパーツです。コイルとダンパーの組み合わせがチグハグだと、想像していたようなハンドリングを得ることができません。また、劣化していると乗り心地が悪化します。車検や点検の時に、ダンパーを気遣うことも大切なのです。

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執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...

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