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日産の「rb26dett」と「vr38dett」
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日産GT-R専用エンジン「RB26DETT」と「VR38DETT」の違いとは?

「GT-R」シリーズとは

日産 GT-R

GT-Rは1969年に、スカイラインの「特別なモデル」として登場しました。
何が特別だったかというと、その心臓であるエンジンでした。ベースモデルの関係で初代は4ドア、1970年に2ドア・ハードトップがラインナップに加わります。

後にハコスカと呼ばれるこの世代のエンジンは「S20」というエンジンで、当時としては高性能の代名詞だったDOHCヘッド搭載の、ハイパワーエンジンを搭載しています(L型エンジンはSOHC)。

2000ccの直6エンジンは、3連キャブレターによって多くの空気を吸い込み、62.8mmというショートストロークなエンジンは、当時としては小気味よく回るエンジンだったといわれます。

自動車業界が「冬の時代」といわれる1970年代は、GT-Rにも転機が訪れます。
公害に起因する環境問題が強く叫ばれ、自動車に対する規制も厳しくなります。
「ケンとメリーのスカイライン」のキャッチコピーで販売された、ケンメリそのGT-Rは生産期間わずか3カ月というGT-Rシリーズで他を圧倒する激レア車です。

その後、ジャパン、ニューマン(鉄仮面)、とスカイラインは発売されるものの、GT-Rというモデルは発売されませんでした。
そして、R31(セブンス)にはS20を新しくリメイクしたともいえるRB20が搭載されますが、GTS-RというギリギリGT-Rじゃない感が漂うグレードが発売されます。
決してこれらのスポーツモデルが悪かったわけではありません。

だだ、SOHCのL型のジャパン、4気筒のFJの鉄仮面、R31のローレルと共通のシャーシなど、従来のGT-Rと差別化したい意図が日産にあったことが伺えます。

こうして冬の時代を乗り越えた日産は、1989年にスカイラインGT-Rを復活させます。
それがR32型GT-Rです。
標準のナローボディーとは異なる、太いタイヤを収めるためのグラマラスなフェンダーライン、当時としては大型のリアウイング、アルミボンネット、アテーサET-Sなど、新世代GT-Rとして、そしてレースに勝つために登場します。

レースに勝つための心臓もS20同様に抜かりなく、RB26DETTが搭載されます。
日産のエンジン形式は、ターボの数をTの数と一緒にするケースが多く、VG30DETTやSR20DETなども、見れば元のターボの数が分かるのが面白いところです。

2600ccになったGT-Rも、S20を彷彿とさせるエンジンで、ややストロークが伸びた73.7mmでも、ボアから比べればまだショートストロークであり、レスポンスが意識していることが伺え、2基のタービンで多くの空気を過給する、パワーを上げるための基本をきっちり抑えたエンジンです。

当時は、日産のRB26、トヨタの2JZ、ホンダのC30、スバルのEJ20、三菱の4G63、という日本を代表するスポーツエンジンがたくさんあり、GT-RはR33、R34と進化していきます。

R33には、4ドアGT-Rの限定モデルがあり、これもレア車なのですが、ハコスカの4ドアGT-Rのオマージュともいえるような仕上がりです。

そして、時代は繰り返されます。GT-Rの生産中止です。
いうなれば「第2次冬の時代」といったところでしょうか。

V35型、V36型とスカイラインの発売は続きますが、搭載されたのは、それまでシーマや、セドリックに搭載されていたV型6気筒のVGエンジンをルーツにもつ、VQエンジンで大幅な路線変更がなされます。

スカイラインといえば、丸4灯のテールランプ(ハコスカは角4灯)というイメージがあり、4つ並ぶテールランプをイメージする方も多いでしょう。
そのテールランプはV35で途絶えます。

V35やV36は、決して悪い車ではありません。
もしローレルという名前で発売されていえば、評価は変わっていたことでしょう。
以前のジャパンや鉄仮面の再来ともいえる状況で、過去と同様にこのスカイラインでは、GT-Rのコンセプトにそぐわない、GT-Rとは呼びたくない意図が日産にもあったように伺えます。

そして2007年、日産GT-Rとしての再復活をします。

与えられたエンジンは、V型6気筒のVR38DETTで、95.5mmの非常に大きなボアをもち、88.4mmとRB26のボア・ストローク比と比較して10%ほどロングストロークなエンジンは、従来のショートストロークエンジンとは特性が若干異なります。

ですが、匠と呼ばれる熟練者による手組エンジンは、機械では感じ取れない感覚という研ぎ澄まされたセンサーによって、高精度に組み上げられていきます。

また全数検査を行い、商品未達のエンジンは、再組立てられるという手間と時間を惜しまないエンジンです。

1969年より始まるGT-Rの歴史は、2020年時点では、すでに半世紀を超えています。
その間、国内外問わず名だたるスーパーカー、スポーツカーと戦ったGT-Rの歴史の裏には、環境問題との戦いがあったことも忘れてはいけません。

最新「GT-R」中古車情報
本日の在庫数 156台
平均価格 1,092万円
本体価格 558~2,700万円
最新「スカイライン」中古車情報
本日の在庫数 1288台
平均価格 304万円
本体価格 11~3,980万円

初代GT-R専用のエンジンとは?!

GT-Rに載せられたエンジンは、「S20」から始まります。
S20はR380というグループ6に出場していた、GR8というエンジンをベースに作られていました。

極端ないい方をすれば、レーシングカーのエンジンを一般度向けに出力を抑えただけのエンジンです。

最大出力160ps/7000rpm、最大トルク18.6kgf・m/5600rpmを発揮します。どれほどすごいエンジンかというと、当時86万円で発売されていたトヨタ2000GTと比較して、スカイラインGT-Rの販売価格は150万円と、とてつもなく高価だったことからも伺えます。

大卒の初任給が3万4,100円であり、現在に変換すると13万8,641円になります。
計算すると当時の150万円は、現在に換算すると609万8,578円(切上)となり、86万円は349万6,518円となります。

エンジン単体でも70万円で販売されていたというので、価格の約46%がエンジン代金を占めるというGT-Rのエンジンは超特別仕様だったことが分かります。

当時、S30型フェアレディZにもS20搭載のモデルがありZ432Rといいますが、まさに幻のZというべき貴重な車も存在します。

最新「フェアレディZ」中古車情報
本日の在庫数 888台
平均価格 209万円
本体価格 26~4,700万円

世界を変えた第2世代「RB26DETT」

日産 RB26DETTエンジン

復活をとげた、GT-Rに搭載されるのが「RB26DETT」エンジンです。
これはR32からR34時代に搭載されていた直列6気筒エンジンで、R32型GT-Rで初めて搭載されました。

日産が再度世界と闘うために開発されたエンジンで、スカイライン自体も「レース用に特別なエンジンを載せた特別なモデルを作る」という初代GT-Rと同じコンセプトの元で開発された車です。

全日本ツーリングカー選手権での勝利を求めて開発され、1990年に、このエンジンを搭載したスカイラインが参戦しました。

当時、最強とうたわれていたフォード・シエラに大差をつけ、さらに他の車も周回遅れにするほどの差で圧勝します。
その結果1993年に全日本ツーリングカー選手権が終了するまで、ほぼワンメイクレースをするほどの性能で、「RB26が出た瞬間に全てが変わってしまった」といわしめるほどです。

排気量2600cc直列6気筒エンジンはツインターボで過給され、国内馬力規制いっぱいの280psを発揮するエンジンです。

S20のように、GR8をデチューンしたエンジンというわけではありませんが、レース目的で開発されたので、市販車にも搭載されているにもかかわらず、かなり余裕をもった強度をもったエンジン設計といわれます。

その理由の一つがシリンダーブロックの素材が鋳鉄製であることです。
このブロックは非常に強度が高く、パワフルなエンジンを支えるためには重要な部分です。

そして、先代のS20の特性を踏襲するようにショートストロークエンジンが採用されます。
パワーは実効トルク回転数と要約出来るので、エンジンをパワーアップさせるには排気量を増やすことと、回転数を高く設定することが基本となります。

つまり、RB26DETTはS20と同じ、高回転までよく回るショートストロークエンジンを採用し、2000ccから2600ccへと大きくなったエンジンにさらに過給していき、結果として600cc以上の排気量アップを果たしているのと同義になります。

このことからRB26DETTは、従来のS20の面影を残しながらもより速く、よりハイパワーになったといえます。

RB26DETTは、スカイラインGT-R以外にも、ステージア260RSにも搭載され、スカイラインGT-Rワゴンともいわれています。
そして、ステージア唯一のMT搭載モデルでもあり、GT-Rに乗りたいお父さんにおすすめの1台でもあります。

また、欲しくても買えないといわれるニスモ400Rは、55台しかなく何台現存しているのだろうかというレベルです。
ある意味ケンメリGT-R並みに少ない個体といっても良いのではないだろうか。

時代に沿った第3世代の「VR38DETT」

日産 VR38DETTエンジン

次に紹介するのは「VR38DETT」。
こちらは、次世代の日産GT-Rに搭載されているエンジンです。

今まで、直列6気筒エンジンを搭載していましたが、世界最高レベルの動力性能とするためには60kgf·m以上の最大トルクと、エンジンの軽量化が急務であったため、GT-RとしてV型6気筒エンジンを初採用しました。

開発当初は最高出力480PS、最大トルク60.0kgf·mに達し、2012年には550PS、64.5kgf·mと、年を追うごとに向上しています。トルクが増えたのはS20やRB26とは異なり、ロングストローク化されたことによるところも大きいのではないでしょうか。

また、軽量化に関しても「RB26DETT」の鋳鉄製の重たい素材から、から金型成型のアルミニウム鋳造製に変更し、大幅な軽量化に成功。その他のパーツにも軽量化が施されています。

従来のGT-RエンジンであるS20やRB26は、日本グランプリやグループAといったレースを目標に作られたエンジンで「VR38DETT」は、特に目標とするレースがないことが大きな違いです。

「GT-R」の新たなコンセプト「いつでも、どこでも、誰でもスーパーカーを」念頭に開発されたエンジンといえるでしょう。

「RB26DETT」と「VR38DETT」の違いとは

まず、すぐ分かるのは直列6気筒と、V型6気筒である点です。多気筒エンジンの中でも歴史の浅いV6エンジンはもともと、狭いエンジンベイに多気筒エンジンを押し込むために無理やり作ったエンジンといわれています。

技術的にV6エンジンというのはクランクシャフトが複雑な構造となり、左右バンクにそれぞれエンジンヘッドが配置される構造上(水平対向もそうですが)、カムが倍必要です。

当然ですが、可変バルブタイミングの制御を左右でする必要があり、レイアウトに制限も多いのもそうですが、エンジンの振動を抑えるためのカウンターウエイトもクランクシャフトに取り付けにくいなど、コストのかかるエンジンのためです。

そのためV型エンジン自体は存在しましたが、振動が抑えやすいV8やV12気筒が多く、V6デビューは直列6気筒よりもかなり後となり、歴史的にはまだ浅いエンジンといえます。

古いルーツをもつ直列6気筒と、近代技術の集合体ともいえるV型6気筒では、それだけでも大きな違いがあります。

開発コンセプトの違い

道を走る日産のGT-R

まずこれらの間には、開発段階でコンセプトの違いがあります。
「RB26DETT」はレースを前提に作られたエンジンです。

市販車にも搭載されましたが、レースとしての性能はピカイチであってもストップアンドゴーの多い一般道では、走りっぱなしのレースとは状況が異なります。

燃費ではあまり良いエンジンとはいえませんし、有り余るトルクとパワーは、走りの余裕でもあります。

しかし、アンジュレーションや細かい砂などと合わされば、ドライバーに襲い掛かる両刃の剣で、レースでの実績と一般道との相性は野生の猛獣を飼いならすがごとくです。

一方、「VR38DETT」は、「RB26DETT」のようなレース界を震撼(しんかん)させたインパクトのあるエンジンではありません。
というのも、「いつでも、どこでも、誰でもスーパーカーを」というコンセプトは、スーパーカーとレーシングカーは別物だという表れでもあります。

賢い電子制御やそれによるドライビングサポートは、有り余るパワーやトルクがあるVR38でも、誰もがペットのごとく従順に扱えるよう調教され日産のフラッグシップとして、走りの新技術をアピールする車になっています。

まさに、戦いで人を切るために鍛えられた日本刀と、美しく魅せるために鍛えられた日本刀の差といっても過言ではないでしょう。

性格の違い

当然ですが、開発コンセプトが違うエンジンは、性格が違っていても不思議はありません。

「RB26DETT」は数々のレースで結果を出してきた重みがあり、それは圧倒的なカリスマ性となり、新開発エンジンが悪いわけではないですが、それとは比較することができない価値があります。

直列6気筒とV型6気筒エンジンそのものの構成が異なることもさることながら、VR38に比べて短いストロークのRB26はS20同様の高回転型のエンジン特性をもっており、新しく加わった大型のタービンによる低回転のトルク不足を補う排気量アップなど、常に走っていることを前提にしたエンジンといえます。

一方で「VR38DETT」はというと、数値上はRB26DETTよりも強力なスペックをもちながらも、RB26より長いストローク、大きな排気量になっています。

2600ccの高回転でとにかくパワーを絞り出す中毒者が多いRB26と異なり、3800ccで低中回転からモリモリ出る扱いやすいトルク型のエンジンといえます。

さらに、VR38の最新かつ精密なコンピューター制御は、純正エンジンとしての性能ならはるかに上です。

ここでも明確にコンセプトがきっちり分かれており、RB26が好きな人とVR38が好きな人、知っている人ほど好き嫌いが分かれる特徴になっているといえます。

よくいわれる例えですが、野性味あふれるRB26エンジン、飼いならされたライオンのVR38といった印象になるのもうなずけます。

進化し続ける日産「GT-R」

日産 GT-R

コンセプト、生い立ちは異なりますが、どの世代もコンセプト通りにしっかり作り込まれている「GT-R」は、GT-Rであるために日産の技術をどんどん盛り込んで進化してきた事実があり、どのGT-Rを切り取っても同じです。

レースという目的からスーパーカーたるには、というように目指すところが変わった現在も、どんな技術も惜しむことなく「GT-Rを名乗るなら、まずは速くなければならない」というGT-Rのコアな部分に変化がないことの表れでしょう。

GT-Rは日産が市販するほぼレーシングカーから、日産のスーパーカーになり、同時に日本の誇るスーパーカーとして世界へとデビューしています。

海外にはマクラーレンフェラーリランボルギーニパガーニやケーニセグなど、さまざまなスーパーカーがしのぎを削ります。

ですが、足元である国内市場のライバルともいえる、レクサスLF-A、ホンダNSXの存在も注意が必要です。

周囲に衝撃を与えた「RB26DETT」から、バトンを受け取った新世代の「VR38DETT」がさらにどこまで成長出来るのか注目です。

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最新「NSX」中古車情報
本日の在庫数 38台
平均価格 1,081万円
本体価格 598~3,380万円
執筆者プロフィール
渡辺 喬俊
渡辺 喬俊
1986年生まれ、元システムエンジニアからクルマ業界へ転身、社外品サスペンションの試作や、ドライビングサポートのセンサー部品テストドライバーの仕事を経験。愛車はSW20 MR2とBP5 レガシィ。壊れない車が欲し...
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