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ポリメタルグレーメタリックはマツダにしかできない開発だった!【開発者直撃インタビュー】

「オートカラーアウォード2019グランプリ」を受賞したポリメタルグレーメタリックはどのようにして生まれたか?他メーカーが羨むボディカラー開発の裏側を開発者に直撃インタビュー!

オートカラーアウォードとは、一般社団法人 日本流行色協会が主催する懸賞制度で、モビリティのカラーデザインの企画力、形との調和を含んだ内外装すべてのカラーデザインの美しさを評価してグランプリを決めるもの。1998年からはじまって2019年で22回目を迎える。審査員の構成のうち150人は一般からの公募によるもので公平性が高い。オートカラーアウォード2019のグランプリは、マツダ3ファストバック ポリメタルグレーメタリックの外装色にバーガンディの内装色、CX-30の同外装色とネイビーブルー/グレージュの内装色が受賞した。

マツダ株式会社 デザイン本部カラー&トリムデザイングループ マネージャー 岡村貴史氏とポリメタルグレーメタリックのマツダCX-5
マツダ株式会社 デザイン本部カラー&トリムデザイングループ マネージャー 岡村貴史氏。クルマは2020年1月から発売された改良型マツダ CX-5で、このモデルから追加されたボディカラー、ポリメタルグレーメタリック。このボディカラーが、オートカラーアウォード2019のグランプリを受賞した。

岡村氏にインタビューしたのは、改良型CX-5・CX-8公道試乗会のとき。新型マツダ3がデビューしたときデザイン性の高さに驚いた人は数知れず。ボディの造形だけでなく新色の“匠塗” (*) 、ポリメタルグレーメタリックも多くの人の注目を集めました。そんなポリメタルグレーメタリックが改良型CX-5にも採用され、試乗会の展示車両となっていたのでした。試乗会では、ボディカラーの開発に携わった、マツダ株式会社 デザイン本部カラー&トリムデザイングループ マネージャー 岡村貴史氏が広島の本社からやってきてくれていました。そこで、試乗会に参加した筆者は小学校の社会見学レベルの超初歩的な質問を岡村氏に投げつけたのでした。

(*)匠塗(たくみぬり)とは、マツダのデザインテーマ“魂動”の美しさを際立たせるために特別に開発した、特別な塗装技術の、特別なボディカラー。職人が手塗りに迫る質感が最大の特徴。第1号は「ソウルレッド クリスタルメタリック」、第2号は「マシーングレー プレミアムメタリック」、そして第3号が「ポリメタルグレーメタリック」。

クルマのボディカラーって、どうやって開発するんですか?

岡村氏:マツダの車のボディカラーの開発は、大きく分けて2つの流れがあります。1つは、あらかじめ車種が決まっていて、その車種の個性に合わせて新色を開発する流れ、もう1つは、車種が全く決まっていない状態で、新しいボディカラーを作ろう、という流れの2つです。

「ポリメタルグレーメタリック」は、どっちの流れなのですか?

岡村氏:後者ですね。車種が全く決まっていない状態での開発スタートです。

どんな感じで「ポリメタルグレーメタリック」にしようとなったのですか?

岡村氏:「今回はどんな素材感がおもしろいかな?」がスタート地点でした。マツダの匠塗のひとつ「マシーングレー」は、鉄の素材感をイメージしたものです。そこで、新色は「樹脂(ポリマー)がおもしろいんじゃない?」ということで開発がスタートしました。

なるほど、本当に新色開発スタート地点が車種ではなかったんですね。それに「何がおもしろいのか?」がスタート地点というのも変わってますね。

岡村氏:あはは、そうですね。ちょうどその時マツダ3の開発のタイミングが重なりまして。マツダ3は特にファストバックの造形にこだわっていて、そこで今回はボディカラーもセットで考えよう、となったんですね。ファストバックの造形に合わせて、ヌメっとしていながらもシャキっとハイライトが入る、そんなボディカラーを良いなと考えて開発が進んだんです。

開発2段階目で車種とのマッチングを考えていったのですね

岡村氏:ざっくりと言うとそうなりますかね。実際はもっといろいろあるのですが(笑)車の性格を考えて設定していきますね。ボディカラーだけでなく内装色もセットで考えていきます。

外装と内装の色をセットで開発とは、具体的にどんなふうに?

岡村氏:マツダ3は内装に赤系の「バーガンディ」の革シートを採用するなど、スポーティーでエモーショナルなカラーデザインを追求していきました。CX-30では内装色にネイビー、ブラウンを用いてモダンさを追求していきました。

マツダ3ファストバックのバーガンディの内装
バーガンディの内装。ボディカラーはポリメタルグレーメタリックのマツダ3

車の個性ってこうして出来上がっていくのですね。しかし、新色をつくるとなると、この部分だけでも相当な苦労がありそうですね。

岡村氏:新しいボディカラーの開発工程なんですが、マツダは他のメーカーさんとは異なる方法をとってるんです。開発初期では、どのメーカーも基本は同じになるんでしょうけれど、デザイナーが色の質感はどうなのか?実際に車に塗ったらどんな印象になるのか?はたして価値を出せるのか?などを突き詰めながらコンセプトを決めていきます。この次の段階で、多くの自動車メーカーはサプライヤーとなるペイントメーカーにそのコンセプトを出して、ペイントメーカーのデザイナーから「こんな色どうですか?」と自動車メーカーに提案してくるんです。

マツダは違うんですね?

岡村氏:はい、マツダはペイントメーカーに投げずに自社でやります。マツダは、やりたいことが決まったら社内のエンジニアにそれを伝えて、実際に自分たちでやってみる。どうしたら生産できるか?材料の開発はどうするか?塗り方はどうするか?などを考え「どうやったら実現できるか」を社内で詰めていくんですね。それができた段階でペイントメーカーに「こうやればできる」を伝えるんです。例えば、メタリック塗装の材料に1つになるアルミのフレーク片も自社開発します。ペイントメーカーには、こんなフレークを入れて、こんな塗り方すれば、こんな光の反射がでるんだよ、といった感じです。

マツダ3ファストバック ボディカラー ポリメタルグレーメタリックの後ろ姿
ポリメタルグレーメタリックのマツダ3ファストバック。ボディカラー名は「ポリマー」と「メタリック」の両方の質感を持つことから。

なるほど。ペイントメーカーに出して、戻してもらって、再度出して、また戻してもらって…の繰り返しなら容易に想像できます。

岡村氏:そうですね、普通はそのキャッチボール方式ですよね。マツダのモノづくりは、そうではなく「雪だるま式」です。小さな雪だるまを手で作ってから雪の上を転がして大きくしていく……最初に手で握って作る小さな雪だるまが、開発でいう根幹部分です。根幹を作ってから少しづつ膨らまして大きくしていくんです。この膨らませる工程の段階で、ペイントメーカーも巻き込むんですよ。

一緒に開発するんですね。

岡村氏:そうですね、ペイントメーカーに「これをやって」で出すだけでなく、一緒になって開発していきます。これは他の自動車メーカーではやっていないことで。匠塗第1号のソウルレッドを出したとき、他の自動車メーカーさんがペイントメーカーに対して 「なんでマツダには、あんないい色を出しておいて、ウチにはよこさないのか?」と詰め寄ったという話がありましたね(笑)

ペイントメーカーの担当さん、かわいそう(笑)……「ポリメタルグレーメタリック」の開発で一番大変だたのは何ですか?

岡村氏:今まで、ボディに光を反射させた造形やボディへの景色の映り込みを強く意識したデザインという発想がなかったんですよ。そんな中、さまざまなシーン…日なた、日陰、室内、屋外、どんなシチュエーションでも、いい色だと思える色に仕上げていくのは大変でしたね。でも、カラーアウォード2019の交流会のとき、他のメーカーさんから「輸入車は赤いシートでスポーティーなクルマ多いけど、国産にはなかったよね」って話をしてくれて、とても嬉しかったですね。

ソウルレッドクリスタルメタリックのCX-30 のボディサイドに映り込みするS字状の光のライン
CX-30事前取材会で撮影。ボディ側面のS字のラインは照明の光によるもの。街中や自然の中を走るときも、S字状に景色が映り込み揺らぐように流れていく。ボディカラーは匠塗第1号のソウルレッドクリスタルメタリック。

「どうやって開発するんですか?」という小学校の社会見学レベルの質問から快く楽しく面白くお答えいただいた岡村氏、どうもありがとうございました。

インタビュアー・文・撮影:MOBY編集部 宇野 智

マツダ ロードスターにもポリメタルグレーメタリックが追加された。

【編集後記】
今年はマツダ創業100周年。これを記念して編さんされた「マツダ百年史 エピソード編」という本を1冊送っていただきました(非売品)。その100のエピソードの1つに、1980年代に開発された塗装技術「ハイレフコート塗装」のお話がありました。マツダの開発者がモーターショーで見たプレミアムカーの高級な塗装と、別の機会でドイツ製高級車の手間を厭わない塗装を見たことが開発のきっかけに。マツダで実現するためのひらめきは「焼き鳥」から。絶妙なタイミングで串を回すのはタレが落ちずに火で炙られ乾き、何層にもタレが重ねて美味をもたらすため。これを車の塗装で実現したという。それはさながらローストチキンで、技術者たちもそう呼んだほど。巨大な車をクルクルと回すための動力はなんとゼンマイ。モーターでは塗装工程上熱がある場所で使えなかったようです。このときから約40年が経過しても、マツダの開発者魂は不変でした。そういえば、マツダのターボの開発のきっかけがガスコンロ掃除だった、というのもありましたね。これについての記事もぜひお読みください。

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この記事の執筆者
MOBY編集部 宇野 智

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