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【マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ】試作車ネームRX85の軽量スポーツ

マツダはなぜロータリーエンジンを開発したのか?

マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ 新型Mazda3発表会
フロントグリル中央にはロータリーエンジンを模したマツダエンブレムが輝く。

マツダの代名詞といっても過言ではない「ロータリーエンジン」。なぜマツダは当時他メーカーがレシプロエンジンの開発にしのぎを削るなか、あえてロータリーエンジンの開発に踏み切ったのでしょうか。

東洋工業(現マツダ)社内に、極秘裏にロータリーエンジン研究部が発足したのは1963年。若手を中心に技術者47人が集められ、その研究部を束ねたのがロータリーエンジンの父と呼ばれた当時の部長「山本健一氏」です。当時の車メーカーに対する行政側のスタンスは再編には否定的。日本メーカーはトヨタ・日産で十分であるとするもので、後進企業・マツダにとっては独自技術を開発し是が非でも地位を確立する必要が。その技術こそがロータリーエンジン開発だったのです。

そのためマツダはドイツ・NSU社とロータリーエンジンにおける技術提携を締結。約3年という期間中、メンバー全員が寝食を忘れ開発に没頭することでついにエンジン製品化の目途をつけます。この快挙により、マツダはカーメーカーとしての地位を確立。コンパクト軽量でハイパワーが特徴のロータリーエンジンの性質を生かし、その後数々のスポーツエンジンを生み出していくのです。

ファミリア ロータリークーペのプロトタイプ名はRX85

マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ 新型Mazda3発表会
角目ヘッドランプは2代目ファミリアの特徴だ。
マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ 新型Mazda3発表会
曲面ガラスが美しい。
マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ 新型Mazda3発表会
コンパクトながらスタイリッシュなクーペスタイル。

2代目ファミリアがデビューしたのは1967年。普及しつつあった小型大衆車市場に向けて排気量を1.0Lにアップした1000シリーズとして登場しました。1000シリーズはその後さらなる快適性を求め1200シリーズへと進化しますが、通常のレシプロエンジンモデルに加え、1968年ついにロータリーエンジン搭載車「ファミリア ロータリークーペ」が誕生します。

マツダ初のロータリーエンジン搭載車は前年に誕生したコスモスポーツですが、同モデルのロータリーエンジンは職人が手作業で作り上げる手の込んだ工程を要するもので、莫大な開発費用を回収できる体制ができていませんでした。そこでローター専用の工作機械を開発するとともにエンジンの各部を低コスト・高耐久で量産できるシステム工程を確立。その普及モデルとして選ばれたのがファミリア ロータリークーペだったのです。

マツダは1967年、東京モーターショーにてロータリーエンジンを搭載したプロトタイプ(試作車)RX85を発表。その車こそがのちのファミリアロータリークーペなのです。

マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ 新型Mazda3発表会
ロータリーエンジン搭載車のみに許された専用エンブレム。
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フェンダーミラーの造形にも手は抜いておらず美しい。
マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ 新型Mazda3発表会
ドアミラーに慣れてしまうとフェンダーミラーの視角にはかなり戸惑うだろう。

ファミリア ロータリークーペは、ファミリーカーにふさわしく街乗りでも扱いやすく信頼性にもすぐれ、しかも価格はコスモスポーツのおよそ半額となる70万円に設定され、文字通りロータリーエンジン普及モデルとしてヒットに。1970年にはプレスト ロータリークーペシリーズとして、さらなる進化をとげることとなりました。

小型ながら実力は2L級!ファミリア プレスト・ロータリークーペのスペック

マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ 新型Mazda3発表会
タイヤハウスの形状がクラシカルでGood。
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コンパクトとはいえ、トランクスペースは十分だ。
マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ 新型Mazda3発表会
丸形としたリアランプがクーペスタイルを優雅に見せている。

ファミリア ロータリークーペのエンジンは、491cc×2の直列2ローターとなるM10A型。最高出力は100PSとコスモスポーツより若干おとりますが、車両重量は805kgと非常に軽く最高速度は180km/h、0-400m加速は16.4秒の俊足を誇りました。ちなみに同時期にデビューした日産スカイライン2000GTは、直列6気筒SOHCのL20型で排気量2.0Lにして最高出力は105PSとなり、ロータリークーペがスポーツカーとしても相当の実力を持っていたことが伺えます。

1970年にはファミリア上級モデルとなるプレストシリーズがデビュー。内装にはT字型形状となるインストルメントパネルをそなえ、その上部には燃料計・油圧計・時計の3連メーターが、下部にはスポーツ仕様のシフトレバーが装備され、他のファミリアとの差別化を図ったのです。

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MAZDAとは創業者松田重次郎氏と叡知・理性・調和の神「Ahura Mazda(アフラ マズダー)」から命名された。
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リア部にはさりげなくロータリーエンジン搭載を示すバッジが。
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サスペンションは前がマクファーソンストラット独立懸架、後ろが半楕円リーフリジットが採用された。

ファミリア ロータリークーペは軽量かつ俊敏であるスポーツ性能を生かし、レースでも活躍。1969年に開催されたシンガポールGPでは、最高出力200PSにチューンされたレース仕様のロータリークーペが、総合優勝を果たしています。

ファミリア ロータリークーペは稀少でこまめなメンテが大切!

マツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペ 新型Mazda3発表会
2ローターを意識した専用バッジが心憎い。
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グリップ式のしっかりとしたドアハンドル。
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シャープで精悍な印象の2代目ファミリア プレスト・ロータリークーペ。

ファミリア ロータリークーペやプレスト ロータリークーペは1960年代から1970年代の車であるため非常に稀少で、中古車市場に出回ることもあまりないと言えます。ちなみにレシプロエンジン搭載のファミリア 1000クーペでは、価格が130万円となっていて、ロータリークーペが出回った場合は、この価格を超えてくるのは間違いないといえるでしょう。(2019年6月時点)

さらに、ロータリーエンジンはその構造上、エンジンオイル交換などメンテナンスをこまめに行う必要があるため、古いことに加え維持費がかさむことを事前に考慮しておく必要があります。

最新「ファミリア」中古車情報
本日の在庫数 14台
平均価格 196万円
本体価格 42~730万円

マツダ・ロータリーエンジン搭載モデルの販売台数は?

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後輪サスペンション・半楕円リーフリジットの構造もよくわかる。
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前席シートはセミバケットタイプが採用された。
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インストルメントパネルはT字形状で上部には3連メーターが装備された。

マツダの代名詞ロータリーエンジンを搭載したモデルは、1967年デビューのコスモスポーツに始まり、ファミリア プレスト・ロータリークーペで一気に量産化をはたし、それ以降2012年に販売終了となるRX-8まで、実に12車種にいたります。全体での生産台数は約200万台となり、一時期はマツダモデルの約2/3を占めるほどだったのです。(生産台数は2012年6月時点のもの)

そのなかでもファミリア プレスト・ロータリークーペは、ロータリーエンジンを世間に認知させ、量産化体制につなげたエポックとなった1台だと言えるでしょう。マツダは市販車へのロータリーエンジン搭載を停止したままですが、2018年に発表されたトヨタの無人EV車レンジエクステンダーには、マツダのロータリーエンジンが採用されました。(レンジエクステンダーとは、ガソリンとエンジンが発電用に使われ、蓄えた力でモーターにより車を走らせる方式のEV車)

モデル名販売期間生産台数
コスモスポーツ1967~1972年1,176台
ファミリア1968~1973年95,891台
ルーチェ1969~1990年253,261台
カペラ1970~1978年225,688台
サバンナ1971~1977年285,887台
Bシリーズ1973~1977年16,272台
パークウェイ1974~1976年44台
ロードペーサー1975~1977年800台
コスモ1975~1989年104,519台
RX-71978~2002年811,634台
ユーノスコスモ1990~1995年8,875台
RX-82003~2012年193,319台
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ロータリーエンジン量産化の礎を築いたファミリア2代目プレスト・ロータリークーペ。

マツダ ファミリア プレスト・ロータリークーペのスペック表

エンジン直列2ローター 491cc×2
最高出力100PS/7,000rpm
最大トルク13.5kgf・m/3,500rpm
ボディサイズ全長:3,830mm
全幅:1,480mm
全高:1,345mm
ホイールベース:2,260mm
車両重量805~835kg
トランスミッション4速MT
駆動方式FR
乗車定員5人
新車時車両価格64万~70万円

撮影:宇野 智(MOBY)
この記事のマツダ2代目ファミリア・プレスト・ロータリー・クーペは、2019年5月24日にマツダが寺田倉庫B&Cホールで開催した、新型Mazda3発表会の会場に展示されたものです。

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