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門柱を破壊し、犬小屋を踏み潰す!大物俳優にも愛された最強アメ車SUV『ハマーH1』【推し車】

イメージだけではない軍用そのものな最強級クロカンSUV

クロカンなら当たり前のシチュエーションでも、軍用上がりのハマーH1がやるとモノモノしい…縦7本スリットはジープ直系の証

クロカン(クロスカントリー)車の起源がジープなど軍用車両にあると思うと、近代クロカンの最強級モデルのひとつがハマー、GMの1ブランドになってH2以降が販売されて以降の名称では「ハマーH1」である事には疑いないでしょう。

何しろ米軍の制式採用車両であるM998ハンヴィーの民生版であり、ステランティスの「ジープ」ブランドと同様、その源流は第2次世界大戦のジープにまでさかのぼれる伝統もアリ。

原型が実戦部隊での運用にあたり数多くの独自カスタマイズを受けており、大型高級SUVとしても含め、軍民問わずカスタムネタも無限大な超ド級クロカンSUVを今回は紹介します。

最新「ハマーH1」中古車情報
本日の在庫数 11台
平均価格 1,441万円
支払総額 900~3,330万円

民生・軍用2つの系譜、ハマーH1も実はジープの子孫

ハマーH1の原型となった軍用のハンヴィー 
©Jindrich Blecha/Wirestock Creators/stock.adobe.com

ハマーH1の原型であるM998「ハンヴィー」は、第2次世界大戦時にアメリカ軍向けとして開発、ただちに大量生産・配備されて連合軍で多用され、「C-47(輸送機)、バズーカ砲、ジープは連合軍が勝利した原動力」と言われたほどの名車、ジープの末裔です。

ハンヴィーそのものの詳細は別記事で改めて書きますが、戦後もジープは改良を続けながら生産が続けられ、メーカーも合併、買収を繰り返す形で、軍によるハンヴィーの要求仕様が固まった1970年代末にはAMC(アメリカン・モーターズ)のブランドになっていました。

正確には、「ジープ・チェロキー」など一般向けがAMC、軍用ジープなど軍用車両や郵便局など公用車、バスなど商用車がAMCの子会社であるAMゼネラルの製品となっており、ハンヴィーを開発したのはもちろん軍用車両部門を含むAMゼネラル。

ただし、1980年代に入ってハンヴィーの採用が決まった頃にAMCはフランスのルノー傘下となり、国防関連メーカーが外資傘下となることを嫌った当局によってAMゼネラルは他の国防関連メーカー傘下へと移されます。

こうして「ジープ」の系譜は、ルノー傘下からさらにクライスラー傘下へ移り、現在の多国籍メーカー「ステランティス」傘下の一部となった民生用ジープと、AMゼネラル系の軍用ジープを起源とする2つに分かれたのです。

一時は民生ジープ側からクレームが出たものの、上記のような歴史的経緯からハンヴィー、としてH1以降のハマー車へ、ジープと同じデザインアイデンティティ、「縦7本スリット(溝)のフロントグリル」が認められているのには、こうした事情があります。

元戦車兵の大物俳優に後押しされた民生版への転用

たくましい悪路走破性と安心感、ただちょっとばかりデカくて重すぎ、案外走れる場所は限られるかも

チェロキーやラングラーなどとは別に軍用ジープの末裔として開発されたハンヴィーですが、AMゼネラルでは「ジープのように民生分野でも売り込みたい」という希望を持っており、生産数が増えるほど価格が下がるためか、軍も反対はしなかったようです。

それを後押ししたのが俳優、カリフォルニア州知事という経歴を持つアーノルド・シュワルツェネッガー。

ボディビルダー上がりで映画「ターミネーター」、「コマンドー」などでの屈強な戦闘用サイボーグや兵士役が人気の彼が、「あえてのハズシ技」で幼稚園の保育士(として潜入捜査した刑事役)に挑んだ「キンダガートン・コップ」でハンヴィーの車列を見たのが始まり。

シュワルツェネッガーは若き頃にオーストリア陸軍へ徴兵されており、運転ミスで装甲車を沼に水没させたという真偽定かならぬ逸話すら残る戦車兵でしたが、その血が騒いだか「ハンヴィーの民生版をぜひ売ってくれ!」とAMゼネラルへ強力に働きかけたそうです。

もちろんAMゼネラルにとっては渡りに船、保安基準や快適性に係わる内装など最低限の装備を施した民生版ハンヴィーは1992年に「ハマー」と名付けられ、量産1,2号車を真っ先に注文したシュワルツェネッガーへ引き渡すと、大々的に売り出しました。

門柱を破壊し、犬小屋を踏み潰す最強のアメリカンSUV

日本版ハンヴィーこと高機動車/トヨタ メガクルーザー同様、運転席と助手席の間は巨大なトランファーに仕切られている

軍用モデルと同じ傾斜した車体後部へテールゲートを持つスラントバック版のほか、ピックアップ版、全金属製箱型フルハードトップのワゴン版があるものの、特にフロント周りは軍用ハンヴィーの標準モデルとほぼ同じ見かけのハマーは、発売されるや大人気!

何しろ軍用そのものですから、タフなイメージをアピールしたい、あるいはこれだけ巨大なSUVを所有できる富裕層としてアピールしたいセレブなオーナーにはうってつけでしたが、アメリカンフルサイズSUVとしても大柄で頑丈ゆえのエピソードも残されています。

あまりに大きすぎるため、バックで車庫入れしようとして門柱を破壊した、入り口のそばにあった犬小屋を踏み潰した(愛犬の運命やいかに…)という話は多かったものの、むしろ「ハマーらしい」と好感をもって受け入れられていたようです。

日本でも北海道庁やNTTドコモなど、官公庁や企業の中でも災害時のタフネスぶりを期待される部署で、日本版ハンヴィー(通称:ジャンヴィー)として自衛隊が採用した高機動車の民生版トヨタ メガクルーザーとともに配備運用されました。

GMのブランド買収と生産終了

悪路は得意でも排ガス規制は乗り越えられなかったハマーH1だが、どのみちGMの経営破綻で先は長くなかった

その人気に目をつけ、自社の新たなSUVブランドへ加えようと目論んだのがGM(ゼネラル・モーターズ)で、1999年に「ハマー」のブランドを購入、生産は引き続きAMゼネラルへ委託します。

GMが他のGMブランド製SUVをベースにハマー風の外装を施した新型ハマー(H2や小型版のH3)を開発すると、従来のハマーは「ハマー」ブランドのフラッグシップモデル、「ハマーH1」と改名、引き続き生産を続けました。

ただ、ハマーの標準的なパワーユニットはハンヴィー同様に6.2リッターV8など大排気量ディーゼルがメインで、5.7リッターV8ガソリンエンジンもありましたが、3トン超の車重に対しては少々パワー不足です。

しかし新型の6.6リッターV8ディーゼル版も含め、新たな排出ガス規制への対応が困難になり、2006年モデルをもってハマーH1は生産終了してしまいました(AMゼネラル製の軍用ハンヴィーはその後も継続)。

2008年、リーマンショックに始まる世界恐慌で急激に業績が悪化したGMは2009年に経営破綻して国有化、「ハマー」ブランドも売却が決まったものの破談となってブランド廃止されてしまったので、ハマーH1はどのみち長くは作れなかったと思われます。

EVとしての再出発

GMCのサブブランドとして再出発したGMC ハマーEVだが、軍用ベースではないためH2やH3後継と考えた方がいいかも

その後もAMゼネラルは民生版ハンヴィーの販売をあきらめず、ハンビー・エキスポート社を通して海外向けの「ハンヴィーCシリーズ」を売り出しています。

再生なったGMも、所持し続けていた「ハマー」ブランドを活かし、ピックアップトラックやSUVブランド、「GMC」のサブブランドとしてハマーを復活、2021年にH1風のボディを与えたEV版SUV、「GMC ハマーEV」を発表しました。

かつて「ジープ」から枝分かれした軍用版ハンヴィーは、さらにAMゼネラル版「ハンヴィー」シリーズとGM版「GMCハマー」シリーズへ分かれ、ジープの系譜はさらに増えて続いていきそうです。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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