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【世界初】自動運転レベル3「ホンダセンシング エリート」搭載新型レジェンド発表|開発裏話も

文:宇野 智(画像はホンダ)

2021年3月4日、ホンダは世界初となる自動運転レベル3「Honda SENSING Elite(ホンダセンシング エリート)」を搭載した量産車、新型レジェンドを発表しました。

プレス向け事前イベントの内容を共有します

新型レジェンド発表事前オンラインイベント
MCはジャーナリストの堀潤氏、進行役はフリーアナウンサーの宮瀬茉祐子氏。
新型レジェンド発表事前オンラインイベント
MCはジャーナリストの堀潤氏、進行役はフリーアナウンサーの宮瀬茉祐子氏。

この発表に先立ち、ホンダはプレス向けのオンライン発表事前イベントを開催。このイベントでは、ホンダの開発担当者が自動運転の基礎知識から、ホンダセンシング エリートの特徴まで、開発秘話を含めて語られました。

そのイベントの内容をみなさまにご共有します。

ホンダ プレス動画

自動運転レベル1〜5とは?

ホンダセンシング エリートの何が世界初なのかをお伝えする前に、1から5までの定義をおさらいします。

自動運転レベルの定義一覧

レベル操縦の主体定義具体例
レベル1運転支援(システムが前後・左右いずれかの車両制御を行う)自動ブレーキ・前走車自動追従走行・車線逸脱時ハンドル操作支援
レベル2特定条件下での自動運転機能(レベル1の複数を組み合わせおよび高機能化)車線を維持しながら前走車に追従走行(ハンドル操作支援と車間距離維持支援)・高速道路での自動運転モード
レベル3システム条件付き自動運転システムがすべての運転タスクを行うが、システムが判断して人に運転を交代を要求する。
レベル4システム特定条件下での完全自動運転
レベル5システム完全自動運転

現在、販売されている車に搭載される自動運転レベルは「2」までとなります。

現時点で最も高機能となる自動運転レベル2は、専用高精度マップに対応した高速道路でハンズオフ(ハンドルから手を離して運転)が可能となる日産「プロパイロット 2.0」と、スバル「アイサイト EX」となります。(この2つの仕様に相違点はありますが、ここでは割愛します。)

「世界初」の背景に法整備があった

ホンダ レジェンド ホンダセンシング エリート ハンズオフ

「自動運行装置」は、2020年4月に施行された改正道路運送車両法で正式に規定され、認可を受けたモデルが市販化できるようになりました。

ホンダセンシング エリートが搭載するトラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)は、国土交通省が定める自動運転車の定義(官民ITS構想・ロードマップ2020/令和2年7月IT総合戦略本部決定にて規定)のレベル3に適合する自動運行装置となります。

なお、自動運転レベル3搭載車には、周囲に自動運行装置搭載車であることを示すステッカーを車体後部に貼付することが要請されています。

また、同時に道路交通法も改正され、公道での自動運行装置の使用が認められました。さらに何をしてはいけないかも定められました。

この改正道路運送車両法と道路交通法の2つがセットになって初めて、自動運行レベル3が公道走行可能となりました。自動運行レベル3公道走行可能となる法整備は日本が世界初となります。

ホンダセンシング エリートを搭載した新型レジェンドは、国交省の認可を初めて受けた自動運転レベル3量産車となりますので「世界初」となったのです。

自動運転レベル3ではスマホ操作OKに

ホンダ レジェンド ホンダセンシング エリート 運転交代通知
メーターパネル内の運転交代を促す表示

自動運転レベル2の最も高機能なシステムでも、車の操縦の主体はドライバー(人)で、ハンドルから手を離した自動運転状態でも、運転車はあくまで人です。

このため、自動運転モードでもドライバーは前方を注視し、いつでも「即座に」ハンドルやブレーキなどの操縦を行うことが必要でした。また、ドライバーはディスプレイを注視するようなナビ画面の操作をしたり、動画を見たりすることはできませんでした。

自動運転レベル3から、操縦の主体がシステムとなるため、道交法が変わりました。

改正されたのは、自動運転モードでシステムがドライバーに運転の交代を要求したとき、ドライバーは即座に運転を引き取らなければならないこと。スマホの操作もOKとなりました。

いつでも運転を交代できることが大切

ポイントは「システムが運転の交代を要求したとき」です。逆にいえば、システムから運転の交代を要求されるまでは、すぐにハンドル、アクセル、ブレーキなどの操縦ができる状態であれば、何をしていても構いません。

ただ、ホンダとしては、安全のため車に装備されたディスプレイの使用を推奨しています。これは、ドライバーへ運転交代をディスプレイ上で表示できるからとのことで、手元のスマホ操作では、運転交代要求を見落とすリスクがあるからとのことです。

ダメなのは、寝ること。すぐに安全な操縦ができる状態ではないからです。新型レジェンドでは、ドライバーの目の動きをモニタリングし、寝ていないか、身体に異変が起きていないかを検知しています。

新型レジェンド「ホンダセンシング エリート」の特長

ホンダ レジェンド ホンダセンシング エリート

ホンダセンシング エリートの主な特長は以下の通り。(センシティブな内容を含むため、プレスリリース記載内容をそのまま転記します)

ハンズオフ機能

高速道路や自動車専用道で、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)と 車線維持支援システム(LKAS)が作動中に一定の条件を満たすと、ドライバーがハンドルから 手を離した状態でも、システムが運転操作を支援する機能。

ハンズオフ機能付車線内運転支援機能

システムが車線内の走行や追従を支援します。システムは設定された車速を保ちながら 車線中央に沿うように走行し、先行車がいる場合は適切な車間距離を保ちながら追従を 支援します。

ハンズオフ機能付車線変更支援機能

ハンズオフ機能付車線内運転支援機能で走行中、ドライバーが周囲の安全を確認し ウインカーを操作すると、システムが車線変更に伴う加減速、ハンドル操作を支援します。

ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能

ハンズオフ機能付車線内運転支援機能で走行中、高度車線変更支援スイッチをONにすると一定の条件下でシステムが状況を判断して、車線変更や追い越しなどの操作を支援します。

システムが車速の遅い先行車を検知した場合、ドライバーに告知を行ったうえで、追い越しや車線復帰を支援します

トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)

ハンズオフ機能付車線内運転支援機能で走行中、渋滞に遭遇すると、一定の条件下でドライバーに 代わってシステムが周辺を監視しながら、アクセル、ブレーキ、ステアリングを操作する 機能。

システムは先行車の車速変化に合わせて車間距離を保ちながら同一車線内を走行、 停車、再発進します。ドライバーはナビ画面でのテレビや DVD の視聴、目的地の検索などの ナビ操作をすることが可能となり、渋滞時の疲労やストレスを軽減させます。

緊急時停車支援機能

ドライバーがシステムからの操作要求に応じ続けなかった場合、左車線へ車線変更をしながら減速・停車を支援する機能。

トラフィックジャムパイロット・ハンズオフ機能の終了時、 システムからの操作要求に応じなかった場合、警告音を強め、シートベルトに振動を加えるなど、視覚、聴覚、触覚によってドライバーに操作要求に応じるよう、さらに促します。

それでも、ドライバーが操作要求に応じ続けなかった場合はハザードランプとホーンで周辺車両への注意喚起を行いながら、減速・停車を支援します。路肩がある場合は、左側車線に 向かって減速しながら車線変更を支援します。

ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI))

ドライバーへ作動状態、走行状況、システムからの操作要求をわかりやすく瞬間的に認知させるインターフェイス。ハンドル、ナビ画面上部、グローブボックスに Honda SENSING Elite 表示灯を装備。

ハンズオフ可能な状況ではハンドルの表示灯がブルーに点灯し、 トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)作動時は、その他の表示灯もブルーに点灯。 一方、システムがドライバーに操作要求をする際には、これらの表示灯がオレンジに 切り替わって点灯・点滅するなど、わかりやすくサインを示します。

また、12.3 インチの大型フル液晶メーターでも、システムの作動状態や周辺車両の状況、操作要求をシンプルかつ表現力豊かに表示します。

自動運転レベル3のレジェンドの価格と生産台数

ホンダ レジェンド ホンダセンシング エリート フロント
現行モデルとエクステリアとインテリアの基本は変わらない。
フロントバンパー下部両サイドのデザインは異なる。

自動運転レベル3「ホンダセンシング エリート」を搭載した新型レジェンドの生産台数は100台に限定。

価格は税込11,000,000円ですが、リースのみの取り扱いとなっています。

ホンダ レジェンド 公式Webサイトはこちら

開発裏話

レベル3の高い壁は、どこまで高さがあるのかさえもわからず

株式会社本田技術研究所 先進技術研究所 エグゼクティブチーフエンジニア 杉本洋一氏
株式会社本田技術研究所 先進技術研究所 エグゼクティブチーフエンジニア 杉本洋一氏
衝突被害軽減ブレーキの開発は20年ほど前から関わる

2020年4月の法改正で、自動運転レベル3が公道に走れるようになり、政府が求める安全技術ガイドラインで「事故防止」について示されています。

レベル2からレベル3では、操縦の主体か人からシステムに変わり、事故防止の要件を満たすには非常に高い壁がありました。その壁はどこまで高さがあるのか、それもわからない状態で開発がスタートしました。

この「レベル3の壁」を乗り越えるため、約1000万通りのシミュレーションを行い、全国約130万kmを走行検証したといいます。

失敗談「スター・ウォーズ フォースの覚醒」を見て本人覚醒せず

本田技研工業株式会社 四輪事業本部 ものづくりセンター レジェンド開発責任者 青木仁氏
本田技研工業株式会社 四輪事業本部 ものづくりセンター レジェンド開発責任者 青木仁氏
約10年レジェンド開発に携わる。愛車は初代レジェンドから現行モデルまでずっと乗り継いでいるとのこと。

新型レジェンドの公道走行テストで自動運転モード中、渋滞に巻き込まれたときのこと。好きな映画を見ているうち夢中になり、運転交代のアラートに気が付かなかったというエピソードがあったようです。

このときの失敗から、車載ディスプレイには運転交代を促すテロップを表示するよう機能を追加したといいます。

ちなみに、このときに見ていた映画は「スター・ウォーズ フォースの覚醒」。運転操作の覚醒をさせる、にかけたのだが自分は覚醒しなかった、と語っていました。

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この記事の執筆者
宇野 智