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BMWがボディカラーを自由に変更できるコンセプトカー「iX Flow」をCES2022で世界初公開
BMW iX FlowがCES2022にて世界初公開

BMWは2021年1月5日(現地時間)、外観の色が変化するコンセプトカー「BMW iX Flow」を世界初公開しました。
発表の場となったのはアメリカ・ラスベガスで開催されている電子機器の見本市「CES2022」。BMWはこのコンセプトカーのほかに、新型車「iX M60」も発表しています。
なお、BMW iX Flowはあくまでコンセプトカーなので、市販化の予定は今のところありません。
ボディカラーを自在に変化?映画の世界が現実に
BMW iX Flowの最たる特徴は、なんといっても外装色を自在に変化させることができるという点にあります。
モノトーンカラーであれば、自由に濃淡をつけることが可能。黒い車かと思ったら次の瞬間には白い車へと変化させることもできます。まさに、「グリーン・ホーネット」や「アベンジャーズ」といったヒーロー映画のギミックが現実になったといえるでしょう。
部分的に色を変更することも可能!


部分的に色を変更することで好みのデザインを外装に反映させることもでき、かなり自由度の高いアレンジを楽しめます。
ただ、仮にこの技術が市販化されたとして、盗難されたときにデザインを変更されたら発見は至難の業になりそうです。
電子ペーパーの技術を応用している

変化する外装色の実現を可能にした背景には、電子書籍端末のディスプレイに採用されている技術「E-ink(Eインク)」の存在があります。
BMW iX Flowの外装にはE-inkを採用した特殊なコーティングが施されており、直径が人間の毛髪ほどの太さしかないマイクロカプセルが何百万個も含まれています。
このマイクロカプセルは、マイナスの電気をもつ白色顔料とプラスの電気をもつ黒色顔料を含んでいて、電界による刺激により、白色または黒色の顔料がマイクロカプセルの表面に集まって色合いを形成しているのです。

要するに何枚もの電子ペーパーを車体へと貼り付けているのですが、車体の特徴的な輪郭や光と影の変化を反映するためにはかなり精密に配置する必要があります。
BMWはこれを実現するにあたり、「ジェネレーティブデザインプロセス」というアルゴリズムとレーザーカット技術を用い、車体のシルエットに沿って電子ペーパーを配置しています。
デザイン性以外のメリットも

外装色が変わることによって得られるのは、高いデザイン性のみにとどまりません。
例えば、季節ごとに必要となる冷房や暖房のレベルを引き下げることができます。ボディカラーによって太陽熱の吸収率が異なるのですが、外装が黒ければ太陽熱を吸収するので車内温度は高まります。逆に白ければ太陽熱を反射するので、黒い外装色の時よりも車内温度は低くなります。

エアコンによって消費するエネルギーを削減すれば、それに伴って車の燃料や電気の消費量も減少します。電気自動車であるiXの場合、航続距離を伸ばすことにも繋がるのです。
外装色の変更に用いているE-inkは、同じ色を保つだけであればエネルギーを消費しません。色を変更するときにのみ電流が流れるので、BMW iX Flowは結果的に環境性能にも優れているということになります。
事故や盗難時には問題も?

先程も少し触れましたが、色が変わるということは盗難時に見つかりにくくなる恐れがあります。
また、BMW iX Flowの表面はマイクロチップを含む特殊なコーティングが施されているため、走行中に外装を擦ってしまった場合、色が反映されなくなるだけでなく、修理費もかなりの高額になる可能性も。
とはいえ、あくまでコンセプトカーにここまでの指摘をするのはナンセンスかもしれません。今はこういった技術の誕生を素直に祝うのがベストでしょう。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...