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NOS(ニトロ)とは?ワイスピ登場のボタンを押すだけで速くなる謎のアレを解説

映画ワイルド・スピードでおなじみの「NOS(ニトロ)」

世界中の車ファンから大人気の映画ワイスピこと「ワイルド・スピード」シリーズは、2001年に第1作が公開され、2021年で20周年を迎えます。

2021年8月6日には第9作目の「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」が公開予定となっているため、楽しみにしている方も多いことでしょう。

ワイルド・スピードでは、ゼロヨンと呼ばれるレース「ドラッグレース」がおこなわれていますが、そのレースでたびたび登場するのが「NOS(ニトロ)」です。

NOSを使うと車はパワーが増してとてつもない加速力を発揮するようになるため、「自分の車にも装着したい!」と憧れる方もいるのではないでしょうか?

NOS(ナイトラス・オキサイド・システム)とは?

©Markus/stock.adobe.com

NOSはナイトラス・オキサイド・システム(Nitrous Oxide System)の略で、ホーリー・パフォーマンス・プロダクツ社が発売している商品の名前です。商標登録されていて、ホーリー・パフォーマンス・プロダクツ社以外のメーカーは別の名称で同様の製品を発売しています。

しかし、「NOS」があまりにも有名なのでユーザー間では同じような製品はすべて「NOS」として呼ばれるようになりました。そのため、ワイルド・スピード作中でも正しい製品名は「NX」なのに「NOS」として使用されるシーンも見られます。

お母さんがゲーム機のことを「ファミコン」と呼ぶのと同じです。

NOSを使うとなぜ速くなる?

©piccaya/stock.adobe.com

「ナイトラス・オキサイド」とは亜酸化窒素のことを指します。

エンジンは、ガソリンと空気が混ざった「混合気」を内部で燃やすことでエネルギーを発生させますが、NOSでは亜酸化窒素を混合気に含ませてエンジン内部に噴射します。

空気には酸素が含まれていて、これが燃焼に必要です。しかし、大気中に含まれている酸素の量は、窒素の約4分の1。それに対して亜酸化窒素は、かんたんに言うと大気の2倍以上の酸素を含んでいます。そのため、高い燃焼エネルギーを生み出すことができるのです。

それだけでなく、エンジンの加熱を抑制する効果も亜酸化窒素を使うことで得られます。エンジンが吸入する空気の温度を下げることができるため、相乗効果でさらなるパワーアップが可能です。

これらの効果によって、NOSを使うとエンジンは通常時の150%近い出力を発揮。ものすごい加速力を得ることが可能になるわけです。

海外ではメジャーなチューニング

©103tnn/stock.adobe.com

ワイルド・スピード作中でもおこなわれる「ドラッグレース」は、アメリカでは大人気のレースのひとつ。

レースというと数kmのサーキットを周回するというイメージがありますが、ドラッグレースは400mの直線を2台で競走するというシンプルなもの。短い距離の中でいかに早く最高速に到達するかがキモとなるため、エンジンのパワーは非常に重要です。

高いパワーを得るためにはさまざまなチューニング方法がありますが、その中でもNOSは装着するだけで簡単にパワーを向上させられるため、人気のチューニングとなっています。

でもお高いんでしょう?と思うかもしれませんが、NOSの導入にかかる金額は、他のパワーをアップさせるチューニングに比べ安く済みます。そのことも人気になった理由のひとつです。

爆発するって本当?

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NOS=ニトログリセリンは間違い

日本ではニトログリセリンを連想させる「ニトロ」と呼ばれることなどから、NOSは爆発しやすいものというイメージを持つ方も少なくありません。

しかし、わずかな衝撃でも爆発を起こすニトログリセリンと違い、亜酸化窒素はそれ単体で爆発を起こすことはありません。

亜酸化窒素は別名「笑気ガス」と呼ばれていて、全身麻酔など医療目的での利用が有名です。ニトログリセリンと比べれば格段に安全な物質と言えますね。

とは言え、亜酸化窒素を吸引すると酩酊状態になることなどから、乱用する人が続出。指定薬物として指定されているため、取り扱いには十分な注意が必要です。

憧れの「NOS」を取り付けたい!

©Jason/stock.adobe.com

NOSは専門のチューニングショップなどで販売がおこなわれています。買ったらすぐに使えるわけではなく、車への取り付け・加工が必要です。

一般的にはチューニングショップで作業を依頼しますが、中にはDIYで取り付けをおこなう猛者もいるようです。

日本ではメジャーではない

アメリカでは人気のチューニングとなっているNOSですが、日本ではあまりメジャーではありません。それはドラッグレースが日本ではあまり人気でないことや、前述の「NOSは危険」というイメージが原因となっています。

メジャーなチューニングでないため、日本にはNOSに関するノウハウがあるチューニングショップも少ないです。「自分の車にNOSを装着したい!」という方は、まずチューニングショップを探すのに苦労するでしょう。

装着したあとも補充が必要

さらに、NOSは装着すれば終わりではありません。ガソリンと同じように、NOSを使えば使うだけ亜酸化窒素は減っていくため、補充することも考えなければいけません。

亜酸化窒素は指定薬物なため補充作業には資格が必要です。NOSを補充するたびにお金が発生するのはもちろん、資格がある店などに預けなければならないため、NOSを扱うチューニングショップが少ない日本ではなかなかハードルが高くなってしまいます。

NOSにあわせたチューニングが必要

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手軽かつ安価にパワーアップが可能になるNOSですが、NOSを装着するだけで済ませてしまうのは危険です。

高いパワーを得たのなら、それに見合うブレーキやサスペンションなど、エンジン以外の箇所もチューニングしましょう。これらを怠れば最悪の場合、車の制御ができないまま自分はおろか周囲も巻き込む大事故になってしまうかもしれません。

また、最高速を上げたい場合は、NOSの装着だけでは不十分な場合があります。トランスミッションにも手を入れることを検討しましょう。

NOSの装着以外にもやることはいっぱい!

以上のことから、NOSを装着しても、車全体のチューニングもおこなわなければ宝の持ち腐れ。

パワーだけでなく、さまざまな箇所にまで目を向け全体のバランスを整えることが「チューニング」の醍醐味です。

レースの世界では禁止されていることが多い

速さを追求するために全体のバランスを整えられたレーシングカーは、NOSを搭載する準備が万端と言えます。

しかし、NOSはモータースポーツの世界では禁止されていることがほとんど。F1やSUPER GTといった国内の有名レースでも禁止されているほか、ドリフトパフォーマンスによる派手さが人気のD1でも、以前は一部のドライバーが使用していたものの、現在は禁止となりました。

もしNOSを装着した車でレースに出たい場合は、NOSの使用が禁止されていないかをしっかり確認しましょう。

装着しているだけでも注目度抜群

©Luciano Meirelles/stock.adobe.com

実際に使用するかはさておき、映画などで知名度が高いNOSは、搭載していることをアピールするだけでも注目度は抜群!室内にNOSのタンクが鎮座している様子は、見る人を驚かせること間違いなしです。

公道で使う機会はほぼないですが、「人とは違うカスタムをしたい!」という方はNOSを搭載してみてもいいかもしれません。ただし、実際に使用する際は、しっかりとパワーを受け止める準備をお忘れなく!

執筆者プロフィール
MOBY編集部 高山 志郎
MOBY編集部 高山 志郎
平成元年生まれ、東京都出身。学生時代にモータースポーツ活動を開始し、大小さまざまな耐久レースへ参戦。優勝の経験も持つ。エンジニアとして複数の業界を渡りながら趣味で車やバイクに触れ続け、縁あって自動...

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