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エアブレーキとは?ベタ踏み厳禁なのはなぜ?仕組みと踏み方のコツを解説

エアブレーキとは

©naka/stock.adobe.com

圧縮空気が使われるブレーキ

エアブレーキとは制動力を発生させる(ブレーキをかける)ときに圧縮空気を利用する仕様のブレーキです。大型トラックやバスなど車両重量が大きい車両に採用され、反対に小型乗用車や普通乗用車に搭載されることはありません。

私たちが日常的に運転する乗用車のブレーキは油圧ブレーキですから、エアブレーキを知る前にまず油圧ブレーキの構造を把握しておくと理解しやすいでしょう。

油圧ブレーキとの違い

油圧をきっかけとして制動力を発生させるブレーキは油圧ブレーキと呼ばれていますが、油圧ブレーキでは制動力を生み出すのに油圧が使われるのに対し、エアブレーキでは必ずしもそうではありません。

ブレーキペダル踏力がマスターバックによって増大され、その力でマスターシリンダーのピストンを押し出して油圧を発生させることが油圧の基本構造ですが、エアブレーキはマスターシリンダーを押す力にペダル踏力と圧縮空気が使用されます。

さらに、フルエアブレーキなら液圧が必要ないためそもそもマスターシリンダーがありません。エアブレーキにも油圧ブレーキと共通する要素とそうでない要素があるということです。

エアブレーキの種類と仕組み

エアブレーキにも種類があり、フルエアブレーキと空気油圧複合式ブレーキに分類することができます。

フルエアブレーキとは

フルエアブレーキは油圧を使わないエアブレーキです。つまり、マスターシリンダーの押し出しからブレーキピストンの押し出しに至るまで、油圧(ブレークフルード)が利用されず、圧縮空気が完全に油圧の役割を担うことになります。

空気油圧複合式ブレーキとは

空気油圧複合式ブレーキは、エアブレーキと油圧ブレーキを組み合わせた機構のブレーキです。ブレーキペダルを踏んだときに圧縮空気がマスターシリンダーへ送られてピストンを押し出し、マスターシリンダーピストンが油圧を発生させてブレーキ側のピストンを動かして制動力を生み出します。

フルエアブレーキと空気油圧複合式の制動力の違いは?

フルエアブレーキと空気油圧複合式の制動力を比較した場合、フルエアブレーキのほうがより大きな制動力を生み出します。圧縮空気が油圧よりも大きな力を働かせるからです。ゆえにフルエアブレーキが大型車両の標準ブレーキになっているわけです。

エアブレーキの特徴

©smiltena/stock.adobe.com

エアーコンプレッサーが搭載されている

エアーブレーキの車両にはエアーコンプレッサーが装着されています。これは圧縮空気を生み出すこと、そしてブレーキ操作で減少した圧縮空気を補うためです。圧縮空気が減ると時間差でコンプレッサーが回り、貯蔵庫であるエアタンクへ空気を送ります。

運転席のメーターにはエアタンクの空気量のインジケーターがあり、これを見ればどれくらい空気が残っているのかを確認できます。通常目盛りは白いところにありますが、ブレーキの使い過ぎで赤色の目盛り(レッドゾーン)に達すると警告灯が現れます。

大型車に採用される

すでに少し触れましたが、エアブレーキは大型車(トラックやバス)などに採用されています。圧縮空気は強力で、強い制動力を発揮することができるからです。トラックやバスが停車するときにプシューという音が聞こえますが、あれは使用された圧縮空気が大気へ放出される音になります。つまり、エアブレーキ車両かどうかはこの音で外から見分けられれるということです。

エアブレーキ車のブレーキペダルはオルガンペダルが使用される

エアブレーキ車両のブレーキペダルはオルガンペダルタイプのものが多く採用されています。オルガンペダルは縦長の形状で床に設置されたペダルです。乗用車でよく見かける上から吊るされるように固定されたペダル吊り下げ式と呼ばれています。

オルガンペダルの動きは実際にブレーキを踏むときに足が描く軌跡に近く、吊り下げ式よりも踵を床につけた状態で運転しやすくなり、コントロール性が高くなります。別の言い方をすれば、足裏全体を使ったペダル操作が可能です。

エアブレーキのメリット

制動力に優れる(大きな踏力を生み出せる)

エアブレーキのメリットの1つは制動力に優れていることです。エアブレーキ車に搭載されている。油圧ブレーキとエアブレーキが同じ大きさで、同じ踏力でブレーキペダルを踏んだ場合、エアブレーキは油圧ブレーキよりも高い制動力を発揮します。

フェード現象が発生しない(フルエアブレーキ)

フルエアブレーキの場合、ヴェーパーロック現象が構造上発生しない点もメリットと言えるでしょう。ヴェーパーロックは高温になったブレーキフルードが沸騰してフルード内部に気泡を生じさせ、制動力が弱くなるというものです。フルエアブレーキは油圧を使わずにブレーキピストンを動かすのでブレーキフルードが存在せず、そもそもヴェーパーロック現象が発生する要因がありません。

エアブレーキのデメリット

ブレーキフィーリングが油圧ブレーキとは異なる

エアブレーキのデメリットの1つはブレーキフィーリングが油圧ブレーキと異なることです。その理由はエアブレーキの制動力の高さにあります。

エアブレーキの効きは油圧ブレーキより高いとすでに紹介しましたが、それゆえにブレーキペダルを踏むときのコントロールが難しくなってしまうのです。油圧ブレーキの感覚でエアブレーキを踏むとまるで急ブレーキがかかったようになるのは、想像するに容易でしょう。

中型自動車免許を取得するべく自動車学校へ通い始めて初めてエアブレーキ車両を運転したときにエアブレーキの感覚に驚いたり、慣れるのに時間がかかったなどはよく聞く話です。

バタ踏みするとブレーキ性能が低下する

2つ目のデメリットはばた踏み(ブレーキペダルを踏んだり緩めたりを何度も繰り返すこと)するとブレーキ性能が低下することです。短時間で圧縮空気が消費されることでマスターシリンダーを押す力が弱くなり、ブレーキ本来の性能を発揮させるのに必要な油圧が発生しなくなります。

例えば、下り坂でブレーキペダルの踏み戻しを頻繁に繰り返すと、気がついたら圧縮空気が激減して制動力が下がってしまったというケースも発生しかねません。国土交通省は2013年にエアブレーキ搭載車両でのブレーキバタ踏みに関する注意喚起をしています。

エアブレーキ搭載車の運転方法(ブレーキの踏み方)

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エアブレーキは油圧ブレーキと比べて、ブレーキ時のペダルフィーリングに違いがあると少し触れました。ここでは、エアブレーキ搭載車の運転方法、特にブレーキの踏み方(かけ方)を考えます。

何回かに合わせてブレーキペダルを踏む

ブレーキペダルを踏むにあたり、段数をできるだけ増やすと良いでしょう。例えば、ブレーキペダルを踏んでいない状態を0、フルブレーキングしたときの踏み具合を10とすると、1、2、3…といった踏み具合のバリエーションを増やすという感じです。

エンジンブレーキと組み合わせる

圧縮空気不足などによる制動力不足に陥らないために、減速時には必要に応じてエンジンブレーキとブレーキペダルによる制動力を組み合わせることが不可欠です。速度が出やすくてなおかつカーブが頻繁に訪れる下り坂の道路では必ず併用しましょう。

また、中型自動車やそれよりも大きいサイズの自動車には排気ガスを利用した制動システムである排気ブレーキもありますので、これも併せて使い分けましょう。

エアブレーキが搭載されているのは中型・大型のトラックやバスであり、働く車の専用装備品と言っても間違いではないでしょう。

今回紹介したエアブレーキをはじめ、はたらく車には日常使いの車にはない個性的な装備があることがわかります。

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執筆者プロフィール
中華鍋振る人
中華鍋振る人
自動車とバイクに関連する記事を書いています。モータースポーツは観戦よりも参戦派。道交法や違反に関する情報を、法律に詳しくない人にもわかりやすく解説しています。
監修者プロフィール
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...

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