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パッシングの意味と正しいやり方は?あおり運転の罰則対象やトラブルにならないために

パッシングの意味は状況によって変わるため、使うべきタイミングを理解していないとトラブルや事故の原因になります。誤った使い方をすると、嫌がらせや煽り運転とも捉えられかねません。

無用のトラブルを避けるためにも、パッシングを使う際のマナーや注意点などの使い方を知っておきましょう。

パッシングとは?意味とやり方

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パッシングとは、ヘッドライトのハイビームを瞬間的に点灯・点滅させ、前方へ視覚的な合図を送る方法です。

名称の由来は、追い越し・追い抜きを意味する英語のPassing。「進路を譲ってほしい」「これから追い越すので、車線変更をしないでください」と伝えたいときにするのが元来の使い方です。

しかし、前方の車両に注意を促したり、お礼として感謝の意思を伝えたりするときなどにも用いられます。ときには反対の意味として捉えられる場合があるため、状況にそぐわないパッシングはトラブルの元となります。

このようにパッシングの使用方法に明確な規定はなく、国や地域、個人によっても認識が違うため、不用意に使うと意思の齟齬から事故が起こってしまう可能性もあります。

何回がベスト? パッシングの操作方法とマナー

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多くの車はヘッドライト点灯の有無に関わらず、ウィンカーレバーを手前引くとパッシングが行われる構造になっています。

レバーを引いている間は、眩しいハイビームが点灯しっぱなしになるため、前方のドライバーの迷惑になる恐れがあります。パッシングは、短く1~2回程度素早く引く操作で行ないましょう。

長いパッシングや過剰に連続したパッシングは視覚的に鋭い刺激となり、悪意と捉えられやすくなる点にも注意が必要です。また、ドライバーの癖によって常用するパッシングの長さや回数も異なります。

連続的なパッシングほど「危険!」「注意して!」など、重要かつ緊急の意味を示すことが多いため、そのようなパッシングをされた場合は、自分の運転や周囲をすぐに確認してみましょう。

パッシングとハイビーム、使い方や操作方法の違いは?

ハイビームはウインカーレバーを奥(前方)に倒せば点灯状態が保持されるのに対し、パッシングはレバーを手前(後方)に引いたときのみ点灯します。

手を離せばレバーが戻って消灯するため、一瞬だけレバーを引くことでカメラのストロボライトのようにハイビームを点灯させ、前方の注意を引くのがパッシングの使い方です。

また、ハイビームはヘッドライトがONの状態でなければ点灯しませんが、パッシングはヘッドライトオフ時でも引くだけで点灯するため、昼間でも即時、注意喚起の合図として使えます。

パッシングの意味は?されたらどうする?

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パッシングの意味は?

一般的なパッシングには、状況や応じて以下のような意味が込められています。

追い越し

  • 前方の遅い車に追いついた状況では「進路を譲ってください」
  • 2車線以上の道路で走行車線を走行中の場合は「これから追い越すので、車線変更をしないでください」

道を譲る

  • 右折時に出すパッシングは「先に直進してください」
  • 狭い道で脇に寄ってから出すパッシングは「こちらが避けますので進んでください」
  • 合流地点では「先に合流してください」

道を譲りたくない

  • 右折時に出すパッシングは「こちらが先に右折します」
  • 狭い道でのパッシングは「こちらが先に行きますので避けてください」
  • 合流地点では「こちらが通過してから合流してください」

対向車への警告

  • 「ハイビームが眩しい」
  • 「ヘッドライト・フォグランプの消し忘れ・点け忘れの警告」
  • 「ヘッドライト等の光軸ズレ・球切れの警告」

対向車へ進行道路上の注意を促す

  • 「この先の道路で警察が検問やネズミ捕りを行っています」
  • 「この先の道路上で、落下物や交通事故など何かしらの異変があります」

前走車へ異常を教える

  • 「トランク・リアハッチ・給油口が開いています」
  • 「ブレーキランプ等が球切れています」
  • 「リアフォグランプを消し忘れています」
  • 「その他、後続車からでなければ気づかないようない車の異常の指摘」

感情を伝える

  • 「道を譲ってくれてありがとう」
  • 「強引な割り込みや、急停車など危険な行為に対する抗議」

緊急事態を車外に知らせる

  • タクシーやバスが繰り返し行なうパッシングやハザードは「強盗やバスジャックなどが起きていますので、異常事態として警察へ通報してください」

パッシングをされたら取るべき行動

右折時や合流時のパッシング

右折時や合流時にパッシングされた場合は、パッシングした車との距離や速度によって対応が変わります。距離が離れていたり、速度が遅い場合は先に右折や合流をしましょう。

パッシングした車との距離が近い場合や、速度が速い場合はその場から動くべきではありません。

ただし距離や速度の感覚は個人によって異なるため、いずれの場合であっても確実に安全と判断できない場合はパッシングした車の通過を待つのが賢明です。

対向車線からのパッシング

前方の対向車線からパッシングされた場合は、ヘッドライトや道路前方の異常を伝えるためのパッシングが考えられるため、まずは緩やかに車速を落としましょう。

そのうえでヘッドライトの消し忘れやハイビームの戻し忘れなどのチェックと、速度違反取締(ネズミ捕り)や進路上の落下物への警戒のために前方確認を行うべきです。

後方からのパッシング

後方からパッシングされた場合は、追い越し・追い抜きの合図、もしくは後方からでなければ気付けない異常への警告である場合が考えられます。

どちらであるかは判断ができないため、そのままの進路と速度を保つことが大切です。追い越し禁止区間であれば、左ウインカーを出して緩やかに速度を落とし、道を譲ってしまいましょう。

その後、安全な場所へ車を停めてリアフォグランプの消し忘れやテールランプおよびブレーキランプの球切れや、トランクやリアハッチ、給油口の閉め忘れなどがないかを確認しておくと安心です。

【注意】同じ状況下でまったく逆の意味であることも

同じ状況下で使う「道を譲る・譲りたくない」の意思表示は、まったく逆の意味になってしまう点に注意が必要です。

とくに右折時のパッシングは、関東では「道を譲る」の意味であるのに対し、関西では「譲りたくない」を意味することが多く、さらには個人によっても使い方が異なります。

パッシングの長さや回数によってある程度判断はできるものの、それも絶対ではありません。遠方に旅行をするときにはパッシングの土地ごとの使われ方にも注意しましょう。

衝動的な抗議のパッシング操作は、相手からの反感を買う場合がありトラブルに発展する恐れがあります。

うざいパッシングは違法?罰則は?

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クラクションとは異なり、パッシングには明確な違反規定はなく、パッシングをしただけで違反に問われることはありません。ただし過剰なパッシング行為は「減光等義務違反」に抵触する場合があり、その際の罰則は違反点数1点・普通車6,000円の反則金です。

また、パッシング時の前走車との車間距離によっては、煽り運転(妨害運転)として誤認されてしまう危険性があります。

妨害運転として認められた場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金、および違反点数25点で免許取り消し後、欠格期間2年の刑事罰・行政罰が科せられます。

パッシングされたら進路を譲るべき? 追い越される側の法規

パッシングを受けた側にも進路を譲らなければならないといった決まりもありません。

ただし、法定速度未満で走行していた場合は、左に寄って進路を譲らなければならず、追い越される際にも速度を増してはなりません。

進路を適切に譲らなかった場合は「追いつかれた車両の義務違反」として、違反点数1点・普通車6,000円の反則金が科せられます。また追い越される際に悪質な行為があった場合も妨害運転として罰せられる可能性があります。

一方、海外ではパッシング使い方がしっかりと決まっていたり、明確な規定が設けられている国もあります。海外で運転する際には、現地国でのパッシングの使い方と意味を事前に確認しておきましょう。

今やパッシングはあおり運転? トラブルを避ける方法

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パッシングは単純なシグナルでしかないため、お互いの認識が異なっては誤解や事故を招く恐れがあります。とくに煽り運転が厳罰化され、トラブルのニュースが大々的に報じられた現在において、後方からのパッシングは煽り運転と捉えられかねません。

本来の意味である追い越し時にパッシングをすると、ほとんどの人が煽り運転と誤認することでしょう。

また、感謝の意味を込めたパッシングもさえも、相手が「ありがとう」の意味と捉えてくれるとは限りません。さらに、パッシングで右折を譲ったあげくに起こる「サンキュー事故」もあります。

トラブル回避のコツは「パッシングを極力使わない」

パッシングによって起こるトラブルを避けるには、誤解を招きやすい極力パッシングを使わず、可能なものはハンドサインやウィンカーなどで代替するのが賢明です。

いざパッシングを使う際は、本当に使わなければいけない状況であるかを考えましょう。パッシングをされた側は腹を立てる前に、パッシングをされた理由を考えましょう。

緊急事態か悪意でもない限り、パッシングを使わなければいけない状況はそれほど多くありません。お互いが交通ルールに則った正しい運転ができていれば、パッシングはほとんど使う必要はなく、使われることもないはずです。

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執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...

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