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【パナール・ディナZ】深海魚的フランスのクラシックカー

「パナール・ディナZ」

パナール ディナZ
深海魚というかナマズというか、魚類感高い顔つき。

10月6日、7日に長野県車山高原で開催されたフランス車の祭典「フレンチブルーミーティング」の駐車場でひときわ異彩を放っていたのがこちら「パナール・ディナZ」。このモデルは日本に1台だけとか。

この記事では、オーナーのこぼれ話とパナールの歴史にについてお伝えします。

フランスの自動車メーカー「パナール」とは?

パナールはフランスの自動車メーカーで1890年代から自動車の生産を開始、1900年代初頭では高級車メーカーとして名を馳せた。自動車文化の黎明期、1890年から1900年代においてはフロントにエンジンを積み後輪を駆動するFR方式を初めて考案し市販化するなど、当時は自動車技術の最先端を行っていた。

第二次世界大戦後には高級車の生産から撤退、小型車だけの開発、生産に集中、当時としては画期的だったフロントにエンジンを積み前輪を駆動するFF方式をいち早く市販車に導入した。しかし、当時の消費者からは独創的過ぎて受け入れられず経営不振に。1955年にシトロエンの傘下に入る。パナールブランドの車は1967年で終了。

その後は、シトロエン傘下の軍用車専業メーカーとなり、2005年にフランスの軍用車メーカー、オーバーランドへパナールを売却、同時にオーバーランドは欧州で知名度の高いパナールへブランド名を統一して今に至る。

パナール ディナZ

パナール・ディナZは1954年から1960年まで生産された小型乗用車。エンジンは水平対向2気筒850cc。

パナール ディナZ

フロントマスクだけ見るとコンパクトカーに見えますが、全長は4,570mmと長め。ほぼトヨタ・プリウスと同じ全長。全幅は1,600mmと5ナンバーサイズになりますが、堂々とした風格ある車体です。

パナール ディナZ

ずっしり感がありますが徹底した軽量化が図られ、車重は850kg。ホンダ N-BOXよりも軽い車体。軽量なボディはすべてアルミニウム製で、外装を飾るモールにまでアルミニウム素材を使う徹底ぶり。(後述しますが、これはデビュー当時。画像のパナール・ディナZは1958年型でフルアルミニウム製ではない)

パナール ディナZ

しかし、ディナZは販売が振るわずルノーやシトロエンに負け、製造コストの高いディナZをはじめとするパナールのディナシリーズは1955年のシトロエン傘下入りを期に、徐々にアルミニウム製部品が安いスチール製に置き換えられ、1960年にはついにオールスチール製になったのでした。オールスチール製になったとき、ディナZの名称は「PL17」に改められて終わったのでした。

パナール ディナZ

最高出力は42馬力を5,000回転で発生、車重850kgに対して排気量850ccの「1cc=1馬力」とした当時としてはハイパフォーマンスを誇りました。

パナール ディナZ

当時としては珍しいFF。現在でも革新的なシトロエン。パナールが革新的な自動車メーカーであったことがここからもわかります。

パナール ディナZ

オーナーさんの話では、点火プラグの脱着にはレンチが入らず(赤いケーブルが点火プラグに接続。その接続部分に明らかに邪魔になる棒が存在)、それ用のレンチを作ったとのこと。

パナール ディナX

また、エンジンはフロントバンパーに沿うように並行して配置される排気管の上に鎮座。さらにその排気管は左右のフェンダーにそれぞれボルト1本だけで固定されているとのことで「フェンダー当てたらエンジン落ちるね。」

オーナーさんはとてもオシャレなファッションに身を包んだ男性。とてお似合いでした。

末永く大切に乗っていただきたいですね。

フレンチブルーミーティング

第33回フレンチブルーミーティングでの素敵な出会いでした。

取材・撮影:MOBY編集部 宇野 智

執筆者プロフィール
宇野智
宇野 智
モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...

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