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GRガレージ × MOBY 対談「夢はトヨタ100%ピュアスポーツカー」

GR Garageの室長と次長にMOBY編集長がインタビュー…のはずが、クルマ好き同士の熱い対談に?トヨタのスポーツカーづくりやGR Garageを訪れるお客様のお話など、盛りだくさんでお届けします。

GR Garage 室長 塚越氏と次長 山内氏と対談

GRガレージ インタビュー

GR Garage 東京三鷹にてインタビュー。右側がGRガレージ室 室長の塚越氏、左側が専任次長の山内氏

「SUPRA is Back」復活した新型スープラで話題のトヨタのスポーツブランド“GR”の専門ディーラー「GR Garage 東京三鷹」を取材。GR Garage 室長の塚越 富夫氏と専任次長でGRコンサルタントの山内 淳氏のお二方に、MOBY編集長、宇野がお店とGRのクルマについてお話を伺ってきました。

そもそもGR Garageとはどんなお店?

山内氏:トヨタ自動車は市販車をサーキットに持ち込んで鍛えているんですけど、それを新車にフィードバックしていく。その集大成がGRの車両です。

塚越氏: GR Garageはその車、つまりスポーツカーを売る店といった認識をしてもらえればいいんじゃないかなと。

MO宇野:なるほど。どんなお客さんが来店されますか?

山内氏:車が好きな方、カスタマイズされている方、自分しか乗っていないような車に乗りたい方が多いですね。

宇野:一般の方には、こういうスポーツブランドの車に乗るには運転がうまくないとダメ、というイメージがあると思いますが…どうですか?

山内氏:むしろ市販車レベルよりも、走る・曲がる・止まる、というのがしっかりできているので、逆に免許取り立ての女性の方が乗っても安定性も高いです。スポーツブランドの車は安全な車、ということも言えるかもしれないですね。

GRガレージ インタビュー

“ハコネ”86と同じ「ブリティッシュグリーン」の86のカタログを見せる塚越氏。

塚越氏:確かに、運転がうまい方や車が好きな方がこういう車を求める傾向にはあるんですけど、この前「緑の色が気に入ったので、この車を買いたい」っていうお客さんがいらっしゃったんです。緑の86なんですけど、この色が気に入ったと。その方は車の運転とか内容よりも、色が心に刺さるって言ってました。

だから、いろんな楽しみ方があると思うんです。運転するのを楽しむっていう方も、横から自分のずっと眺めているのが好きだっていう方もいらして、人それぞれ。でもそういう人たちに共通するのは、「ちょっと人と変わったような車がほしい」ということなんです。

僕が印象に残ったのはそういうお客さんですね。車に乗っている話よりも色の話をして、これがいいって言って買ったというね。

宇野:この緑の86は、北米だと「ハコネ」っていう名称だそうですね。

山内氏:そうですね。

塚越氏:日本を思わせる色なのかもしれません。強烈な緑っていう、あんまりない色ですよね。

クルマは見た目も大事!スポーツカーはカッコいい

宇野:実際、車の見た目から入る方がたくさんいらっしゃるなって、私もすごく実感しています。カスタムされた車ってカッコいいじゃないですか。

塚越氏:スポーツカーって、運転する魅力もあるんですけど見た目がカッコいいですよね。自分がこの車持ってたら人からもそうやって見られるなと思う、そういうワクワク感も実際にあるんじゃないですかね。スープラなんかも非常にカッコいいですよね。

宇野:そうですね。GRスープラに少しだけ乗りましたけど、内装がかなりスポーツカーって感じで。

塚越氏:そう、だから皆さんのスポーツカーのイメージってそういうことだと思うんです。実際にこの性能を極限まで使う場面がどこにあるかっていうと、普段の日常生活で乗ってたらそんなにない。むしろそのイメージを持ちながらその車を運転していきたいっていうところじゃないかなと。ただ僕らはその夢を与え続けるというか、持ってもらうというように努力しなければなりませんよね。

トヨタのスポーツカーづくりに物申す!

トヨタ GRスープラ 発表会

新型GRスープラ発表会のステージ。

夢のトヨタ100%ピュアスポーツカー

宇野:GRスープラの発表会のときに、友山プレジデントが「トヨタ100%のピュアスポーツカーを作りたい」とおっしゃっていて。販売台数が伸びていけば実現するんじゃないでしょうか。

塚越氏:そうですね…トヨタはまだスポーツカー作るの、あんまりうまくないですね。もうちょっと修行しないと。86もスバルとの開発でしょ?スープラもBMWとでしょ?自分たちで全部を開発するところには至っていません。もうスポーツカー作りに関して、もう一段階くらい上に行くことができればピュアスポーツカーも実現できるかもしれないですね。まだまだ何かが抜けてるんです。

宇野:逆に、トヨタとスバルの共同開発して誕生した86とBRZ、歴史を遡れば、トヨタ2000GTのエンジンがヤマハ製であったということをを振り返れば、魅力的な技術を持つ力あるベンダーさんと手を組むという、トヨタさんのスポーツカーの作り方が、もしかしたら名車を生むきっかけになっているのかもしれないですね。

塚越氏:そうですね、血が混ざり合ってね。

宇野:逆にそれはトヨタさんじゃないとできないことなんじゃないでしょうか。

塚越氏:なるほど。それも一理あるかもしれないですね。まあでも、トヨタの社員側から見ると、「自分で作れ」って言いたいですよね。なんで他の会社と一緒じゃないと作れないの?っていうのは、まあちょっと言いたいところです(笑)自分の会社のブランドでありながら、トヨタの匂いのしない部分もあるんです。全部トヨタの匂いにしてほしいなって思うんですよね。

トヨタ 2000GT

トヨタ 2000GT。エンジンはヤマハ製。

宇野:確かに新型スープラも、よく知ってる人が見れば「ここの部分はBMWと同じだ!」ってなっちゃいますよね。

塚越氏:ハハハ。もうひと頑張りして、本当の意味のスポーツカーを作ってもらわないと。やっぱりスポーツカーは美しいし、一番安全な車なんですよね。止まるのもきちっと止まるし、走るのもブレないし。ハンドルも一番ラクだし。

ちょっとお高いですけども、安全を買おうと思えば非常にいい車なんです。だから、運転がうまくなくてもいいんじゃないかと思うんですよね。安全な車として乗っていただければいいんじゃないかと。

宇野:新型スープラに試乗したとき、確かにアクセルを強く踏んでも簡単にホイールスピンしないですし、しっかりコントロールされてまっすぐ走りますよね。

塚越氏:スーッといきますよね、曲がるのもスーッと。

山内氏:逆に横向けてドリフトするの大変だと思いますよ。

GRスープラ D1

ドリフトで競うモータースポーツ「D1」、2019年のエキシビジョンで初登場したGRスープラ。ドライバーは斎藤太吾接選手。

宇野:そうなんですね!今年のD1で新型スープラが出てましたから、ドリフト車にしやすいのかな、と思っていました。

新型スープラは注目度も高いですし、これから街中で走る姿がちょっとずつ増えきて、またさらに人気が高まるかなと思います。

GRガレージ インタビュー

GR Garage 専任次長 山内氏

中学生や高校生にも遊びに来られるお店に

宇野:私が10代の頃は、いいなと思った車が「将来買いたいな」に結びついたんですけども、今ってなかなかそうはいかなくて。いま幼稚園児に車を書かせると、SUVとかミニバンを描くそうです。昔だったらセダン、男の子だったらスーパーカーを描きましたよね。

塚越氏:スーパーカー描きましたね。ランボルギーニとか。

宇野:いまそういう時代がまた来るかといったら微妙ですけど、そういう子たちがちらほら残っていてほしいなと思いますけどね。

山内氏:この店を立ち上げてから、中学生、高校生が来てくれるようになったんですよ。

宇野:そうなんですか!

山内氏:今まで一般店舗にいたときは、なかなか中学生や高校生が連れ立って来るなんてことは、あまり経験がないんですけど。ここを立ち上げてからかなり来てくれますよ。

宇野:いわゆる昔のカタログ少年ですか。

塚越氏:そうです。こないだも「ここに(GR Garage 東京三鷹)スープラあるって聞いたんですけど…」って、お友達4人で来ましたね。「午前中まであったのに」って言ったら「今日午前中卒業式だったんです…」って残念がってましたけど、一通りレーシングカー見て帰っていきましたね。ああいう子たちが来てくれるのは嬉しいですね。

宇野:昔、私もカタログ少年だったんで。日曜日になると自転車でディーラーまわって、自転車のカゴをカタログでいっぱいにしていました。そういうのも、お店としてはウェルカムですか?

山内氏:ウェルカムですよ!

宇野:見に来るだけじゃなくて、子どもたちに将来買ってもらいたいですもんね。

塚越氏:そういう子が売れっ子YouTuberになって、早くお金を握って買いに来てくれるといいね(笑)

GR Garageが考える「クルマのサークル活動」とは

「クルマのサークル活動」でユーザーと関係を深めたい

宇野:今、車に関してはネットだけの情報でもある程度満足してしまうと思うんですけど、実際にエンジンの音を聞いたり、乗り心地を身体で感じたりする、「乗る機会」も増やしたいですよね。

塚越氏:そうですよね。僕らも車を買ってくれた人たちに、走る機会や一緒になって車で遊ぶことを何かやっていきたいなと思っているんですよ。それを「クルマのサークル活動」って言ってるんです。

塚越氏:今までだと、車を買っていただいたら、どうぞお一人で勝手にどうぞって感じだったじゃないですか。でも車を買った後も、何か一緒にサーキット行って走りましょうかとか、どこかドライブに行きましょうかとか、何か変わった体験とか、またはここでレースの中継を見るとか、車を使ったサークル活動を一緒になってやっていきたいなって思うんです。

今は売っちゃえばその後はあまり関係ない。あとはサービスの点検のときに来ていただければ、という感じだったんですけど、もうちょっと深く付き合える、一緒に楽しめるような企画を考えています。

買っていただいた後も、そういうふうにして繋がっていって、楽しんでいただけるようなことをやっていけると、本当の店になっていくのかなという気がしてるんです。

宇野:お店としてどれくらいの頻度で企画していきたいですか?

塚越氏:1ヶ月に1回はやっていきたいです。とはいえ、言葉はすぐ出るんだけど、実際にやろうとすると大変。実費が出るくらいのお金をいただきながらやっていこうかなと思っています。

宇野:五感が刺激されるって大事ですよね。ドリフトのモータースポーツ、D1もお台場なんかでやると、やっぱり興味がなかった人が音につられて見に行ってハマっちゃうということがあって。いま、SUPER GTなどのレースうを見る人の人口が増えてきている。そういった機会がどんどん増えて、もう一回スポーツカーのブームがきてもいいなと思います。

今後は実用/趣味で、クルマの価値が二極化

無くなるブランド車名や型番呼びの文化には、一抹の寂しさがある

宇野:MOBYの読者は20代から30代の若い世代が中心です。そういう、免許を取って何年かたってきてそろそろ新車を買おうかな…といった方に一番いまおすすめの車を教えてください。

山内氏:20代でひとりで車を買うとなると、ヴィッツかなと。買えるのであれば、86に一度乗っていただきたいですよね。トヨタを代表するスポーツカーですし。

ヴィッツ GRMN

150台限定のヴィッツ GRMN。完売されたが今は、5ドアのヴィッツ GR SPORT を販売中。GR Garage 東京三鷹 にて撮影。

宇野:なるほど。そこからステップアップしていただく…と。マークXは40代50代の方が多いですか?

山内氏:多いですね。

GR Garage 東京三鷹

マークX GRMN。撮影場所はGR Garage 東京三鷹。

宇野:残念ながらマークXは現行で最終型になってしまいますが…終わるとなると、リアルタイムでバブルの時代のマークⅡ3兄弟を見ていた世代からすると、ちょっと感慨深いものがありますよね。

山内氏:多いと思いますよ、やっぱりそういう方は。

宇野:やっぱりディーラーの方もなくなって寂しいなと思われますか?

山内氏:今トヨタって、コロナとかスターレットとか、昔からあるブランド名をけっこうスパッとやめてしまうじゃないですか。それはやっぱり寂しいですね。

宇野:逆にリアルタイムに知らない人も、名車と言われた車の名前は知っている方が多いんです。名前から連想するものもありますし、型番で呼んだりとか。そういう文化っていうのも、GRっていうブランドを通じて残していってほしいなと思います。


GAZOO Racing Company プレジデント友山茂樹氏のA80スープラ

山内氏:そういえば最近、トヨタの車は型式で呼ばなくなってきていますよね。

塚越氏:スープラでも「80(ハチマル)」「70(ナナマル)」とか言いますもんね。型式って作り手が使うナンバーなんですけど、よくみなさんお使いになってますよね。ありがたいことです。

宇野:新型スープラのときは、カモフラージュ柄のときは「A90」ってボディサイドに入っていましたよね。

トヨタ スープラ 2019

東京オートサロン2019で展示。A90の文字が確認できる。

山内氏:「免許取って1台目に何を買うの?」っていう選択肢は、イプサムとかbBのあたりから変わってきましたね。

宇野:たしかに。スポーツカーよりも居住性重視のミニバンSUVが選ばれるようになった時代ですね。

あの頃ってもう、2ドアクーペの隆盛が終わったくらいかな。スープラもそうですけど、日産ならシルビア、ホンダならプレリュードといった、スペシャリティカーを、若い人ならちょっと手が届かないからソアラを中古で買うとか、そういった時代でしたよね。

GRガレージ インタビュー

GR Garage 専任次長 山内氏

塚越氏:自動車も大きく分けると、居住性がよくて運転がラクな自動運転車と、運転する楽しさが味わえる車に二極分化していくんじゃないかという気がしますね。中途半端な車はだんだんなくなってくる。

大半は自動運転とか、そういう流れに入るんですけど、そっちに行けばいくほど、それに飽き足りない人が出てくる。だからそういう意味で求められるのが面白い車でしょう。走って面白い車、カタチもカッコいい車がいいっていう層が出てくるんじゃないかと。

だからそういう意味で、こういうGRのリアルガレージみたいなところでそっちへ飽き足らない人を吸収するというか、その土壌を作っていくのは大事なことじゃないかなと思います。それは自動車業界にとっても大事なことで、その土壌をなくしてしまうのはよくない。

これから20年30年、自動運転化が進んでも、それなりの需要はあるんじゃないかなと、そういう感じを持っていますけどね。

宇野:例えばベンツのAMG、BMWのMは、そういったスポーツブランドで独立した名前になっていますね。GRも着実にそのステージにきているんじゃないかなと思います。

塚越氏:だんだん目指す方向はそういうふうになっていくと思いますよね。それを求める人は必ずある一定数出てくるような気がします。将来はそれが意外と割と贅沢なことになるかもしれないんですけど。

塚越氏:やっぱり「お金がないと買えない」っていうのは、いつまでもつきまとうような気がしますけども。お金のない人に買ってもらうスポーツカーが作れるかっていうと、なかなか難しいですね。やっぱりそれはある種それなりのコストがかかってきますし。

でも、あと何十年かすると年齢に関係ない所得の階層ができてくるんじゃないかと思います。今までわりと高齢者=所得の高い人でしたけど、これからは若くても所得の高い人が、こういう車を求められるかたちになってくるんじゃないかと。社会が若いうちからビジネスチャンスを掴む機会が多くなっていますから、若い人が買いたい車づくりが必要になってくると思いますね。

GR Garage 東京三鷹|店舗情報・アクセス

GRガレージ東京三鷹

GR Garage 東京三鷹

住所:東京都三鷹市野崎4-7-10
電話:0422-39-6586
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜日
※7月、9月、10月、11月、2月、3月の第1月曜日は休業


クルマに乗る楽しさや遊ぶ機会も増やしてほしいというGR Garageの「クルマのサークル活動」についてお聞きしました。クルマの価値が変わってきた現代。GR Garageとユーザーとが一緒になってクルマで遊べる「サークル活動」は、自動運転化や電動化が進む時代だからこそ求められる場なのかもしれません。カッコいいクルマ、運転して楽しいクルマを求める人がいる限り、GRブランドは刺激的な新型車を作り続けてくれることでしょう!

インタビュアー、撮影:宇野 智(MOBY)
編集:池田貴美(MOBY)

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