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SOHCとは?現在主流のエンジンに弱点はないのか?
SOHCとは1本のカムシャフトで駆動するエンジンです。OHVに代わる画期的なエンジンとして登場したSOHCエンジンは、高回転高出力化を可能とし、当時の乗用車がもつ性能を大きく引き上げました。現在でもコストパフォーマンスに優れた実用エンジンとして活躍しています。
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SOHCの歴史 当時は画期的なエンジンだった
SOHCとは「シングル・オーバー・ヘッド・カムシャフト」の略称。その名のとおり、エンジンヘッドに備わった1本のカムシャフトで吸排気バルブを駆動するエンジンであり、単にOHCとも呼ばれます。それまで主流だったOHVに対して、SOHCはカムシャフトをエンジンヘッドに移動することで、カムの動きをより正確にバルブを駆動させ、より高回転化と高出力化を実現したエンジンです。
1960年あたりから自動車へ用いられるようになり、1979年に発売した4代目トヨタ カローラへの搭載。以降、大衆車への搭載が拡大し、製造コストと出力性能、燃費性能のバランスに優れた実用エンジンとして現在に至ります。
最大の特徴「オーバーヘッド・カムシャフト」
SOHCは、カムシャフトをエンジンヘッドに移動させたことで、OHVの長いプッシュロッドが及ぼす重量と弾性変化、熱膨張によるバルブ追従性の低さを大きく改善したエンジン。その結果、OHVよりも高回転高出力化が可能になり、車の性能を大きく向上させました。
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SOHCの弱点デメリット
クランクシャフトから離れた位置にあるカムシャフトをタイミングベルトやチェーンで駆動させているSOHCエンジンは、ベルトやチェーンの定期的なメンテナンスが必要です。ベルトやチェーンが劣化・損傷をすると、適切なバルブタイミングを維持できなくなりエンジン不調に陥ってしまいます。
また、OHVに比べ、エンジンヘッドが大型化するため、エンジンの重心が高くなってしまうことも些細とはいえデメリットです。
OHCの上位互換「DOHC」
SOHCとDOHCの図解動画
吸気と排気にそれぞれ1本づつのカムシャフトを備えるエンジンがDOHC。1気筒4バルブを容易に実現可能で、吸排気効率が飛躍的に向上するDOHCは、SOHCよりもさらに高回転高出力化させることができるレースエンジンの技術です。しかし、複雑化する機構による製造コストの増加と、高出力化による排出ガスの増加がネックとなります。
1970年大気浄化法(マスキー法)が制定されたのを期に、多くのメーカーがSOHCを主力エンジンに据えるなか、唯一トヨタだけがSOHCエンジンとともに、環境性能と出力向上を目指したDOHC「ツインカム」エンジンを開発し続けました。
DOHCとSOHCの性能差
技術の向上によりSOHCでも4バルブが実現できるようになったため、高コストであるDOHCはおもに高性能車用のエンジンとして生産され、2000年ころまでの多くの実用車にはSOHCエンジンが搭載されていました。現在は設計自由度の高さから、各メーカーではDOHCの一本化が進んでいる一方、ホンダと三菱だけはSOHCの有用性に着目し、車種によってSOHCとDOHCのつくり分けをしています。