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【メルセデスベンツ 300SL / W198】世界初の直噴エンジンを積むプレミアム・オールドクーペ

300SLはベンツのなかでも忘れてならないオールドクーペ。ガルウィングと世界初の直噴エンジンを搭載し、その原点はレーシングカーでした。レースファンの度肝を抜いたプロトタイプからはじまるメルセデスベンツ・300SLの華々しい歴史と魅力にせまります。

ベンツ創業者の妻は世界初の女性ドライバー兼メカニック

メルセデスベンツ 300SL オートモビルカウンシル2019

レース用プロトタイプとして開発された300SL。当初ベンツは市販化の予定はしていなかった。

メルセデスベンツは、現ダイムラーが展開する世界でも有数のカーブランド。そのはじまりは、創業者の一人であるカール・ベンツの開発した世界初となる原動機付き3輪車「ベンツ・パテントモーターカー」までさかのぼります。パテントモーターカーは、世界初の自力走行可能な自動車としてドイツ政府から認定を得、販売しますが当初の売れ行きは芳しくないものでした。

そこで、カール・ベンツの妻ベルタ・ベンツはパテントモーターカーを利用し、母の住む100km先の実家までの長距離ドライブを思いつきます。女性初となる自動車での長距離ドライブは、このモデルの問題点をさぐるのに非常に効果的で、急こう配の坂を上るにはギアが必須であること、ブレーキには摩擦材が効果的であることなど、その後の改良点をメカニックさながら提案。カール・ベンツも実際に改良をくわえ次期型モデルに生かしました。

当時ベルタ・ベンツが旅したドライブコースは「ベルタ・ベンツ・メモリアルルート」として、今でも2年ごとにクラシック・ラリーレースが開催。のちに、数々のレースカーを誕生させ、F1にも参戦することとなるメルセデスベンツの女性ドライバー第1号ベルタ・ベンツは、優秀なメカニックであり秀でた広報担当でもあったようです。

300SL開発のきっかけは過酷な公道レースのワークスカー

メルセデスベンツ 300SL オートモビルカウンシル2019

ホイールアーチ上部のフィンも300SLをエレガントに見せている。

メルセデスベンツ 300SL オートモビルカウンシル2019

水冷直列6気筒エンジンは進行方向左に向け傾斜して搭載され、世界初となるボッシュ製直噴システムが採用。

1954年のニューヨーク国際オートショーにおいて、華々しいデビューを飾ったメルセデスベンツ 300SL。その開発のきっかけとなったのは、ベンツワークスチームがレースで使用するためのプロトタイプカーとしてでした。1952年に開催された世界一過酷な公道レースとされる「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」での300SLの勝利は瞬く間にアメリカのレースファンのあいだに広まり、300SLの名は一躍有名となります。

当初は市販化予定のないモデルをアメリカの有力インポーター(車の輸入業者)であったマックス・ホフマンがベンツに掛け合い、市販化を実現。オートショーでの発表にこぎつけたのです。300SLは鳥の翼のように跳ね上げる「ガルウィングドア」と「世界初の燃料直接噴射式エンジン」が特徴で、生産台数は1,400台、1957年にはオープントップとなるロードスターに切り替わり生産台数は1,858台となる稀少車です。

世界初の直噴システムはボッシュ製300SLのスペックとは

メルセデスベンツ 300SL オートモビルカウンシル2019

分厚いドアのサイドシル(敷居)は剛性のために必要だった。

メルセデスベンツ 300SL オートモビルカウンシル2019

ステアリングは乗降時の妨げにならないよう前方可倒式だ。殆どレースカー。

メルセデスベンツ 300SLの特徴であるガルウィングドアは、単に見た目の派手さから採用されたものではなく、構造がレース仕様の鋼管スペースフレームだったため、ドア下部にもフレームが来てしまいドアを開く際のサイドシル(敷居)が高くなりすぎ、乗降りがしにくくなったため採用されたものでした。

エンジンは 3.0L 直列6気筒OHCで、世界初のボッシュ製燃料直接噴射装置が採用され、最高出力は215PS、最高速度は260km/hを達成。この速度は当時の市販車最速となりました。

クーペモデル後に登場したロードスターモデルでは、鋼管スペースフレームは設計しなおされたため、ドアの開閉は通常タイプとなり使い勝手も向上。1961年には4輪ディスクブレーキも装備されたのです。

300SLオールドメルセデスの価格はオークション級

メルセデスベンツ 300SL オートモビルカウンシル2019

ガルウィング(かもめの翼)と呼ばれる特徴的な300SLのドア形状。

メルセデスベンツ 300SL オートモビルカウンシル2019

オートモビルカウンシル2019に参考出展された300SLはクーペ生産終了年製だ。

メルセデスベンツ 300SLは、その昔から世界の富裕層のステータスシンボルとなった名車。オーナーのなかには世界的画家パブロ・ピカソやイギリスの名ドライバーとなるスターリング・モスなどがズラリと勢揃いしています。そのため、価格は今やオークションに出展された際には軽く億越えしてしまうほどとなっているのです。

ちなみに、2018年のオークションにおいて、1963年製ベンツ300SL ロードスターが出展された際には日本円にして4億1,000万円で落札。これはこの個体の走行距離がわずかでしかなく、1972年以降未走行だったためだと言われています。

メルセデスベンツ 300SLのスペック表

エンジン直列6気筒SOHC
最高出力215PS/5,800rpm
最大トルク28.0kgf・m/4,600rpm
ボディサイズ全長:4,520mm(クーペ)4,570mm(ロードスター)
全幅:1,790mm
全高:1,300mm(クーペ)1,265mm(ロードスター)
ホイールベース:2,400mm
車両重量1,295kg(クーペ) 1,235kg(ロードスター)
トランスミッション4速MT
駆動方式FR
乗車定員2人
新車時車両価格-

撮影:宇野 智(MOBY)オートモビルカウンシル2019にて。

この記事の執筆者

石黒 真理この執筆者の詳細プロフィール

旧車、ノスタルジックカーを愛する自動車ライター。趣味は読書と、天気のいい日のドライブ。気分転換はたいてい車を運転します。今までの愛車は、マツダ・サバンナRX-7、ルーチェ、シトロエン・エグザンティア、サーブ900などです。...

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