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【御料車】大正の初代からセンチュリーロイヤル、新元号オープンまで

2019年10月22日に執り行われる新天皇 祝賀パレードで使用する車が、トヨタ センチュリーロイヤル オープンカーに決定!御料車や皇家の公用車、天皇の愛車など、天皇や皇家の車について解説します。

【最新情報】パレードにセンチュリー オープンカーが採用決定

新御料車のベースとなる「トヨタ センチュリー 2018年モデル」

2019年10月22日に執り行われる「新天皇 祝賀パレード」で使用する車が、新型センチュリーを改造した「センチュリーロイヤル オープンカー」に決定しました。

皇位継承式典事務局の発表によると、使用する車の選定には前提として

・国内入手が可能
・車列を組む他モデルよりサイズが大きく、車高が高い
・リアシートに十分なゆとりがある
・安全性能が高い(自動ブレーキ・衝突安全ほか)
・環境性能が高い(低燃費・低排出ガス車ほか)

を満たし、さらに

・ご乗車になる両陛下のお姿が沿道から見えやすい
・部品をはじめとする調達が内閣府の方針に合致する
・車体強度・テスト走行を行ったうえで期限までの納入が可能
・整備・保守に万全の体制が保てる
・パレード終了後の活用、保守管理が容易なこと

を条件としています。

「トヨタ」「日産」「ホンダ」「ロールスロイス」「ベンツ」「BMW」に打診し、上記の条件をすべて満たす車両は「トヨタ センチュリー」のみであったため、市販のセンチュリーを改造し、「センチュリー オープン」とすることに決定したのです。

新型センチュリーについては以下記事をご覧ください。

以前のパレード車はロールスロイス コーニッシュ

ロールスロイス コーニッシュ

ロールスロイス コーニッシュは、それまでの馬車に代わる御料車として、1990年の現天皇「即位の礼 祝賀パレード」用に採用されました。

しかし、その後は1993年に行われた現皇太子の「結婚祝賀パレード」に使用されたのみ。出番はなく展示されるのみとなっていたため、今回のパレードに使用するとなると修理には莫大な費用がかかることから、採用は断念されました。

また、御料車は後席優先の「ショーファードリブンカー」が基本となるのに対し、ロールスロイス コーニッシュは前席優先の「オーナードリブンカー」となっているため、パレードに不向きだという意見もあったようです。

皇ナンバーの御料車とは?

トヨタ センチュリーロイヤル(現御料車)

御料車とは高貴な人が所有あるいは利用する車のことです。日本では主に天皇皇后両陛下や皇族が移動する際に使われる車を指します。

現在は、異なるナンバープレートを付けた2種類の御料車があります。

「皇ナンバー」と呼ばれる専用のナンバープレートをつけた車が、御料車として最も有名です。皇ナンバーは、金銀配色の円形に「皇3」「皇5」というように2文字が縦に表示されます。皇ナンバーの車は、国会開会式や全国戦没者追悼式・国賓待遇の皇居への送迎といった「皇室の公的な行事」に使われます。

通常の「品川ナンバー」が付けられた車は「公用車」と呼ばれ、それ以外の通常公務に使用されます。

「皇ナンバー」「品川ナンバー」いずれの車も、いずれもフロントに「菊の紋章」が付けられています。

現在の御料車センチュリーロイヤルとは?

ベース車両は「トヨタ センチュリー」

現御料車のベース車両「トヨタ センチュリー 2代目」

センチュリーロイヤルは「トヨタ センチュリー 2代目」をベース車両とする6代目御料車です。トヨタが2006年から2008年にかけ製造し宮内庁におさめられた特別仕様車であるため、残念ながら一般販売はされていません。

宮内庁は現在センチュリーロイヤルを4台を所有しており、それぞれに「皇1」「皇2」「皇3」「皇5」の皇ナンバーが与えられています。(ちなみに皇4ナンバーは欠番で存在しません)

特別な仕様として、「ドアは観音開き」「後席のウィンドウ枠を拡大し透明に」「国賓が乗車する特装車では防弾装備が強化」「徹底された防音・静粛性能」としています。

車両価格は標準車でも5,250万円

トヨタ センチュリーロイヤル(現御料車)

センチュリーロイヤルは一般には販売されていませんので、車両販売価格は不明です。

しかし、宮内庁に納入された際の納入車両価格が公表されています。それによると標準仕様のセンチュリーロイヤルでは5,250万円、防弾機能が強化された特装車では9,450万円ということです。

御料車の歴史

初代:ダイムラー ランドレー57.2HP(イギリス)

初代御料車と同型の「ダイムラー ランドレー57.2HP」

初代御料車となる「デイムラー ランドレー57.2HP」は、1912年の大正天皇即位に備え採用されました。

デイムラーは英国王室が御料車として初採用したメーカーとして知られ、英国留学経験のあった国内初の輸入車販売会社「日本自動車」の大倉喜七郎が選定に関わっています。

車両はドアに菊の御紋が付けられ、ボディ色には皇室に深い関わりのある色である「溜色(ためいろ=あずき色)」に塗られましたが、そのほかに特殊装備はされていません。

2代目:ロールスロイス シルヴァーゴースト(イギリス)

2代目御料車と同型の「ロールスロイス シルヴァーゴースト」

2代目御料車に採用されたのは同じく英国製「ロールスロイス シルヴァーゴースト」です。日野自動車の前身となる「東京瓦斯電気工業」により、1921年2台が輸入されました。

1924年に行われた当時の皇太子(=昭和天皇)「結婚祝賀パレード」で使用されたのもこの御料車で、のちに天皇となった昭和の時代1936年まで使用されることとなります。

この代までの御料車は防弾といった特殊装備はされず、1923年に起きた皇太子暗殺未遂事件では御料車が被災したため問題となり、以降の御料車での防弾装備強化へとつながりました。

3代目:メルセデス・ベンツ 770(ドイツ)

3代目御料車と同型の「メルセデス・ベンツ 770」

1932年ドイツ製初となる3代目御料車「メルセデス・ベンツ 770」は、当時関係悪化となった英国製車両が、御料車選考から外されたためだったとされます。

2代目御料車が被災したことを受け、ベンツ770は日本到着後ボディに防弾装甲が施され、強化された特殊タイヤも装備されました。

また、内装では後席内装には宮内庁提供となる「京都・西陣織」を採用。ボディ色は皇室伝統色「溜色(ためいろ=あずき色)」としたため、地方公務では親しみを込め「溜色のベンツ」と呼ばれたのです。

4代目:キャデラック 75リムジン(アメリカ)

4代目御料車と同型の「キャデラック 75リムジン」

当時日本は米国をはじめとする連合国占領下にあり、老朽化が進んでいた3代目に代わり採用されたのは米国製となる4代目御料車「キャデラック 75リムジン」でした。

しかし、依然3代目御料車「メルセデス・ベンツ 770」も使用され続けたことや、正式な御料車採用とはならなかったものの、ロールスロイス製「シルバーレイス」「ファントム5(ファイブ)」も使用されたことにより、他の御料車に比べ使用期間は19年と短くなりました。

5代目:日産 プリンスロイヤル(日本)

5代目御料車「日産 プリンスロイヤル」

1967年、日本製初となった5代目御料車には、「プリンス自動車工業」が製造した「プリンスロイヤル」が採用されました。プリンス自動車工業はのちに「日産自動車」に合併される会社です。

7台が製造され、うち1台はのちに寝台車に改造され、昭和天皇の「大喪の礼」でも使用されました。

約37年にわたり使用されたプリンスロイヤル。その間に「英国エリザベス女王」「インドネシア大統領スカルノ」「米国大統領ロナルド・レーガン」を始めとする世界各国の要人を乗車させたことでも知られます。

しかし、2004年経年劣化が進み、なおかつ部品調達が困難となったことから日産側が宮内庁に用途廃止を届け出たため、使用廃止が決定されました。

6代目:トヨタ センチュリーロイヤル(日本)

6代目御料車「トヨタ センチュリーロイヤル」

2006年、老朽化の「日産 プリンスロイヤル」に代わり6代目御料車に採用されたのが「トヨタ センチュリーロイヤル」です。

2代目センチュリーをベースに皇室用に特殊装備、特別な内装で仕上げられたセンチュリーロイヤルは、2006年9月28日「国会開会式」への陛下お出ましにはじめて使用されました。

トヨタ初の御料車採用となったセンチュリーロイヤルは、翌2007年には防弾性能を強化した「特装車両」も2台納入され、当時の中国「胡錦涛国家主席」が来日した際に使用。

通常車両1台・特装車両2台・寝台車両1台の計4台が宮内庁に納入されました。

天皇家の公用車は?

秋篠宮家の公用車と同型の「三菱 ディグニティ」

「品川ナンバー」が付けられる公用車には、御料車よりもさらに多用な車種があります。

皇太子御一家が使用されている公用車には、「トヨタ センチュリー」のほか、「トヨタ アルファード」も。過去には御一家が静養のため那須や御料牧場を訪れた際、アルファードがしっかりと映像として捉えられています。

秋篠宮御一家の公用車には、三菱の最上級リムジンとされる「ディグニティ」や「プラウディア」、「トヨタ アルファード」、「日産 フーガ」が使用されているようです。

ディグニティは初代のみ独自開発、2代目は「HGY51型シーマ」のOEM供給となったモデルで、秋篠宮家には、初代・2代目とも公用車として納入されました。秋篠宮眞子様の公務でも2代目ディグニティが映像として捉えられたシーンが残っています。

天皇陛下の愛車とは?

天皇陛下の公用車と同型の「ホンダ インテグラ 2代目」

天皇陛下の愛車は1991年型の「ホンダ インテグラ」で、30年近くも大切に乗られていました。かつては皇居内を皇后陛下同乗のもと、運転を楽しむ日もあったそうです。皇太子時代は「プリンス グロリア」が愛車だったようです。

2018年12月21日宮内庁は、陛下が85歳の誕生日を機に免許更新・返納は行わず、そのまま失効される意向であることを発表しています。

天皇の愛車についてはこちら

新型センチュリーについてはこちら

この記事の執筆者

石黒 真理この執筆者の詳細プロフィール

旧車、ノスタルジックカーを愛する自動車ライター。趣味は読書と、天気のいい日のドライブ。気分転換はたいてい車を運転します。今までの愛車は、マツダ・サバンナRX-7、ルーチェ、シトロエン・エグザンティア、サーブ900などです。...