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ハイブリッドハイパーカー・ポルシェ918スパイダーとは?価格や性能など紹介

2000万円級ハイブリッドスーパーカーとは格が違う?!

強力なエンジンとモーターをミッドシップに搭載して後輪を駆動、さらに前輪は左右独立したモーターを備えてコーナリングを助ける電動4輪駆動のスーパーカー…ついこないだまでアメリカで生産していたホンダのスーパーカー、2代目NSXの話ではありません。

それよりも早い2013年に発表され、当時の日本円で1億円近いプライスタグを下げたハイパーカーでありながら限定918台が市販され、少なくとも日本割り当て分は瞬く間に完売したというポルシェ918スパイダーのこと。

2代目NSXは同じハイブリッドスーパーカーとはいえ「刺激的とはいえない、むしろ退屈」という意見さえありましたが、2,000万円級スーパーカーと1億円級ハイパーカーの差なのか、それともハイブリッドとPHEVの差なのか、918スパイダーの評価は極上です。

どのみち、筆者やMOBY読者の皆さんのほとんどには縁のないクルマではありますが─

名車917をモチーフにした次世代への布石

ポルシェ918スパイダーにとって、デザインでも車名のうえでもモチーフとなったのは1969年に登場した名車、ポルシェ917です。

市販車ではなくレーシングカーなので、そんなクルマあったっけ?と思うかもしれませんが、日本でも当時の大型プライベーター、タキ・レーシングの招聘に応じた1台が1969年の日本グランプリで走ったほか、その後も1971年に富士GCレースを走っています。

4.5リッターの水平対向12気筒エンジンを標準として、ターボや6.6リッター水平対向16気筒などさまざまなエンジンを搭載、ロングテール仕様なども存在し、ル・マン24時間レースや北米のCAN-AMレースで活躍しました。

単にレーシングカーというだけでなく、ターボ技術などは市販車に先駆けた新技術の塊でしたが、918スパイダーもモータースポーツ向けではない超高額限定車のハイパーカーとはいえ、やはり市販車の将来性を占う先進技術の塊です。

EV走行距離30kmのPHEVと侮るべからず

918スパイダーが当時のスーパースポーツの中で異色だったのは、612馬力の4.6リッターV8エンジンだけでなくモーターもミッドシップに積み、さらにフロント左右輪にもモーターを搭載してシステム出力887馬力。

さらに外部充電が可能な、PHEV(プラグインハイブリッド)だったことです。

エンジンもフルに使えばわずか2.6秒、300km/hオーバーですが、モーターだけのEV走行でも0-100km/h加速6.2秒に達する強力な加速性能と最高速度も150km/h、EVとしても十分に速く走れますが、「本質」はさらにその先にあります。

一充電走行距離は30km程度に過ぎず、プリウスPHEVやアウトランダーPHEVでプラグインハイブリッドの性能に慣れた日本人としては「2013年って10年前だし、やはりそんなもんか」と思うかもしれません。

しかし918スパイダーで秀逸なのは回生性能で、回生ブレーキだけでも強力な制動力を発揮するため油圧ブレーキに優しい…というだけでなく、ちょっとアクセルを緩めるだけでもどんどん回生するほか、エンジンでも発電すして30kmのEV走行距離が走りながら伸びます。

ニュルブルクリンクサーキット北コースで当時の市販車最高速記録となる6分57秒のラップタイムを記録した際も、満充電状態からエンジンとモーターをフルに駆使するアタックを終えた時、バッテリー容量はまだ17%残っていたそうです。

似たような話でも、初期のスポーツハイブリッドとして期待されたホンダ CR-Zがジムカーナでの1分少々の走行ですら途中で電池切れになって失速していたのとは大違い!

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加速でも減速でも、システムの切り替えに不自然さはない

走行モードはEV走行のみの「E-POWER」、エンジンとモーターを効率的に使い分ける「ハイブリッド」、効率より動力性能寄りの「スポーツハイブリッド」、スポーツドライビング用の「レースハイブリッド」、発電をしない最強モード「ホットラップ」の5つ。

E-POWERでスタートして加速していくと、やがて「ハイブリッド」に切り替わって背後のV8エンジンが始動、特徴的な上方排気による官能的なエキゾースト・ノートと相まってドライバーをやる気にさせます。

だからといって、エンジンがかかった途端に弾かれたような急加速といった荒々しい制御は行われず、至って自然に加速を続けてコーナー手前では回生ブレーキから油圧ブレーキへの転換も自然で、かつてのプリウスでありがちだった不自然なフィーリングとは無縁。

コーナーではフロント左右輪のモーターによる独立制御でオンザレール感覚、かつてのミッドシップスーパーカー「カレラGT」のように、スリックタイヤ以外では極端なアンダーステア志向でドライバーを困惑させる事もありません。

高速安定性は最大3度の舵角を後輪に与える「リアアクスルステア」で約束され…といった調子で、ドライバーを容易に高みへ登らせ、それでいて破綻せず、さらには燃費が良くて環境に優しいという、10年前のクルマにしてはやけに気の効いたハイパーカーでした。

これがその後のポルシェ車、各種のPHEVやタイカンのようなBEVへ活かされていますが、それを1億円払えば「未来を先取りできる!」というのですから、当時のお金持ちにとってはバーゲンブライスだったことでしょう(貧乏人は後からついていけばよいのです)。

なお、2020年代に入ってオークションにかけられた事がありますが、まだ1億円程度の入札額しか提示されなかったようで、お金はあっても枠に漏れて買えなかった!今ならお金がある!という人は、案外今が底値でチャンスなのかもしれません。

日常使用にこだわった結果、安楽椅子のようで刺激に乏しいスーパーカーに比べると、格段に気の利いたポルシェのハイパーカー、今でもそれだけの価値はありそうです。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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