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日産L型エンジンはなぜ最強だった?構造やオーバーホール例と搭載車種も

日産にかつて存在した「L型」と呼ばれるエンジン。1980年代にラインナップから姿を消しているにも関わらず、今なお根強い人気があります。その秘密は、かつて公道最強と言われたエンジンの構造や成り立ちにありました。搭載車種、オーバーホールなどと合わせて解説します。

日産のL型エンジンとは

L型エンジンを語る上では欠かせないモデル フェアレディZ S30

湾岸1_13

©YouTube / Best MOTORing

日産のL型エンジンとは、1965年~1980年代中頃に生産された直列4気筒または6気筒エンジンです。「L」は日産のエンジンの型式ですが、「in Line(直列)」の頭文字に由来するとも言われています。L型エンジンには、ガソリンエンジンと、そこから派生したディーゼルエンジンがあります。

日産の歴代エンジンは名車とともに語られることが多いです。
L型エンジン以前は「ハコスカ」の愛称で親しまれた初代スカイラインGT-Rに搭載された「S20型エンジン」。L型エンジン以降は、レースにおいてGT-Rの伝説を築いた「RB型エンジン」が有名でしょう。

L型エンジンを搭載した有名な車といえば、漫画 湾岸ミッドナイトの「悪魔のZ」ことフェアレディZ S30型です。L型エンジンはチューニングのしやすさが相まって、15年ものロングセラーとなりました。

チューニング次第では公道最強とも言われた日産のL型エンジン。その構造や搭載車種、最強と名高いチューニングの自由度について解説します。

RB型エンジンの名機「RB26DETT」についてはこちら

L型エンジンの構造

日産 L28型 エンジン

日産 L28型 エンジン

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L型エンジンは前述の通りSOHC 4気筒あるいは6気筒の直列エンジンです。1970年代以降の主流はクロスフロー型でしたが、L型エンジンは1965年から15年間の生産期間において終始ターンフロー型を貫いたことが大きな特徴です。

また、当時まだ主流であった鋳鉄製エンジンブロックであったため、後のアルミブロック製を採用したエンジンに比べて堅牢で長寿命という長所も挙げられます。

DOHCやSOHCについてはこちら

ターンフロー型ならではの加工の簡単さ

クロスフロー型は現在では主流の構造で、シリンダーヘッドの左右に吸気ポートと排気ポートが別々に設けられているタイプ。対してターンフロー型は、シリンダーヘッドの片側に吸気ポートと排気ポートが固まっているタイプです。

一般的に、熱対策における優位性から、クロスフロー式のシリンダーヘッドはターンフロー式よりも高性能を発揮できるとされ、日産L型エンジンもチューニングなしでは「遅い」という声も多かったそうです。しかし、ターンフロー式は片側に吸排気ポートが揃っているため、エンジン加工もしやすく、さらにツインカム化しやすいという強みがありました。

L型エンジンのチューニングについて、詳しくは後述します。

鋳鉄製ブロックなどによる堅牢さ

鋳鉄製エンジンブロックやチェーンによるカムシャフト駆動を採用したL型エンジンは重量が大きくなり、軽快に走ることはどちらかといえば不得意です。反面、堅牢で長寿命であることが挙げられます。

長く使うことができるだけでなく、ボアアップなどでシリンダーを加工しても耐久性を確保できることから、改造に向いていたエンジンでした。

また、L型エンジンはシリーズ全体での大量生産も考慮されたため、共用部品が多いことも、改造のしやすさにつながりました。

レシプロエンジンの基本構造についてはこちら

L型エンジン搭載車種

L型エンジンには長い歴史があり、直列4気筒 1.3LのL13型から直列6気筒ディーゼルエンジンのターボモデルであるLD28Tまで種類も幅広く、搭載車種も多種多様です。

以下の車種がその代表と言えます。

4気筒エンジン

ブルーバード(510型)

エンジン型式:L13/L16/L18(4気筒)

はじめてL型を搭載した車種です。当時は「ダットサン」というブランド名でした。

先進的な設計やラリーでの活躍もあって、史上はじめて北米市場でヒットした日本車となりました。

バイオレット(710、A10、PA10)

エンジン型式:L20B

バイオレットは前述のブルーバードの弟分的な位置づけになります。

サファリラリーで4連覇するなど、WRC(世界ラリー選手権)で活躍しました。

6気筒エンジン

フェアレディZ(S30)

エンジン型式:L20

フェアレディZの初期型はその心臓に新設計のL型6気筒を選びました。その魅力的なデザインと高性能に対して値段が安かったことから、北米を中心に大ヒットしました。

S30型のZといえば、首都高の湾岸線を300 km/hで走る「悪魔のZ」が、車好き・マンガ好きにはとても有名です。「悪魔のZ」のエンジンはL28型をツインターボ化したものですが、最初の仕様ですでに600馬力超え。標準仕様の実に4倍に相当しますが、実際のチューニング次第では荒唐無稽なマンガの話とも言えず、同等の馬力を絞り出す実車も存在しました。

スカイライン(C210)

エンジン型式:L20ET

同じく日産のセドリック/グロリア、ブルーバードに次いで3番目に、日本初の乗用車用ターボエンジンであるL20ETを搭載しました。

ターボとAT(オートマチック トランスミッション、自動変速機)の組み合わせは日産初でした。

DATSUN 280ZX(S130フェアレディZ北米仕様)

エンジン型式:L28ET

L型エンジンの中でも最大最強といえるエンジンを積んだZが280ZXでした。

アメリカでは大ヒットとなったものの、日本では型式申請が通らず販売に至りませんでした。

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