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電動ターボチャージャーと電動スーパーチャージャーとは?メリット・デメリットと違いや効果から採用車種まで

電動ターボチャージャーとは?その効果は?

HKS製の電動スーパーチャージャー(画像はアウディ TT)

電動ターボチャージャーとは?

名称の定義について

本記事で紹介する「電動ターボチャージャー(以下、電動ターボ)」とは、コンプレッサーの回転にモーターを利用する「電動過給機」のことを指します。
このような電動過給機は「電動ターボ」や「電動スーパーチャージャー」などの名称で呼ばれていますが、これらはあくまで一般名詞であり、これらの名称に対する明確な定義が存在していません。
このためメディアやメーカーなどによって電動過給機に対する名称が混在しているのが現状です。

本記事では「電動ターボ」を電動過給機に対する名称として定義し、以下の表現も電動ターボで統一したいと思います。

ターボチャージャー・スーパーチャージャー・電動ターボの比較

アウディSQ7に搭載される電動ターボチャージャー

アウディ SQ7電動ターボ

現在主流の過給機には、排気ガスを利用してコンプレッサーを駆動するターボチャージャー(以下、ターボ)と、エンジンの動力を利用してコンプレッサーを駆動するスーパーチャージャーの2種類があります。
ターボは排気ガスの圧力でコンプレッサーを回転させて空気を圧縮する過給機で、スーパーチャージャーはコンプレッサーを回転にエンジンの動力を用いる過給機です。
これら2種類の過給機の仕組みは以下の記事を参照してください。

ターボチャージャーとは?仕組みと構造と原理と、スーパーチャージャーとの違いを徹底解剖!

スーパーチャージャーとは?仕組みとターボチャージャーとの違いとメリットを解説!

電動ターボは、前項で述べたようにコンプレッサーの回転にモーターを利用する過給機を指します。
完全にモーターのみでコンプレッサーを駆動するか、あるいは一部だけモーターの動力を利用するかは構造によって異なります。
前者の場合は排気ガスを利用せずに過給しているため、「電動ターボ」と言うよりは「電動スーパーチャージャー」と呼ぶのが適切かもしれません。

電動ターボの詳しい構造については次章以降で詳しく述べたいと思います。

電動ターボチャージャーの効果

低回転での過給が苦手なターボ

ターボは排気ガスを動力源とすることから、エンジンの動力を利用するスーパーチャージャーよりも高効率に過給できます。
また、排気ガスの量が多い高回転域では高い過給効率が得られるため、高回転域での過給に向いています。

その反面、排気ガスの量が少ない低回転域では効率が悪化し、またターボラグによりレスポンスが悪化します。
近年はターボ自体の小型化や可変容量ターボなどの新技術などにより改善されてきましたが、ターボラグはターボの構造そのものに起因するため、根本的な解決は難しい問題です。

高回転で効率が悪化するスーパーチャージャー

一方、スーパーチャージャーはエンジンの出力を動力源とすることから、エンジンの回転数に合わせて低回転域からスムーズに過給できます。
そのためターボのようなターボラグが発生せず、ターボよりレスポンスが良い点が特徴です。

しかし高回転域での過給能力はターボに劣るのと、スーパーチャージャーを駆動させるためにエンジン出力を使うため、スーパーチャージャーそのものがエンジン損失の原因となってしまいます。
このような特徴から、スーパーチャージャーは高回転での過給が不得意であると言えます。

全回転域で効率よく過給できる電動ターボ

そこで全回転域で効率よく過給するために考案されたのが、ターボの過給をモーターでアシストする電動ターボです。

電動ターボは従来のターボと組み合わせて使用され、ターボの効率が悪化する低回転域ではモーターを利用して過給を行い、高回転域ではターボにより過給を行います。
これによりターボが不得意としていた低回転域での過給効率が改善されるため、全回転域で効率の良い過給が可能となります。

このようにターボとスーパーチャージャーの良い特徴を組み合わせたのが電動ターボなのです。

電動ターボの構造は「2ステージ型」と「ハイブリッド型」

次に、電動ターボに採用される構造「2ステージ型」と「ハイブリッド型」のそれぞれの特徴を簡単に紹介します。

2ステージ型

アウディSQ7の2ステージ型電動ターボシステム

アウディSQ7の2ステージ型電動ターボ

2ステージ型は従来のターボと電動ターボの2種類を組み合わせ、回転数に応じて過給機を切り替える方式です。
ターボの効率が落ちる低回転域では電動ターボで過給を行い、高回転域ではターボで過給を行います。
電動ターボ自体は排気ガスのエネルギーを利用しません。

ハイブリッド型

MGU-Hを搭載するF1エンジン「ホンダRA617H」

ホンダ RA617Hエンジン
TR25s CC 表示 – 継承 4.0 / CC BY-SA 4.0
出典 : https://commons.wikimedia.org/

ハイブリッド型は従来のターボにモーターを内蔵した方式です。
低回転域ではモーターによってタービンの回転をアシストし、高回転域では排気ガスによってタービンを駆動します。
それに加えて、排気ガスでモーターを回転させて発電することもでき、余った排気ガスのエネルギーを回生することも可能です。
2ステージ型と異なり、ハイブリッド型では排気ガスも電動ターボの動力源として利用されます。

なお、現在F1のエンジンで採用されている「MGU-H(Motor Generator Unit – Heat)」はハイブリッド型電動ターボと同じ仕組みです。

執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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