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笑福亭笑瓶×アウディ A8:Vol.2「淫美な秘密基地」MOBYクルマバナシ

【Profile】笑福亭笑瓶1956年11月7日生まれ。大阪府出身。
愛車:アウディ A8、メルセデス・ベンツ 500SL

前回までのインタビューはこちら:
Vol.1「世界最高のセダン

Vol.2:「車への憧れ」

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

笑福亭笑瓶さんがまだ幼かった時代、車はどのような存在だったのですか?

もうステータス。お金持ってるぞ、という一つのね。昔は億万長者は夢のまた夢で、“百万長者” やったから。100万円を持っている家は目が飛び出るくらいの大金持ちなわけですよ。一万円札もでかいしね。聖徳太子で「一万円!!」みたいなね。そんな大きな札が財布に入ってることが凄いことだった。

今でも一万円いうたらありがたい金額やけど、それ以上の価値があったね。そんな中で“愛車が数百万円”っていう話になると、もうブルジョワ。「これはこれは社長様!」「会長様!」といった具合(笑)。

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

ブルジョワの家には大きな庭があって、大型犬が1匹、小型犬が2匹くらい遊んでる。家に入れば三ツ矢サイダーが嘘のように冷えてて、栓を抜けば「プシュッ!コポコポコポコポ……」。氷をアイスピックで「コンコン!」って割って、お母さんが「ぼく、サイダー飲む?」と。そんな贅沢なお家に車があったんです。

一方、我が家は粉ジュースをスプーン2杯分入れたらおかんに怒られるような家。粉ジュースの素を指で舐めて、舌の色が赤とか青になるような庶民。それぐらい家庭環境が違う中で、ハイソサエティと呼ばれる人たちだけが車を所有するわけやからね。高度経済成長で右肩上がりに日本が邁進する過程で、「18歳になったら車に乗りたい」「中古ならあれが買える」いうて……といっても1,200ccくらいのもんやけど、愛車を持つということに、とにかく憧れを抱いていましたね。

車は憧れの的だったのですね。幼い頃からセダンがお好きだったのですか?

俺の幼少期、貧しい家庭の子供は自分の部屋を与えてもらってないから、押入れの中に自分の部屋を作って遊んでたんですよ。今でもそうかも知らんけど、広いリビングにテント張ってあげたら喜んで、そこで遊ぶみたいな感覚ですよね。

そんな感じで、セダンって居住空間が広くて、みんなでどこかに行けるし、利用価値が多いやんか。いつか車を買って、“自分の部屋”にしたいなと思ってましたね。

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

前後左右、どのシートに座っても快適な空間を演出するアウディ A8。「いつか車を買って、自分の部屋にしたいと思っていた」と語る笑福亭笑瓶さんの理想を、まさに体現しているのではないだろうか。

笑福亭笑瓶さんも押し入れに部屋を作って遊ばれていたんですか?

うん。押入れに入ってるものを全部出して、そこを基地みたいにして遊んでた。おかんから「なにしてくれてん!」って袋叩きにおうて、よく叱られてたな(笑)。

自分の部屋が欲しかったのでしょうね。

そうそう。だから例えば宇宙旅行を想像して、押し入れを“宇宙カプセルの中”だと思い込むんですよ。

「今、地球に帰還している途中!」とか「月に向かってる途中や!」というようなイメージを抱いて、押入れに居座る。そんな感じの一人遊びを、小学校くらいまでやってたかもしらんね。

昔は必要に駆られてたから、押し入れの小さな空間が俺の遊び場所だった。

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

そんな子供が大人になって、車を手に入れるんですよ。車内にいればそこが自分の部屋みたいになる。リクライニングすればベッドにもなるし、セダンなら毛布一枚あったら寝られる。やっぱり利用価値があるよね。友達3、4人でタバコ吸いながら夢を語ったり、みんなでわいわいできるやんか。朝方までね。

カーラジオとかカセットで音楽聴いて。ええ空間やったね。ほんで色気付くと彼女乗せてドライブいきたいとか、しまいにはカーセックスへと導いて。

そういった経験はかなりされたのですか?

結構したかもしれんね(笑)。

ビッグセダンなら女性を誘うのに十分な大きさですね(笑)。

そうそうそう!昔、アメリカのティーンエイジャーはビッグセダンで「ドライブインシアター」に行くのがセオリーだったみたいやね。そこで手繋いだりポップコーン食うたり、ラブシーンがあったらちょっとキスしたり……下手したら隣の車がガンガン揺れているなんてことも(笑)。

そういう青春に、俺も憧れてたんやろね。

笑福亭笑瓶 アウディ A8 MOBYスペシャルインタビュー

最近は、日本でもドライブインシアターの復刻イベントが開かれていますね。

でもそういうのって健全やろ?当時はそういうんではなくて、淫美やねん。エロチックやねん。「ドライブイン……しようや」って、「セックスしようや」って誘うかのようにドライブインシアターに行くねん(笑)。彼女の方も誘われる意味を分かってて、「勝負下着はかなきゃ!」みたいな。

昔のアメ車はベンチシートで運転席と助手席が繋がってるから、男女がくっついてられるねん。ほんでシートを倒せば寝られるわけよ。

アメリカ映画の中でそんな光景を見て、「ええなーアメリカ……」って。俺がおっさん近くになってようやくドライブインシアターが日本に入ってきたから、もうちょっと早ければと、ちょっと残念やったね(笑)。

今回は、笑福亭笑瓶さんの幼少〜青年時代について語って頂きました。当時の若者にとって、自動車という存在は成功者の象徴・憧れの対象であったことが分かります。

次回“MOBYクルマバナシ”第3回では、芸能界に入りたての時代に乗られていた愛車と、その当時の車文化にまつわるお話をお伺いします。お楽しみに!

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Vol.3「惚れ抜いた感情」
Vol.4「車って夢があるよな」
Vol.5(最終回)「最後の避難場所」

取材:米永豪、田神洋子
撮影:市川晶
文:米永豪
編集:田神洋子

執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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